【ジャック・リーチャー NEVER GO BACK】
70年代的なドッシリ感がいい渋めハードアクション
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK あらすじ
MP(米陸軍憲兵隊捜査官)の少佐として大きな功績を残してきたジャック・リーチャーは、その肩書きから離れ何にも属さず、誰とも深く関わることなく、弱者を助け放浪の旅を続けていた。そんな彼の心を唯一癒す声の主は、彼の後任でもあるMPのターナー少佐。だが、ジャック・リーチャーがターナー少佐を食事に誘おうとワシントンD.Cの軍施設を訪れたとき、なぜか彼女の姿がない。そして、あまりにも突然にそのターナー少佐がスパイ容疑で逮捕されことを知る。その状況を不審に思ったジャックは、軍内部でのおかしな動きを察知。持ち前の能力を発揮してターナー少佐を救い、真相を追いはじめる。
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK レビュー
少しクラシカルでさびれたような雰囲気があり、なんとなく『ダーティハリー』シリーズや『フレンチ・コネクション(1971)』『ブリット(1968)』に『ゲッタウェイ(1972)』といった70年代の映画を思わせる作品だった。
また、派手さのないドッシリとしたアクションほとんどを、徹底的に訓練された俳優さんたちが実際に行っていたので、非常に迫力があってリアルだ。
そもそもイケメン俳優として名を馳せたザ・ハリウッドスターのトム・クルーズである。何かにつけ色眼鏡をかけて見られるのは仕方ない。しかし、50代半ばとなり老いも感じられ、イケメンという印象でもなくなったトム・クルーズが演じた今作品のジャック・リーチャーは、彼が演じたキャラクターのなかでは最高だったかもしれない。恐らく世間的にはそうでもないと思うが、自分はこの作品を甚く気に入ってしまった。
俳優さんたちは本当によほど鍛えたのだろう。走るシーンの多い映画だが、その走りっぷりは役柄どおり軍経験者にしか見えなかった。なかでも特に、スーザン・ターナー少佐を演じたコビー・スマルダーズは素晴らしい。人間としての強さに、真面目さや頑固さ、正義のもと決して揺るがない精神がにじみ出ており、本物の少佐かと思えるほどだった。製作スタッフも彼女のはまり役だと認めているようだ。
彼女はマーベルコミック映画の『アベンジャーズ』や『キャプテン・アメリカ』シリーズで、ニック・フューリーの部下マリア・ヒルを演じている。個人的にはマリア・ヒルを演じている彼女よりも、断然スーザン・ターナー少佐を演じている彼女の方が魅力的だと思う。
ストーリー自体はよくあるものかもしれない。だがむしろ、とてもリアルな事件を扱っているといえる。リアルな事件とは、民間の軍事会社による事件のことだ。正規軍に属さない組織だけに、一部の人間もしくは組織ぐるみで法の目をかいくぐり、良からぬことをしでかすケースは少なくないという。
このようにリアルな内容なので、どんどんどんどんどんでん返し的な物語の複雑さはない。退屈だと感じる観客も少なくないだろう。しかし、そのおかげで70年代的な美術やタッチ、派手さのないアクションが際立つ印象だったので、自分はそれを好意的に見ている。
なお、ジャック・リーチャー はイギリスの推理小説家リー・チャイルドによる小説のキャラクター。シリーズ化されており、そのなかで映画化されたのは今作品と『アウトロー (2012)』である。もちろん、いずれもトム・クルーズがジャック・リーチャーを演じている。
ぜひご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016)
監督 エドワード・ズウィック
出演者 トム・クルーズ/コビー・スマルダーズ/オルディス・ホッジ/ダニカ・ヤロシュ
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