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CINEMAバリQ

【ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー】
グルートの破壊的な魅力にやられるマーベル作品

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー あらすじ

母親を失った幼いピーター・クイルは、悲しみにくれる間もなく宇宙の窃盗集団ラヴェジャーズにさらわれてしまう。だが、リーダーのヨンドゥに情けをかけられ宇宙ですくすくと成長。しかし、オーブ(インフィニティ・ストーン/無限の石)を盗んだことから、育ての親ヨンドゥ、クリー人ロナンが仕向けた暗殺者、賞金稼ぎたちに狙われることとなる。だが、狂信的なクリー人ロナンの手にインフィニティ・ストーンが渡ると、銀河が破滅に追い込まれると悟ったクイルは、仲間たちと立ちあがる。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー レビュー

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015)」のDVDも11月4日発売となったので、愛すべきキャラクターが絶大な魅力を放つ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のレビューを書こうと思い立つ。

「アベンジャーズ」シリーズのキャラクターは洗練され、何か底知れない強さやカッコ良さというものがあるが、実のところ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のキャラクターは少し違う。
お調子者だったり、単細胞だったり、ルックスとキャラがちぐはぐだったり、コンプレックスや深い心の傷を持っていたり。

最初、いかにも宇宙人的な見た目や、喋る動物、不思議な植物の凸凹なメンバーを見たとき、マーベルの“箸休め”的な軽い宇宙のドタバタ・アクション・コメディかと思ったが、そのキレの良さとキャラクターの深みに驚いた。

冒頭から見応えのあるアクションシーンが繰り広げられ、そのスムーズでメリハリの利いた演出に見入ってしまう。
部類は全く違うが、「アルティメット(2004)」で超人的な身体能力のダヴィッド・ベルが見せたフリーランニングに見入ってしまう感覚と似ている。
手で水を抑え込もうとしても、どんどん指の隙間からもれていくように、あれよあれよという間にすり抜け追っ手に捕まらないのだ。

もちろん、目まぐるしいアクションだけではなく、物語の上下左右凹凸が観客を飽きさせない。
しかしながら、最もこの作品を人々の記憶に残す要因となっているのはキャラクターたちの魅力ではないだろうか。

クリス・プラット演じるピーター・クイル(別名スターロード)は、やたら楽天的でお調子者で、おまけに女好きな宇宙のゴロツキだが、亡き母への想いがつまったカセットテープを命よりも大事にしている。
その、カセットテープには“最強ミックス(AWESOME MIX)”の文字。おまけにSONYのウォークマンではないか。
好みの曲をカセットテープに録音し、「MY BEST」として保管していた昔を思いだし、思わず郷愁に浸ってしまった。

クイルは時に悪党を気取るが、自ら正しいことを選択する性質も持っている。
また、情もリーダーシップも併せ持つ頭の良い男だ。
究極ともいえる状況でダンスバトルをおっぱじめるユニークさと度胸もある。

ゾーイ・サルダナ演じるガモーラは、セクシーな肢体を持ちながらにして、すご腕の暗殺者、しかも宇宙最強といわれるサノスの養女だ。
リュック・ベッソン製作・脚本の映画「コロンビアーナ(2011)」を見たときは「こんなに細いのに、ここまで強いわけがない」とつい冷静になってしまったが、この映画で彼女は安定感のあるパワフルなアクションを見せている。

ちなみに、このガモーラは“緑色”の肌をしている。アバターではご存知の通り彼女は“青色”だった。
この役のオファーがきたとき、「今度は緑かよッ!」と言ったに違いない。

デイヴ・バウティスタ演じるドラックスは超人的な力と戦闘能力を持つ戦士。
家族を失い復讐に燃えるこのキャラクターは荒くれ者でありながら、いつも、なんとなく周囲に説得されちゃうお人好しでもある。
単細胞だが仁義を通す男なので、いったん納得したり、恩義を感じたら裏切らない。
特にアライグマのロケットや木のグルートと接するとき、彼の愛すべき部分がにじみ出る。

ちなみに、ムキムキボディでわかるように、デイヴ・バウティスタさんは本当のプロレスラーでもある。
どうやら「007 スペクター (2015)」にも出演するらしい。

アライグマの姿をしたロケットは、ブラッドリー・クーパーが声を担当している。
賞金稼ぎの無法者だが、その姿に強いコンプレックスを持っているのが切ない。

そして、相棒のグルートとのやりとりに、多くの観客は心を締め付けられるだろう。
このロケットは、アライグマなのに武器を持ってキメ台詞を発すると、やたらサマになってしまう。
ドでかい銃を持って「オゥ…イエイ」と言って似合うアライグマはそういない(というか絶対いない)。
おまけに、かなりの天才だ。

この映画を観終わるときには、誰もが彼を抱きしめたくなるはずである。
そして…

多くの人が魅了されるであろう木のヒューマノイド(木であるが人のような生物)、グルート。
あるシーンを除いて「私はグルート(I am Groot)」としか言葉を発しないが、その言葉に色々な感情や意味を込めており、相棒のロケットだけはそれを理解する。

欲や邪心、恐れる気持ちを持たず、戦うとき以外は常に温厚で公平である。
ただ、自分が仲間に入れてもらえないとすぐに「私はグルート(I am Groot)」と主張する。

また、何を行うにしても躊躇しない。彼は心の底から仲間を愛し、そして、実はとてもハッピーな精神の持ち主だ。
幼い子供がいたら、自分に生えた花をあげるグルート。

ロケットが心配すると、大丈夫だよと、まるで父のように優しく頬を撫でるグルート。
だめだ、もう限界。書いているうちに涙腺崩壊だ。

色んなことを書いてもコレに尽きる。
参りました!グルートさま!どわいッ大好きですッッッ!

グルートの声担当はヴィン・ディーゼル。
そのほか、グレン・クローズ、ジャイモン・フンスー、ベニチオ・デル・トロ、マイケル・ルーカー、ローマン・デイと脇を締める俳優陣もスゴイが、あのハワード・ザ・ダッグもカメオ出演しているのでお見逃しなく。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)

監督 ジェームズ・ガン
出演 クリス・プラット/ゾーイ・サルダナ/デイヴ・バウティスタ/ヴィン・ディーゼル/ブラッドリー・クーパー

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