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CINEMAバリQ

【アサシン クリード】
アクションと生物学的な面白さを観る映画

アサシン クリード 映画あらすじ

身体能力に優れた少年リンチ・カラムのひとり遊びは、スタントへの挑戦だ。しかし、どこにでもいる無垢な子供だった彼は、父親に母親を殺されるという悲惨な事件を体験し人生を一変させる。それから30年後、リンチは死刑囚となり、ついに刑執行の日を迎えた。だが彼は死なず、再び謎の施設で目を覚ます。そこにソフィア・リッキン博士と名乗る女性が現れ、リンチにアニムスという装置で500年前に死んだ男の記憶をシンクロさせる。暴力を根絶するため、その鍵を握る人物の記憶が必要だという。リンチはその人物の遺伝子を引き継いでいたのだ。しかし、その施設には、他にも複雑な思惑がうごめいていた。

 

アサシン クリード 映画レビュー

今作品は、フランスのユービーアイソフト社が開発・販売しているゲーム『アサシンクリード』を映画化したもの。

ゲームの知識がインベーダー以上テトリス以下の筆者は、純粋に映画として鑑賞。真っ先に感じたのは、「壮大で厳かで規律的なのに、真夏のソフトクリーム並にセキュリティ意識がゆるい、豪華キャストの映画」だった。

数百年かけてその勢力を伸ばし、その力を維持してきたテンプル騎士団ともあろうものが、アサシン教団の子孫が出入りしている研究室に、古代のもとはいえ不用心に武器を並べておくのはおかしい。それに、例え武器は分解して持ち込めても、集会のセキュリティチェックが甘すぎるだろうに。襲撃は十分想定できるんだから。一番盛り上がるところなので、もっとハードル高めにしておいて欲しがったなと。

とはいえ、CGに頼らない生身のアクションはとても素晴らしかった。

マイケル・ファスベンダーら俳優陣も、体を鍛え上げ果敢にアクション演技に挑んだらしいが、高所から何も装着せず飛び降りる「イーグルダイブ」を再現するために、世界トップレベルのスタントマン、ダミアン・ウォルターズも多大に貢献している。スピード感たっぷりの綱渡りシーンも、その道のプロによるリアルな映像なのだ。

それに、テーマも興味深い。同じ遺伝子を持つ祖先の記憶とシンクロできるということは……、あくまでも、この映画のストーリー上ではあるが、遺伝子には「記憶(体験・学習)」も記録され引き継がれるということだ。

もちろん、現実世界でそれを実証するような研究結果は出ていない。しかし、生物学者の福岡伸一氏によると、「サクラの香りを嗅いでいると電気ショックがくる」という体験をさせたマウスの子どもほど、低い濃度のサクラの香りに対しても、すぐに脅えるようになるのだとか。

しかし、記憶は一世代が終わるとクリアになるので、次の世代には遺伝しないことがわかっている。では、マウスに遺伝したものは何かというと、「サクラの香りが、危機予知のために重要な手がかりになる」ということだという。つまり、世代を重ねるごとにセキュリティを更新できるということかもしれない。「より有利に危険を回避し、生き残るチャンスが増えることになる」と同氏は伝えている。

このように、遺伝子の不思議で好奇心を刺激しながら鑑賞するのも、また一興なのである。

ライター中山陽子でした。

 

アサシン クリード(2017)

監督 ジャスティン・カーゼル
出演者 マイケル・ファスベンダー/マリオン・コティヤール/ジェレミー・アイアンズ/ブレンダン・グリーソン

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