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CINEMAバリQ

【ファム・ファタール】
エロティックで悪巧みなブライアン・デ・パルマ作品

ファム・ファタール 映画あらすじ

フランス・カンヌ映画祭でひときわ目を引く美しい女性。彼女はダイヤが散りばめられた1000万ドルのビスチェを身にまとっている。ロールたちは、煌びやかに装い祭典に浮かれる人々のなかに紛れ込み、まんまとそのビスチェを盗みとることに成功。たがロールは仲間を裏切り、他人の身分を奪ってアメリカへ逃亡してしまう。それから7年後、アメリカ大使夫人となったロールは、何ごともなかったかのように新しい人生を歩んでいた。しかし、一枚の写真が彼女を再び過去に引き戻す。

 

ファム・ファタール 映画あらすじ

エロティックで艶かしいサスペンスという部分は、いかにもブライアン・デ・パルマ監督らしい作品。彼の作品には、おおむね犯罪の美学や悪の美学がよこたわってる。特に、『スカーフェイス(1983)』はピカレスク・ロマンの王道として有名だ。

正直に言うと、この監督の作品は好んで観るというよりは、怖いもの見たさで鑑賞している部分が大きい。だから、結局いつも観たあとは心にモヤモヤ感が残ってしまう。その理由は、主人公に共感できない部分が大きいだろう。悪だろうと善だろうと、何かしら人間味を感じたいと思うが、そうではないからだ。また、その主人公が自滅でジ・エンドとなってしまう展開のせいもある。

もちろん、『アンタッチャブル(1987)』には悪と同等に正義も存在しているし、エンターテイメント色が強い『ミッション:インポッシブル(1996)』などはまた違う雰囲気なので、完全に偏っているわけではないけれど。

それに、決して惹かれていないわけではない。その証拠に、なんだかんだいって彼の作品は数多く鑑賞している。彼が生み出す作品は、なだらかな動きをもつアートのようだからだ。特に、女性の艶かしさを描く部分や、登場人物をどんどん破滅に追い込んでいく部分。好き嫌いは別として、監督の美学が、芸術的にどの部類の作品にも表れていることは間違いない。

もちろんこの『ファム・ファタール』も同じである。

しかし、自分がこの作品のことが気になって仕方がない理由はほかにあった。『X-メン』シリーズでミスティーク役を演じた姿を見たときから、レベッカ・ローミンのファンだったからだ。全身は青いし目は爬虫類なのに、体は超ナイスバディ。そして、ひとたび人の姿になると、驚くほど美しい金髪女性ときた。

その美しさに魅せられ、美容師さんに殴られる覚悟でレベッカ・ローミンの、しかもこの『ファム・ファタール』のときの写真をもっていき、「この髪型にしてください」と公家顔で頼んだ過去もある。もちろん、結果はレベッカ・ローミンにならず、山火事にあったようなクリクリパーマをかけられただけだったが。

とにかく、そのミスティークを演じたときのギャップにすっかり惚れ込んだため、この映画で彼女がどんな悪女を演じるのか興味心身だった。しかも、お相手はスペインの色男アントニオ・バンデラスだ。こりゃあ見ものだと。

そして期待通り、同じ人間とは思えないバーフェクトボディを持つレベッカ・ローミンは、とても魅力的だった。(演じた人物像は嫌いだけど)

また、ヒッチコック作品に影響されたという監督らしい、少し優雅でクラシカルな陰影を持つ雰囲気もなかなか良かった。物語の展開は「へ?」と思うところもあったが、別にそれもさほど気にならない。

しかーし、アントニオ・バンデラスの役柄が、とにかくひどい。意外にも自分にとって、それこそがこの作品の残念ポイント。ラテン系が持つ濃厚な色気を、完全に無駄遣いしている。

ちなみに、この物語でアントニオ・バンデラス演じるニコラス・バルドを、悪女ロールとして翻弄し続けなければならなかったレベッカ・ローミンは、踊りながら自慰行為をするシーンが一番しんどかったそうだ。(この終わり方でいいのか)

ライター中山陽子でした。

 

ファム・ファタール(2002)

監督 ブライアン・デ・パルマ
出演者 レベッカ・ローミン/アントニオ・バンデラス/ピーター・コヨーテ/リー・ラスムッセン

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