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CINEMAバリQ

【キス・オブ・ザ・ドラゴン】
警察署まで壊滅状態にしちゃうジェット・リー主演映画

キス・オブ・ザ・ドラゴン 映画あらすじ

麻薬密売人逮捕のため中国から派遣された捜査官のリュウは、悪徳警官リチャードの企みで殺害犯に仕立て上げられてしまう。裏で麻薬の売買や娼婦の元締めをしていたリチャードは、さらに欲をかきフランス麻薬市場の独占をもくろんでいたのだ。初めからリュウを罠にはめようと考えていたリチャードだったが、彼が想像をはるかに超えて凄腕だったため、証拠を握られ手下まで倒されてしまう。一方、慣れない土地でフランス警察から追われる身となったリュウは、唯一信頼する人物が営む店に身を潜めていた。そこで、娘を人質に路上で客をとらされている娼婦、ジェシカと出会う。

 

キス・オブ・ザ・ドラゴン 映画レビュー

「孤高の捜査官が中国から花の都パリに降り立つ。愛想はないが実直そうな印象があり、その目の奧には使命に燃えた強い炎が火柱をあげている」とまあ、『イギリスから来た男(1999)』ばりに『チャイナから来た男』といったところ。

さすが中国全国武術大会での5年連続個人総合優勝者だけあって、ジェット・リーのアクションは本当に素晴らしい。シャイで武骨で嘘がなく、心が優しいリュウというキャラクターもよく合っている。インタビューなどで話すジェット・リーの素朴な雰囲気が、そのまま役に生かされている感じだ。

が、しかし、ビックリするほど物語はメチャクチャだった。公開当時は娼婦ジェシカの身勝手で図々しい振る舞いが気に障ったが、久々に観てみたらメチャクチャ具合のほうに感嘆。映画冒頭のつかみはOKだったのに。

 

何がメチャクチャって、いくらなんでも最初から悪徳警官リチャードがマフィア過ぎ。そのあとのギャップ効果を最大限に活かそうとしているのかと思いきや、最後までゲスの悪党でしかなかった。また、警部としての手腕を見せる場面もほぼなし。悪事に手を染めている姿と上に取り入っている姿しか見せていない。メイキング映像で話すチェッキー・カリョは温厚で人が良さそうなので、なぜリチャードみたいな役にされちゃったんだろうと悪人顔に同情した。

なんせリチャードと部下たちは、思考能力がゼロに等しいくらい所構わず銃をぶっ放す。身内による隠ぺい工作が完全に追いつかないレベルで「場所・人」構わず乱射と破壊と殺戮を行う始末。そんな思考能力ではフランス麻薬市場の独占はおろか、麻薬売買のたびに打ち合いになってすぐ組織を壊滅させてしまうだろうに。なおかつ、フランス警察とマフィアの組織の境界線がまったくない。どんな先進国じゃ。

 

まあ、リュウがフランス警察に乗り込んだ時点では、もう外交もへったくれもない状態だったので、むしろ「ま、いっか」とジェット・リーのアクションを思う存分堪能できた。そして、リュウがたまたま入った警察署内の道場に稽古着姿の猛者がいて、なぜか全員が襲いかってくるという展開で「ああ、これは、ただただ躍動を味わうカンフー映画なのだ」と理解。

ちなみに、この映画はリュック・ベッソンとジェット・リーらの共同制作。病院で患者に鍼が刺さっていたら大騒ぎになると思うが、腕力だけではなく、精神力の強さを思わせる「鍼」という仕留め方はなかなか良かったと思う。

 

だが、カンフー映画として心から楽しもうと思った矢先、やはり結局ひっかかるのはジェシカの言動だった。

何かとリュウにちょっかいを出してグイグイ入り込んできたくせに、「私を巻き込んでおいて――」とか、「あなた自分のことしか考えないのね」などど言いやがったときには、もはや絶句。こやつが余計なことをしたせいで失われた命もあるというのに。

ああ、やはり16年前に鑑賞したときと同じように、結局はジェシカにイラッとくる映画だったのである。

 

ライター中山陽子でした。

 

キス・オブ・ザ・ドラゴン(2001)

監督 クリス・ナオン
出演者 ジェット・リー/ブリジット・フォンダ/チェッキー・カリョ/ローレンス・アシュレイ

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