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CINEMAバリQ

【マグニフィセント・セブン】
とっても多国籍な『荒野の七人』リメイク作品

マグニフィセント・セブン 映画あらすじ

ローズ・クリークで慎ましく暮らす人々の生活は、近郊の鉱山から金を採掘するためにやってきた悪徳実業家バーソロミュー・ボーグによって脅かされていた。そして、ついにボーグは町の人々を追い出そうと教会を焼き、逆らう住民らを射殺。夫を殺されたカレンは涙をふいて立ち上がり、ボーグと戦うため助っ人を探しはじめる。そんな彼女の前に現れたのはサム・チザムという男。彼は7つの州の委任執行官であり、飛び抜けて腕のいい早うちガンマンだ。指名手配犯に対し手際よく刑を執行したサム・チザムに、カレンはわずかな全財産を渡して町の助っ人を依頼するのだが……。

 

マグニフィセント・セブン 映画レビュー

説明するまでもなく、この映画の大もとは黒澤明監督の『七人の侍(1954)』だ。それをリメイクした西部劇『荒野の七人(1960)』を、さらにリメイクしたのが今作品である。

『荒野の七人』でガンマンが“ならず者”だったことに不満をもらしていたという黒澤明監督。この作品を観てもらうことが叶うならば、7人のなかに南北戦争を経験した元兵士が2人いるという設定に、満足してもらえたかもしれない。

しかし、アフリカ系アメリカ人、アジア人、ラテン系、ネイティブ・アメリカンといった、さまざまな人種からなる7人の助っ人や、男性よりも勇ましい未亡人カレンには腰を抜かしただろう。

なんにせよ、名作のリメイクという感じではなく、単純に悪をやっつける娯楽映画として楽しむことができた。元兵士によるプロの戦術で対抗するところは『七人の侍』に近いかもしれない。そして、今作品で立ち上がる町人たちは誰もが健気でクリーンなまま。『荒野の七人』の村人や『七人の侍』の農民、いずれとも違っている。

なお、『荒野の七人』の俳優陣は、ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンといった、目の前に現れたらチビリそうなほどすごいメンバーだ。しかも、スティーブ・マックイーンとジェームズ・コバーンは、あのブルース・リーの直弟子で親友でもある。揃いもそろって雲の上にいるような遠い存在なので、いくら現在活躍している俳優さんたちでも、それをまともに気負ったらかなりの重圧だろう。

しかし、あくまでも勝手な解釈だが、今作品で7人の助っ人や悪役などを演じたデンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、イ・ビョンホン、ピーター・サースガードらは、名作に対し深い敬意をもちつつ、今作品だけの独自性を楽しみ、自分たちらしく演じていたように見えた。

また、デンゼル・ワシントン演じるサム・チザムは、かつてユル・ブリンナーが演じたクリス・アダムスに相当するようだが、有無をいわさぬリーダー気質や、早撃ちガンマンっぷりも堂に入っていたので、比較しても見劣りしないはず。

ビリー・ロックスを演じている韓国人俳優のイ・ビョンホンも、際立った存在感を見せつけてくれた。彼が得意なアクションシーンはもちろんだが、イーサン・ホーク演じるグッドナイト・ロビショーとの友情を描いたシーンも印象的だ。過酷な戦いのさなか、グッドナイト・ロビショーが父との思い出を語りはじめ、そのあと2人がたまらなくなって笑い出すシーンがとてもいい。

ただ、ひとつふたつ突っ込みを入れるとしたら、クリス・プラット演じるジョシュ・ファラデーが、相手の気をそらすために見せるトランプのマジックが、あまり高度な技に見えなかったような気がする。

あと、マヌエル・ガルシア=ルルフォが演じたバスケスが銃を構える際、銃身がヘロヘロ揺れてビシッとしていない。 あれじゃあ的を外しまくるだろうに。

まあ、突っ込みはその辺にして、 一癖ある個性豊かなメンバーだが、それなりの情や優しさ、男気をもちあわせているのが心憎い。ビリーやロビショーに限らず、なんとなく友情を芽生えさせていくデコボコメンバーたちには無理なく愛着がわく。

はみ出し野郎たちが弱き者を助け、悪を成敗する物語を、ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

マグニフィセント・セブン(2016)

監督 アントワーン・フークア
出演者 デンゼル・ワシントン/クリス・プラット/イーサン・ホーク/ ヴィンセント・ドノフリオ

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