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CINEMAバリQ

【インビテーション】
最後の最後に「本当の恐怖」に気づく映画

インビテーション 映画あらすじ

ある事故が原因で離婚したウィルの元妻イーデンは、2年間ものあいだ音信不通になっていた。ところがそのイーデンからウィルのもとに、突然ディナーの招待状が届く。ウィルは気が重かったが断るわけにもいかず、現在の恋人キーラをともない、かつてイーデンと暮らした我が家を訪れる。するとイーデンは人が変わったように明るく、ウィルとキーラを笑顔で歓迎。ウィルと同様に招待されていた旧友たちも2人を歓迎した。しかし、そのディナーはどこか奇妙で、何か言いようのない不穏な空気が流れていた。

インビテーション 映画レビュー

物語が始まってからずーっと陰鬱で、何か含んだような雰囲気に包まれ続けているこの映画の印象は、さほど珍しくも感じないサスペンス映画だった。しかしラストシーンを観たとき、想像以上の事態が起きていることに気づかされる。

しかも、“それ”が広がっている規模は限りなく未知数なのだ。この映画にゾンビは登場しないが、どこまで広がっているのか、どこが安全なのか把握しきれないような状況はもはやゾンビ映画。ただ決定的な違いは、ある意味「感染」とも言えるようなものが、一見しただけではわからないということ。しかも、この映画で描かれたことは現実にも起こり得るし、違ったかたちでは既に起こっている。

映画のなかのセリフにある「壮大な計画」とはずいぶん大げさだなと思っていたので、そういうことだったのかと気づくと激しくゾッとした。そして、それと同時に、それまでの陰鬱だった雰囲気が一転、ラストのたった数秒でサバイバルストーリーへと転換したのだ。

ちなみに今作品は、シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2015で最優秀長編映画賞に輝いている。もちろんそれは、自分が妙にこだわっているラストシーンだけではなく、そぞろ恐ろしい雰囲気漂うホームパーティーの描写、人間模様などが評価されたのだろう。

また、彼がおかしいの? 彼女が変なの? といった感じに、視点の揺らぎが物語の合間に何度も起こる現象も観客を引き込む要因だ。
「思い違いだったのか……、じゃあこっちの人がおかしいのかな?」というような推測を繰り返し、ハラハラドキドキしながらスリラーを味わっているうち、最終的に真実を知りゾッとする、というところだろうか。

 

なんにしても、こんなパーティーにはどうすっ転んでも参加したくはない。また、参加したとしても怪しい人間が数人いると認識した時点で、とりあえず「ちょっとトイレ」といってこっそり逃げる。もしも、逃げられなかったら、『パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会(2010)』の強烈な変態おやじウォーウィック・ウィルソンが登場することを、心から願うだろう。

変態おやじもゾンビも出ないし、お先真っ暗な映画だが、なぜか最終的にはサバイバル。
よろしければ、ご賞味あれ。

 

ライター中山陽子でした。

 

インビテーション(2015)

監督 カリン・クサマ
出演者 ローガン・マーシャル=グリーン/タミー・ブランチャード/ミキール・ハースマン/エマヤツィ・コーリナルディ

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