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CINEMAバリQ

【ランブルフィッシュ】
コッポラが描く幼きストリートギャングの物語


ランブルフィッシュ 映画あらすじ

ラスティ・ジェームスは、バイクボーイと呼ばれ不良たちの憧れだった兄が町を去ったことに心を痛めていた。ところがある日、ラスティが敵対するグループの一人と決闘をしていると、ふいにその兄が姿を現す。大好きな兄が戻り喜んだラスティは、かつてストリートギャングたちのリーダーとして君臨していた兄の復活を期待する。だが彼の内面は別人のように変わり、ケンカを嫌って読書したり、ペットショップで水槽のなかを泳ぐ魚を眺めたりするようになっていた。しかし、昔からバイクボーイに目をつけていた警官のパターソンはその変化を読みとらず、容赦のなく彼をつけまわす。

ランブルフィッシュ 映画レビュー

危うく頼りない少年少女たちの物語。すべてが白黒の世界だが、唯一色を帯びているのがタイトルでもあるランブルフィッシュだ。

ランブルフィッシュとは、またの名をベタといい、見た目の美しさに反し相手が死ぬまで闘う習性のある熱帯魚らしい。原産地のタイでは闘魚として人気が高く、賭けの対象にもなっているとのこと。

ペットショップの狭い水槽のなかの世界と、戦うことしか知らないランブルフィッシュが、バイクボーイには自分や弟のように見えたのかもしれない。

この映画には有名なスターたちがこぞって出演しているが、いまから34年も前の映画なので皆かなり若い。そのなかで特筆すべきは、バイクボーイを演じたミッキー・ロークの色気とカッコよさだろう。現在の様子からはまったく想像できない男前っぷりだ。もちろん現在は現在で誰にもマネできない個性をもつ、才能にあふれた役者さんだけれども。

また、ラスティの本命を演じたダイアン・レインの幼く瑞々しい美しさには、本当にウットリするほど。

ちなみにバイクボーイの弟ラスティ役はマット・ディロン。お兄ちゃん大好き光線を出しまくっているため不良だが憎めない。飲んだくれのダメ父親はデニス・ホッパー。不良仲間のニコラス・ケイジやクリス・ペン。ニコラス・ケイジの若いころはいまと違い、ずいぶんヤワに見える。

不良たちがたむろする店の主にトム・ウェイツ。ラスティたちの相談役っぽいローレンス・フィッシュバーン……、と、そうそうたる出演者のなかには、今作品の監督フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラもいる。当時はまだ、おませなちびっ子だ。

母親が家族を置いて家を出たことが発端で、父は酒に溺れるようになり、息子たちは立派なストリートギャングの道へと進む。しかし、ストリートギャングのリーダーであるバイクボーイは、その荒んだ人生があまりにも無意味だったと気づき、唯一自分を心から慕ってくれる弟を最後に救おうと考える。

「人生の意味」なんて誰が答えを出そうとしたって都合のいい言葉にしか置き換えられない。「無意味」も同じ。つまり、本来は無意味な人生なんて誰にも判断できるはずがない。だから、バイクボーイが自分の人生をそう思いこんでしまったことが残念だ。それに、弟は本当に救われたのだろうかと疑問が残る。

不遇な生い立ちをもつ少年たちのよくある悲しい物語だが、若きスターたちの瑞々しさと、まるで昔の映画のような白黒映像が印象を残す作品だった。原作者はコッポラ監督がメガホンをとった『アウトサイダー(1983)』と同じである。

ライター中山陽子でした。

 

ランブルフィッシュ(1983)

監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演者 マット・ディロン/ミッキー・ローク/ダイアン・レイン/デニス・ホッパー

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