トラフィック/映画あらすじ・レビュー(ボーダーラインの日本公開決定で再び高まるトロへの想い)
トラフィック あらすじ
ドラッグに溺れた娘を持つ判事、麻薬の密輸を裏で仲介する男と、その妻、カルフォルニアの麻薬捜査官に、メキシコ・ティファナの警官たちが、それぞれの立場で麻薬の終わりなき戦いに翻弄される物語。
娘が壊れていく、仲間を失うという悲しみと、強い怒りが、時に光を見出すきっかけとなる。
トラフィック レビュー
嬉しいニュースが舞い込んできた。
エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロが出演する最新作「ボーダーライン」という映画の日本公開が、2016年4月に決定したのだという。
エミリー・ブラントも素敵な女優さんだが、実は、いてもたってもいられない理由は、トロが出演するからだ。
ベニチオ・デル・トロのコアなファンは、「ベニ”チ”オ」ではなく「ベニ”シ”オ」と呼ぶ。
文字変換の際「紅塩(べにしお)」と出てきて困ってもだ。
さらにコアになると「トロ」と呼ぶ。そして、あの、長身でクドイほど濃いおじさんを「かわいい」というのだ。
そして、この私もそのファンの一人である。(激しくどうでも良いことだが)
もちろん、これまでも色々な作品に出演してはいるが、「ボーダーライン」でベニチオ・デル・トロは、エミリー・ブラント演じるエリートFBI捜査官をサポートする、謎のコロンビア人を演じるそうだ。
どんなにエリート捜査官であろうと、麻薬と金に汚染され、普通の感覚を失ってしまうようなメキシコ国境地帯で通常の捜査は難しい。
その部分を、事情通な百戦錬磨の男が助け、精神面でも支えになるという設定かもしれない。
そこで、すぐに思い出すのは、ベニチオ・デル・トロがアカデミー賞助演男優賞を受賞した映画「トラフィック」だ。
彼が演じたハビエールは、人も場所も荒れ果てた無法地帯のルールで生きながらも、誇りを持った優しい男だった。
そんな魅力いっぱいの演技がまた観れるかもしれないと、高まる期待が止まらない。
そんなこともあり、今回は映画「トラフィック」のレビューを書こうと思い立ったのである。
この映画は、3つの戦いが同時進行するという構成になっている。
一つは麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任した判事と娘の戦い。
よりによって名門校に通わせている実娘が、お坊ちゃん、お嬢ちゃんたちと、麻薬に溺れているのだ。
幼く世間知らずな彼らを麻薬が蝕むのは早い。
最も身近な親族が異常事態に陥っている状況に、判事は足もとをすくわれる思いだ。
その判事をマイケル・ダグラスが演じる。
そして、この物語が進行するときはブルーグレーがかった映像で描かれている。
もう一つは、表で普通の商売をしていると見せかけ、裏で麻薬密輸の仲介を一手に担う男と妻と、カルフォルニアの麻薬取締捜査官たちの戦い。
捜査官たちにより麻薬がらみの大物が2人逮捕され、その一人の男の妻は、夫の裏の顔を初めて知り途方にくれた。
しかし、やがて家族を守るため覚悟を決めたのである。
麻薬仲介人の妻をキャサリン・ゼタ・ジョーンズが、熱血麻薬捜査官をドン・チードルが演じている。このパーツはコントラストの強い映像。
もう一つは、メキシコ、ティファナで先が見えない麻薬捜査を続ける警官とその相棒。
一時的に状況は改善されたように見えたが、その裏には思わぬ事実が隠されていた。
そこで怒りの炎に燃えた一人の男のゆるぎない思いが、周囲を巻き込み「事」を動かす。
立ち上がる男をベニチオ・デル・トロが演じている。黄みがかった映像で表現。
実際には全て繋がっているが、色々な登場人物による色々な視点があるため、各物語が進行する際に、それぞれ違う色味やコントラストを映像にのせてわかりやすくしている。
監督は、「セックスと嘘とビデオテープ(1989)」、「アウト・オブ・サイト(1998)」、「エリン・ブロコビッチ(2000)」、「オーシャンズ」シリーズ、「チェ(2008)」、「恋するリベラーチェ(2013)」のスティーヴン・ソダーバーグ。
この監督さんは、あまりスッキリわかりやすい作品はつくらないが、それはあくまでも説明し過ぎないということであって、根底にあるものはシンプルだと感じる。
ただ、人間模様がモヤモヤとさせているだけなのだろう。
最後のシーン、優しく遠い目をしたベニチオ・デル・トロは「救い」そのものだった。
この物語は、今も行われている麻薬戦争という恐ろしい事実をもとに、弱く浅はかな人間が、もがきながら光を求める危なっかしい歩みへの応援歌かもしれない。
実は、1990年に「ドラッグ・ウォーズ/麻薬戦争」という、DEA(アメリカ合衆国麻薬取締局)と麻薬カルテルの戦いを描くシリアスなドラマがあった。
この作品では、「トラフィック」で麻薬の密輸仲介人を演じたスティーヴン・バウアーが、悲劇のDEA捜査官を演じ、「トラフィック」で警官を演じたベニチオ・デル・トロが、若き麻薬王を演じるという、全く逆の配役だったのだ。
ちなみに、そのドラマも、「トラフィック」に登場する人物も、実際にあったことや、実在の人物をモデルにしている。
物語も骨太だが、脇を締める俳優はかなりの役者揃いなので、どっしり見応えありだ。
明るい映画ではないが、最後に光が見えるのは間違いない。
是非、ご賞味あれ
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
トラフィック(2000)
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演者 マイケル・ダグラス/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ/ドン・チードル/ベニチオ・デル・トロ
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