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CINEMAバリQ

【告白】
ゆるぎない復讐心に引き込まれる映画

告白 映画あらすじ

担任の森口悠子は、終業式後のホームルームで教壇に立ち静かに語りはじめた。生徒らは担任の話などに気にも留めず、好き好きに会話して、騒ぎ、携帯をいじり、言葉の揚げ足をとっては茶化している。しかし、森口悠子もその状況を気にする様子は全くない。そして話は「わたしの娘は、このクラスの生徒に殺されたんです」と続いた。生徒らは驚いた表情を見せたが、そのあとさらに驚愕の事実を知らされる。

それから月日が経ち、見するとごく普通に見えるその教室では、異常とも思える暗黙のルールが根付いていた。

 

告白 映画レビュー

少年犯罪と復讐が軸になった映画。「命の重さ」について伝えているという見方もあるが、どうだろう。どちらかというと幼く安易な意識に容赦なく「罪の重さ」を知らしめたという感じがした。内容が内容なので、数々の物議をかもした映画である。

快楽殺人であったり、わずかなお金を盗むためであったり、自分が死にたいから人を巻き添えにしたりなど、世のなかにはバカな理由で人を殺める犯罪があふれている。

そのなかで、どれほど犯行が残忍だろうと加害者が守られ、被害者がいたたまれないのは未成年による犯罪だ。そんな状況に対し、怒り心頭に発した人々が拍手を贈ったかもしれないのがこの映画。

ただ、復讐は、救いではなく復讐しか生まない。
でも、復讐せず、すべてを受け入れれば救われるのかといったら、
そうでもない。

ならば、「決して救われない」ことを、受け入れればいいのか。

でも、悲しいかな、
人間が生きられるのは、今日とは違う明日があると期待しているから。
記憶だけが蓄積されて、まったく同じ明日しかないならば、
生きようと思う人はほとんどいないだろう。

だから、復讐心も、救われるかもしれないという期待も、
明日は幸せになろうという心も、明日は今日と違う日があるという期待も、
みーんな「生きる糧」だ。

ネガティブな「生きる糧」で森口悠子は強い生命力を持った。そして、強靭な意思と行動力、そのための強さと執着する心を身につけたのだ。本人はそれを望んでいたわけではないけれど。

監督は、『下妻物語(2004)』などを手がけた中島哲也氏。原作は湊かなえさん。たっぷりと時間をかけて相手を憎々しく描き、その相手にむごたらしい鉄槌を下す安直さがいい。この映画を観たとき、『親切なクムジャさん(2005)』という韓国映画を思い出した。今作品と内容はまったく違うが、徹底的に復讐するあたりは相通ずるものがある。

そもそも、日本には敵討ち・仇討ちという制度化された私刑があった。明治になって司法制度の整備が行われ、それは禁止となっている。だが、その司法制度はいま、必ずしも罰するべき者を罰しておらず、守るべき人を守ってはくれない。

そんな世のなかにおいて、目立たず深く致命傷を負わせる刀を手にし、淡々と確実に切り込む森口悠子を演じた松たか子さんは、氷のように冷たく燃える青い炎のようだった。

超さわやかな透明感あふれる笑顔で「ヤマザキ、ロイヤ~ルブレッド♪」と食パンをほおばる姿からは、まったく想像できない演技を見せてくれるので、ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

告白(2010)

監督 中島哲也
出演者 松たか子/木村佳乃/岡田将生/西井幸人

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