【マラソンマン】
ダスティン・ホフマン主演の70年代サスペンススリラー
マラソンマン 映画あらすじ
ある日ニューヨークの街中で、2台の車が事故を起こし炎上する。その事故で1人のユダヤ人と、元ナチ党員クリスティアン・ゼル博士の兄クラウス・ゼルが死亡。一方、任務のためフランスのパリを訪れていたドクは、滞在先のホテルで命を狙われる。その頃ニューヨークでは、マラソン好きな大学院生ベーブが、図書館で美しいスイス人の女性と出会い恋に落ちていた。だが、その少しあと、2人のカップルは怪しい男たちに襲われケガを負ってしまう。やがて、バラバラに起こっていた不穏な出来事は1つに重なり、人々の心に潜む闇と欲望、または復讐心によって動かされていく。
マラソンマン 映画レビュー
冒頭の、ジイ様2人のケンカがあまりにも低レベルだったので、少しばかり映画の先行きが不安だったが、結果としては重厚感あふれる70年代のサスペンス映画を堪能できた。
この映画の原作・脚本はウィリアム・ゴールドマン。ジェイソン・ステイサム主演の『ワイルドカード (2014)』や、『ミザリー(1990)』『ドリームキャッチャ(2003)』などスティーヴン・キングの小説を映画化したものや、『マジック (1978)』『動く標的 (1966)』など数多くの原作・脚本を書いている。
作品については、ずいぶん古い映画なので、いま観るとさほど驚かされる部分はない。しかし、FBIやCIAとはまた違う秘密情報機関の活動とか、裏切りとか、不気味なアジア系の殺し屋とか、裏のかきあいとか、きっと当時は新鮮だったのだろう。それに、むしろ2017年においては、そのシンプルさこそが心地よい。「いやー、映画って本当にいいものですね!(by水野晴郎氏)」の世界だ。
だが、やはりその古さゆえ、突っ込みどころも満載である。つまり、いろんな意味で飽きさせない。
図書館で出会った美しい女性エルザへの、ベーブからの積極的なアプローチはストーカーレベルだし、関係ないがベーブって名前はかわいい子豚ちゃんベイブを思い出させる。途中ベーブが得意の走りで逃げまくるシーンは「まさか、この走りで逃げきれるからマラソンマンというタイトルなのか?」と不安にさせる。
とはいえ、これはあながち間違いではない。主人公のベーブは、「ちょっとマラソンが好きなんだよね~」レベルではないのだ。陸上の金メダリストであるアベベ・ビキラに心酔しており、毎日のジョギングはかなり本気レベルだ。でも、コロンビア大学では優秀な大学院生のようだし、いったいどこに向かい、何を目指しているんだろうと、やはり不安になる。いずれにせよ、その本気レベルなトレーニングが、(殺しもいとわない)プロの連中も追いつけないほどの走りを見せたのは確かだ。
でも……、意味ありげに何度も映しだされるアベベ選手の役割は、それだけでいいのだろうか。(まあ別にいいけど)
ちなみに、当時は拷問のシーンがずいぶん生々しいと話題になったとのこと。その残忍極まりない拷問を行った登場人物は、元ナチ党員クリスティアン・ゼル博士。演じたのはローレンス・オリヴィエだ。イギリスのシェイクスピア俳優で、アカデミー賞の受賞者、監督でもあり、なんと貴族でもある人。
そんなすごい人が、もっとも気に入っている作品は、意外にもこの映画なのだという。出演者にとっても、残忍な博士の拷問シーンは印象深かったのかもしれない。
あと、ベーブの恋人エルザについて。ベーブよりかなり年上に見えるので、何だか不釣合いに感じた。まあ、『卒業(1967)』もそうだったが、若かりしころのダスティン・ホフマンは母性本能をくすぐるかわいいタイプなので、年上女性にモテたのかもしれない。そして、忘れてはならないのがパリのホテルで筋トレするロイ・シャイダー。細マッチョなムッキムキボディがすこぶるカッコいいので必見だ。さすがはマーティン・ブロディ署長! (『ジョーズ(1975)』)
とまあ、盛りだくさんな70年代ムービーを、ぜひご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
マラソンマン(1976)
監督 ジョン・シュレシンジャー
出演者 ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ/ロイ・シャイダー/ウィリアム・ディヴェイン
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