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CINEMAバリQ

【ミラクル7号】
ナナちゃんが異常にかわいいチャウ・シンチー作品

ミラクル7号 映画あらすじ

ティーは毎日身を粉にして働き、息子のディッキーを名門校に通わせていた。それは、勉強を怠り出世できなかった自分のような人生を、息子には送らせたくないという思いがあるから。しかし、工事現場で働くティーにとって、裕福な子供が通うような私立校の学費は相当なもの。それゆえ2人の生活は貧しく、真夏に扇風機が壊れても修理になんか出せない。ゴミ捨て場から拾った靴はボロボロで、家にある果物は常に腐っている。それでも明るく生きる親子の前に、かわいらしくて不思議な生命体が現れる。

ミラクル7号 映画レビュー

この映画は、親子愛と、ミラクル7号(通称:ナナちゃん)の萌え死ぬレベルの愛くるしさと、無意味でバカバカしい笑いにあふれた作品だ。自分はナナちゃんのかわいさに萌え死に、チャウ・シンチー(周星馳)らしい無意味なギャグの連発に大満足したが、人によっては不可解だったり不快だったりするかもしれない。

公開当時にもよく言われていた「……で? 結局ナナちゃん何しに地球にやって来たんだっけ?」という意味不明な感じとか、食事中のゴキブリとか、とぐろ巻ウ○コとか、ウ○コミサイルとか、そのへんに眉をしかめる人には絶対におすすめできない。

が、しつごいけど筆者はこの作品がだ~い好きだ。

ナナちゃんは、貧しくも深い愛情で結ばれた親子の前に現れた地球外生命体らしきもの。頭はフワフワの白い毛に覆われていて、からだは異常なまでに伸縮するゴムのようである。しかも緑色だ。

大きくてつぶらな瞳と口の感じだけを見ると『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのベビーグルートになんとなく似ているかも。仕草はまるで犬のようだが表情豊かで、人知れず特別な力を使うときはカンフーのような動きを見せる。

何のめに地球へやって来たんだか、さっぱり分からんナナちゃんがかわいくて、何度も何度も観返してしまった。そんな激しくかわいい宇宙犬ナナちゃんは、かわいいだけではなく慈愛にも満ちている。そして、それが貧しい親子に奇跡をもたらすのだ。

チャウ・シンチー作品の主人公たちは、だいたいが貧しい暮らしを送っている。しかし、ボロボロの家でボロボロの服を着ていても、彼らの心は純粋で誇り高い。そのため、向かう先に高くて厚い壁がいくつも立ちはだかり心が折れそうになっても、最終的にはそれを打ち破って前に進むことができる。だからチャウ・シンチー作品は面白い。

また、しんみりさせたままではないところがいい。ぬいぐるみに乾電池やら点滴やらのくだりは、悲しいんだか可笑しいんだか頭が混乱した。

そして、なんといっても一見無意味に思える(いや、本当に無意味なものも多いけれど)連続のなかに、さりげなく真理を見せてくれるのが魅力だ。この映画では、パラパラとめくれた勉強ノートと鉛筆に目を向けたディッキーの姿を目にしたとき、それを感じた。人はよく大切なものに気づかず、道を見極められない。でも、それに気づくこともできるし、進むべき道も見つけられる。

そんなことから、チャウ・シンチー監督は“こうあるべき”は無視しても、自分自身のインスピレーションは絶対に無視しないだろうなあと想像してしまう。しかも、それを多くの人がかかわる映画づくりで全うするのだからすごい。強靭な意志と実行力がなければできないはず。天才肌というだけでは無理だろう。

知る人も多いが、ティーの息子ディッキーを演じたシュー・チャオは女の子で、ほかにも男の子役を演じた少女がいる。シュー・チャオは現在すっかり女の子らしくなって、この映画で見せた姿からは想像できないほど美しく成長したようだ。

そんな女の子の成長による変化の対比や、「ナンセンス」と「真理」との融合を、テーマ曲でもあるファンキーなディスコミュージック「ボニーMの『Sunny』」に身を任せながら、ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

ミラクル7号(2008)

監督 チャウ・シンチー
出演者 チャウ・シンチー/シュー・チャオ/キティ・チャン/リー・ションチン

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