【奇蹟がくれた数式】
アインシュタインに並ぶインドの天才数学者とイギリス人数学者の友情と奇跡

奇蹟がくれた数式　映画あらすじ

類まれなる知能を持ちながら、それを全く活かせない人生をインドで送っていたラマヌジャンは、たまたま出会った理解ある上司のすすめでイギリスにいる数学者らに手紙を書く。彼が独自に研究し、発見した数式について書き記したのだ。誰もがその手紙を気に留めることはなかったが、ケンブリッジ大学の教授G.H. ハーディだけは、その内容に驚愕する。

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奇蹟がくれた数式　映画レビュー

想像していたよりも、ずっとずっと多くの感動を与えてくれた作品でした。心を揺さぶられ涙をにじませながらラストシーンになだれ込み、最後の一説では鳥肌が立ってしまいました。

この映画は実話が基になっています。主人公のシュリニヴァーサ・ラマヌジャンは実在した人物。イギリスの占領下にあったインドにおいて、独学で数学を学び、独自の研究を重ねた人です。当時は「紙」がとても貴重だったので、石に計算式を書いては、そのなかからお気に入りを紙に書き残したそうです。

ラマヌジャンが独自で行った研究は、1世紀経った今現在、実態を知ることが極めて難しい存在の研究や、私たちが効率よくインターネットを使えるシステムにつながっているのだそう。

逆境の中で貫こうとする信念や、身分も国籍も違う天才同士が不器用に育んだ友情、そして、奥ゆかしく純粋な夫婦愛が、観客の心をわしづかみにします。

天才と称される登場人物たちが、たびたび数学について論じている映画ですが、数学の知識がなくともちゃんと楽しめます。それだけ脚本がしっかりとしているのでしょう。

 

なお、舞台となったケンブリッジ大学は、アイザック・ニュートン、チャールズ・ダーウィン、ジョン・メイナード・ケインズなど、名だたる著名人を輩出した大学。1209年の創立で、オックスフォード大学と並び世界トップレベルの大学といわれています。

ケンブリッジ大学の最高峰トリニティ・カレッジが撮影に全面協力したという今作には、ニュートンの書物が展示されているレン図書館や、ニュートンが重力を発見したリンゴの木がある中庭にまで、カメラが入ったそう。

その背景や、実在した人物のレベルの高さなど、すごいことだらけですが、この映画が与えてくれるのは「感心」ではなく、先述したとおり「感動」です。デヴ・パテルやジェレミー・アイアンズ、トビー・ジョーンズらの、染み渡るような演技のおかげで、それがより深いものになっています。ラマヌジャン（デヴ・パテル）を笑顔にした感動のシーンでは、思わず筆者も感動がこみ上げ、一緒にコンコン机を叩きましたよ。

天才は孤独と言われています。しかし、ラマヌジャンは違うかもしれません。もちろんイギリスで逆境に置かれたとき、確かに彼は孤独を感じていたと思いますが、彼はインドで待つ妻を一途に愛し、母がいる母国を想い、神に守られていると信じています。アインシュタイン並みの天才と言われていますが、その部分以外は、いたって普通の人という印象です。頭脳だけに偏りがちだといわれる天才らしからぬ、バランスのいい人間だと感じました。

それは、「あなたは何者ですか？」とハーディに詰め寄ったシーンにも表れているかもしれません。

 

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ラマヌジャンの妻を演じたデヴィカ・ビセさんは、とてもエキゾチックで美しい女優さんですね。控えめで一途な演技も魅力的です。

 

ライター中山陽子でした。

 

奇蹟がくれた数式（2016）

監督　マシュー・ブラウン
出演者　デヴ・パテル／ジェレミー・アイアンズ／デヴィカ・ビセ／トビー・ジョーンズ

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