【インサイド・ヘッド】
とても脳科学的なディズニー・ピクサー映画
インサイド・ヘッド 映画あらすじ
11歳の少女ライリーは、ミネソタの田舎町で暮らすホッケーが大好きな女の子。両親の愛に包まれ、すくすくと元気に成長している。そんなライリーの頭のなかには司令部があり、そこには5つの感情がいる。ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミだ。彼らはライリーが大好きで、彼女が安全で幸せであるように日々奮闘している。ところがライリーは、父親の仕事の都合で大都会のサンフランシスコへ引っ越すことに。そのため、感情が大きく揺れて司令部は大混乱。そのときトラブルが発生し、ヨロコビとカナシミが司令部から遠く離れた長期記憶の保管場所へ飛ばされてしまう。
インサイド・ヘッド 映画レビュー
映画として非常に面白いだけではなく、脳科学好きの勘所をくすぐる作品だった。感情が動いたときに生まれる記憶(経験)や、莫大な量の記憶が貯蔵されている長期記憶の保管場所、無意味に頭のなかで繰り返される映像と音に、幼い頃の空想の友達、そしてイマジネーションの領域などなど……。
おまけに、愛着がわきやすいキャラクターばかりを用意してくれるもんだから、ある別れにはワーワー泣いてしまったほど。自分自身の脳にも、強く記憶に残る作品となった。
記憶容量を調節するために、係員が脳内を巡回して必要のない記憶を捨てている設定も面白い。ときどき無意識にCMソングを口ずさんでしまうのは、奴等のイタズラだったのか(笑)
そのほか、記憶の焼却庫で簡素化、二次元化してしまうという、想像力豊かな描写にもシビれた。「知識には限界があるが、空想は世界を包み込む」とアルベルト・アインシュタインが言っていたように、想像力がもたらす世界は本当に無限だと感じる。
だが、さらにその世界観を深めるためにも、成長の過程で「喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみ」という感情以外に「理性」を誕生させて欲しかった気がしないでもない。
前頭葉がもっとも発達しているのは人間。同じ霊長類のサルも発達しているが、人間には及ばないという。
その前頭葉の、いちばん前にあるのが前頭前野。前頭前野は、記憶や学習にも関わるが、強い感情や衝動を抑制する機能も担っている。いわゆる「理性」というやつだ。
例えば「喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみ」といった、本能的な感情が活発化したとき、前頭前野が働いて冷静にやりとりすることができるのだ。
とはいえ、それが十分働くのは大人である。まだ幼い脳はこの抑制機能がしっかりと働かず、感情的になってしまう。それが思春期というものなのだ。
なおさらライリーはまだ11才。理性が整っていないのも頷ける。それに、前頭前野が発達しすぎて、やたら理性的かつ論理的かつ合理的な考え方をする子供では可愛いげもない。
だが、前頭葉の発達は人間たる証拠。控えめにラストシーンあたりで登場してくれても良かったかな?
まあ、そんなことはいいとして、とにかく素晴らしく映画なので、大人も子供もぜひご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
インサイド・ヘッド(2015)
監督 ピート・ドクター,ロニー・デル・カルメン
出演者 エイミー・ポーラー/フィリス・スミス/リチャード・カインド/ビル・ヘイダー
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