【ジャッジ 裁かれる判事】
ロバート・デュヴァルとロバート・ダウニー・Jrが、反目しあう親子を卓抜な演技で魅せる映画

ジャッジ 裁かれる判事　映画あらすじ

ハンク（ヘンリー・パルマー）はシカゴで妻子と裕福に暮らす弁護士。仕事は順調だが、被告側の弁護士なので倫理を問われたり、恨まれたりすることが多い。また、妻とは離婚協議中で娘の親権を争っている最中。かつ実家とも長いあいだ疎遠である。そんななか、裁判中に兄から母が亡くなったと電話が入り、久しぶりにインディアナ州の小さな町へと里帰りして家族と再開。だが、相変わらず父は彼に対し辛辣な態度をとるばかりだった。ギクシャクしたまま早々にシカゴへと戻るため飛行機に乗るハンクに、再び兄から電話。今度は判事でもある父が、ひき逃げの容疑で警察から事情聴取を受けているという。

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ジャッジ 裁かれる判事　映画レビュー

見応えのある映画でした。法廷サスペンスかと思いきや、物語がすすむほど過去の因縁が浮き彫りになる、シリアスかつ心温まる家族ドラマでした。また、42年間正義を貫き通してきた、厳格な判事が被告人になるというインパクトとサスペンス要素が絶妙に絡んでくるので、物語にグイグイ引き込まれてしまいます。そして、筆者のように父親が愛しき頑固ジジイだった人は、涙なしには観れないかもしれません。

ひき逃げ容疑について嫌疑をかけられる、年老いた判事を演じたのは、筆者も大好きなロバート・デュヴァルさん。物語のなかでは、不調や高齢であること、最愛の妻を亡くしたことで、心身が崩れかけているような様子を見せますが、本当かと思うぐらい真に迫っています。数々の作品で受賞やノミネートされているロバート・デュヴァルさんは、この作品でもアカデミー賞の助演男優賞、ゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされています。

そして、それに負けないくらい、ハンクを演じたロバート・ダウニー・Jrさんも心に響く演技を見せてくれました。ウィットに富んで自分勝手で自信家で、それでいて優しさのある魅力的な男性は、アイアンマンことトニー・スタークにも通ずるところがあります。しかし、同じ魅力を披露しながらトニー・スタークの面影を見せずハンクを演じきっているところが、この人の凄いところです。

 

なお、この物語は、家族のなかで起こりがちなギクシャクを描いていますが、その発端となった過去の因縁は少し特殊です。そういった部分が家族の複雑な関係とつながり、サスペンス要素となっています。

法廷シーンでは、「あれ、そんな親子のプライベートな話をしていたら、普通なら判事が注意するんじゃねーの？」と突っ込みを入れたくなりますし、批評家はロバート・デュヴァルさんとロバート・ダウニー・Jrさんの演技は絶賛しながら映画自体は酷評したそうですが、筆者は充実した時間を過ごせましたよ。

ただ、ハンクの兄を演じているヴィンセント・ドノフリオさんは、少々もったいない役どころだったような気がします。作品ごとに違う顔を見せてくれる個性的な演技派で知られる方ですが、この物語では父親からの期待と信頼を一身に受ける真面目な長男を演じているため、彼らしい独特な雰囲気を楽しむことができません。

ちなみに、ヴィンセント・ドノフリオさんのファンになったのは、米ドラマ『LAW & ORDER:クリミナル・インテント』のロバート・ゴーレン役を観てからですが、この映画には、やはり米ドラマ『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』でチャールズ・エプス（エプス家の弟）を演じているデイビッド・クロムホルツさんが、ハンクと反目する検事のマイク・カッテンとして出演しています。たまたまですが、お二人ともドラマの頃よりもだいぶお肉がついたようで……。

 

ほか、ヴェラ・ファーミガさん（サマンサ・パウエル役）、ビリー・ボブ・ソーントンさん（やり手検事のドワイト・ディッカム）と、脇を固める俳優さんたちも実力派揃いです。そんな映画『ジャッジ 裁かれる判事（2014）』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は皆様次第です。

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ハンクの昔の恋人サマンサ・パウエルを演じたヴェラ・ファーミガさんが、やけに艶やかで見入ってしまいました。「私がいい女だからって見つめないで」というセリフ、普通ならぶっ飛ばされますが、彼女なら誰でも許してしまうでしょう。

ライター中山陽子でした。

 

ジャッジ 裁かれる判事（2014）

監督　デヴィッド・ドブキン
出演者　ロバート・ダウニー・Jr／ロバート・デュヴァル／ヴェラ・ファーミガ／ヴィンセント・ドノフリオ

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