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CINEMAバリQ

【マリーゴールド・ホテルで会いましょう】
ベテラン俳優の演技がジンワリ染み込む映画

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

映画あらすじ

夫が残した借金を返すため家を失った老未亡人に、定年後の人生が理想とかけ離れてしまった老夫婦、海外で手術をする羽目になった高齢女性に、インドをよく知る高等法院の判事だった高齢男性、もっぱら恋のお相手を探し続ける孤独な老男女……。そんなシニア世代の7人は、それぞれの思惑でインドという地に移住を決意。しかし、豊かなセカンドライフを思い浮かべやって来たマリーゴールド・ホテルは、写真とは大違いのオンボロホテルだった。

 

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

映画レビュー

この映画は、デボラ・モガーの小説『These Foolish Things』を原作とした群像ドラマである。実力派ベテラン俳優たちによる円熟した演技を堪能できる作品としても、非常に価値が高い。

だからこそ、心に深く入り込むセリフも多い。ジュディ・デンチが演じたイヴリンの「人生をひたすら旅してきたわ。もう涙を流していい?」という言葉を聞いたとき、それに比べて自分は浅いなあと思ってしまった(笑)

人種差別や同性愛、長年連れ添った夫婦の関係や、シニアの生き方、風習の違いと、様々なつながりなど……。それらすべてが、エキゾチックなインドを舞台に描かれ、魅力たっぶりに仕上げらている。

とくにお気に入りは、マギー・スミスが演じた人種差別意識の激しいシニア女性と、ひたむきな使用人であるインド人女性との関係。そして、なんだかキュンとさせる、イヴリンとダグラスの関係だ。

しかし、そのダグラスを演じるのは、あのビル・ナイ。

『スティル・クレイジー(1998)』や『ラブ・アクチュアリー(2003)』、『アンダーワールド』シリーズに『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど、数多くの作品で活躍するイギリス人俳優さんだ。

つまり、タコ船長(パイレーツ・オブ・カリビアン)であり、毒舌ロッカーのビリー(ラブ・アクチュアリー)である。そして『ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)』や『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007)』といった作品で、超すっとぼけた役を演じる俳優さんなのだ。

その個性的なビル・ナイが、「平凡だけど、楽天的で優しくて誠実な、定年を迎えたシニア男性」という、かなり似つかわしくない役を演じているのでビックリ。

おまけに胸キュンの相手は、かつて007でMを演じていたジュディ・デンチ。ジェームス・ボンドの上司だぞ。

ところが、さすがはベテランの実力派。ビル・ナイもジュディ・デンチも、他の映画で植えつけられたイメージを忘れるくらい、胸を締めつけるような奥ゆかしい演技を見せてくれた。

2人だけではなく、ベテランで演技が上手い俳優さんばかりなので、最初から終わりまで安心して鑑賞できる。また、デーヴ・パテールなど若手の俳優さんたちも、フレッシュな魅力で作品を盛り上げてくれる。

ただ、若いカップルを囲んだ終盤の展開は、「時間がなかったんか」と突っ込みたくなるほど、やたら都合のいい運びだった。

まあ……、別にいいか。「何事も最後は大団円」なのだから。

ライター中山陽子でした。

 

マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2012)

監督 ジョン・マッデン
出演者 ジュディ・デンチ/ビル・ナイ/ペネロープ・ウィルトン/デーヴ・パテール

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