【マトリックス】
いつ観ても最先端なウォシャウスキー作品
マトリックス 映画あらすじ
ソフトウェア会社に勤めながら、裏では天才ハッカーのネオとして犯罪に手を染めるトーマス・アンダーソン。ある日クラブを訪れると、謎の美女が近づき彼に不可解なことを告げる。その後、会社には政府の人間らしき男らが現れ、アンダーソンに尋問を行う。それから次々と信じがたいことが起こり、とうとう彼は人類が置かれている状況を知ってしまう。
マトリックス 映画レビュー
今さらだが、やはりこの作品は何度観ても本当に面白い。すっかり「兄妹」ではなくウォシャウスキー「姉妹」と言い慣れたほど年月が経ったにもかかわらず、時代に先行しているのだ。過去になっても未来を行く、まさに異次元級の映画である。
物語のなかでは、AI(人工知能)が反乱を起こし、人間を支配しはじめたのが21世紀初頭としている。それ今やないかい! と突っ込みつつも、AIの神返答やAIの政治批判といったニュースを耳にすると、あり得なくもないと感じる。
携帯電話すら浸透していなかった時代に、イラストレーターのインストールをフロッピーで行っていたぐらいの時代に、Macのデスクトップがブラウン管でフローピーディスクの挿入口があった時代に、MOディスクにすべてを保管していた時代に、
こんな映画を制作していたというのは、本当にすごいことだ。プログラミングの義務教育化を2020年に控えたいまも、古さを感じないのは驚くべきことである。
ただ、ブルース・リーばりのカンフーは好きだし良いのだけれど、格闘の合間に手招きするブルース・リーならではの動作をやたら多用しているのは、少しばかり気になる。まあ、それはこの映画に限らないけれど……。
なお、この作品は宗教的であったり、哲学的であったりするため、ひとによっては理解しがたい部分があるかもしれない。もちろん、逆に“だからこそ好き”という場合も。
いずれにせよ、物事を創造するにあたって、そういった観念は軸になるのだと思う。真っ白な真四角い部屋で、さあ、どんどん色んなこと想像して! というよりも、何かが置いてあったほうがやりやすい。それが、例えばの話、この映画でいえば聖書と哲学書だったのだ。
それに、想像は脳に蓄積した記憶や知識が組み合わさりどんどん大きくなっていくが、それが膨大化しても方向を見失わないよう、指標となるものが必要だと思う。
それよりもむしろ、あんな長いコートを着て格闘するのは邪魔にならないのかが気になる。鋼鉄の5倍という強度を持つケブラー素材のコートかもしれないけど、見る限りそういった活用はなかったような。
まあとにかく、そんな些細なところは軽く吹き飛ばして、チリもホコリも残さない面白さがこの映画にある。
それに、キアヌ・リーブスはうっとりするほど美青年だし、実はそれほどキアヌと年齢が変わらないローレンス・フィッシュバーンも迫力満点だ。キャリー=アン・モスも美しく、ジョー・パントリアーノもいい味を出している。
魅力的なキャストと、過去に想像されたリアルな未来をぜひとくとご覧あれ。
ライター中山陽子でした。
マトリックス(1999)
監督 ラナ・ウォシャウスキー/リリー・ウォシャウスキー
出演者 キアヌ・リーブス/ローレンス・フィッシュバーン/キャリー=アン・モス/ヒューゴ・ウィーヴィング
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