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CINEMAバリQ

【インビジブル・ゲスト 悪魔の証明】
現場には見えない客がいたの? 悪い奴は誰なの? なスペイン発サスペンス※ネタバレあり

謎を解くたびに「真実」が姿を変えていく――

【あらすじ】

不倫相手ローラの殺害容疑で起訴された若き実業家ドリア。現場は山奥の密室で、ローラの遺体とともにいたのはドリアただひとり。状況証拠は不利そのものだった。

裁判まで残された時間はわずか3時間。ドリアは密室に第三者がいたこと、自分も被害者であることを一貫して主張し、凄腕弁護人グッドマンとともに事件の再検証に乗り出す。

しかし、グッドマンは「真実は全て話した」と言い張るドリアに対し、ある事件について問いかける。ドリアには、ある大きな秘密があったのだ。

プロットは見事。でも鑑賞途中で “わかっちゃう” 事件も多発!?

【レビュー】※ネタバレします!

● えっ…えっ!? が連続する、秀逸プロットの波状攻撃

この映画は、「プロットが素晴らしい」「完璧」とも評されているスペイン製サスペンスです。このあとネタバレしますので、未鑑賞の方はご注意ください。

いつにも増して「ネタバレ告知」が必要な理由は、物語が進むにつれ、脳が何度も「えっ…えっ!?」となるタイプの作品であるためです。つまり、意外な真実が何度も波のように押し寄せてくるということ。

サスペンス要素、いくつもの伏線、 まったく異なる視点で展開を分けていることが観客を飽きさせない仕組み。

たくさん驚かされて、最後に拍手喝采、といったところでしょうか。

ですが――

本作は「え、まさか、そうだったの……!?」という驚きがのおもしろさの要。

それを、鑑賞途中で気づいてしまった場合、
「え、まさか、そうだったの……!?」が一転、

💭 筆者の心の声

だよね~😑

になっちゃうんですよね。筆者がそれでした。

● 怒れるお母さんの目ヂカラで、裏が見えてしまった件

早い段階で「秘密」がわかってしまった原因は、言ってみれば「役者さんの上手すぎる演技」のせい。

その役者さんとは、グッドマンとして登場したアナ・ワヘネルさんのこと。彼女は、冷静さの鎧に隠れたマグマのような怒りを、ところどころで小さく見せていたのです。

そもそも、最初からグッドマンの登場は意味ありげでした。

「クライアントを無実にする使命をもった、超高額報酬で雇われる凄腕弁護人」の雰囲気とは、一線を画していたのです。

エレベーターを上がってくる、その絶対零度の目の色のなかに見えたのは、使命感ではなく、有り余る自信でもなく、

あふれだすような “困惑と怒り” でした。

その雰囲気で「あれっ……?」と思ったのが最初。
そこから、時折見せるマグマと、特徴的な顔のつくりが、筆者の違和感を以下の確信に変えたのです。

⚠️ 超ネタバレ

「本当は凄腕弁護人じゃなくて、 怒れるお母さんだよね?」

印象的なアゴや、ギュッと締めた口、おでこから目にかけての距離感、目を見開くような表情など、隠しても隠しきれない “怒れるお母さん ” の特徴。

その “怒れるお母さん ” とは、会社のお金を横領して失踪したとされる青年のお母さんのこと。そして、若き実業家ドリアは、その失踪事件に深く関与していたのです。

⚠️ 超ネタバレ

(っていうかドリアは犯人で一番の悪魔) 

この物語は、その青年の母親が真実を導き出すために、凄腕弁護人のフリをして容疑者(ドリア)に近づき、最終的には目的を達成するというものでした。もちろん、父親も最初は表で、のちに影で奔走しています。

これが途中でわかったとき、「じつはこれも伏線で、観客にあえて母親であることを気づかせ、さらに意外な展開を見せようとしているのだろう」と考えましたが、結局のところ、そうでもなかったようです。

● 副題の勘違いで、裏が見えてしまった件

凄腕弁護人が「主人公に殺された青年の母親」だとわかったところで、少し空気が抜けてしまった筆者ですが――

途中、凄腕弁護人(母親)の追求で、徐々にドリアが秘密を明かし始める流れ、そしてさらに激しく問い詰め、まったく違う角度から真実が見えてくる展開は、本当に見事でした。

そのおもしろさの要は、視点を変えることでまったく違うストーリーが見えてきて、主人公の “悪魔的な本性” もじわじわと見えてくる部分なんです……、

が……、

偶然、副題の「悪魔の証明」の意味を知らなかった筆者が、その言葉のニュアンスで、最初からドリアが羊の皮をかぶった悪魔だと考えていたため――

これに関しても結局最後は

💭 筆者の心の声

「だよね~😑」

になってしまったのです。

ちなみに「悪魔の証明」 とは、「存在しないことや事実がないことを証明する困難さを表す言葉」なのだそうです。筆者はてっきり、真実を追求してその悪魔性を明らかにするという意味なのかと勘違いしていました。

で、その勘違いが結局、映画の裏を見せてしまうことに。

  • 原題は『Contratiempo』―予期せぬトラブルや困難な状況
  • 英語題は『The Invisible Guest』― 見えない客

どちらかひとつのタイトルにしておいてくれたらよかったのに……。

● 妄想は続くよどこまでも──筆者が夢見た「裏の裏」オチ

「だよね~😑」 が続いてしまった筆者は、それでもあきらめずに、ラストでドカン! と “大どんでん返し” がくるのを期待していましたが、結局願いは叶わず想像どおりの終わり方でした。

で、

どんな期待をしたのかというと、

じつはローラーが生きていたとか、青年が生きていたとか、じつは青年とその両親とローラがグルで、ドリアからすべて奪い取るために近づいたとか。

まあでも、

不可能に近かった「真実の究明」をやってのけ、

まったく罪のない息子の名誉を晴らせる段階にまでこぎつけ、

息子が海深く沈んでいる場所も明らかにしたことで、

両親の無念が、ほんのわずかではありますが晴れたので、

これが一番の終わり方だったのかもしれません……。

🎬 ~ The End ~

(ライターgatto)

インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(2016)

監督:オリオル・パウロ
出演者:マリオ・カサス , アナ・ワヘネル , ホセ・コロナド , バルバラ・レニー

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