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CINEMAバリQ

【ファミリー・プロット】
アルフレッド・ヒッチコック監督最後の作品

ファミリー・プロット 映画あらすじ

インチキ霊媒師ブランチは、資産家のジュリア・レインバードから「妹が生んだ子供を探し出せば1万ドルの報酬を渡す」と告げられる。滅多にない高額な報酬を逃す手はないと、さっそくブランチは相棒のジョージに捜索を依頼。やがて2人は、その子供がエドワード・シューブリッジという名であることを突き止める。一方、宝石商のアダムソンは、裏で謎めいた女フランと手を組み富裕層を誘拐し、まんまと身代金を手に入れていた。

 

ファミリー・プロット 映画レビュー

いかにもインチキ臭い女霊媒師のお仕事風景から始まるこの映画は、アルフレッド・ヒッチコック監督最後の作品。きな臭いサスペンスだが、コミカルな要素もたくさんある。

中弛みはそれほど激しくなく、物語は登場人物の背景や思惑を絡めてトントン進む。にもかかわらず、意外に長く感じた120分。インチキ霊媒師のブランチにイライラきていたせいかもしれない。

アクセルが戻らずブレーキが利かなくなった車のシーンでは、必死に運転する相棒のジョージにしがみついたり絡まったり、上にのっかたり足で邪魔したりと、うっとうしいこと極まりない。「そこ笑うとこなんだけど」と監督に言われそうだが、笑いよりイラつきのほうが余裕で勝利した。

しかも、「仕事が済んだら俺も一緒に行くから待ってくれ」というジョージに文句をいい、サッサと出かける浅はかさ。

一方、とぼけているようで意外に頼もしいジョージは、運転を邪魔されようと、顔を踏まれようと、結局は小柄なブランチをお姫様抱っこしてあげるのだ。

ジョージがリサーチしているお蔭で霊媒師ができて、依頼された人の捜索もできるというのに、ブーブー文句ばかりいうブランチに対し、怒りがピークになったところで、クライマックス。

 

ところが意外にも、終盤はブランチが只者ではない振る舞いを見せ、チャーミングに締めてくれた。最後の最後にいろいろと帳消しにされてしまったのである。

もしも筆者と同じようにブランチにイラッときた方は、最後まで鑑賞できれば好印象に変わり、しかもハッピーに観終わることができるかもしれない。

「もしかしてブランチは全てお見通しだったんじゃないか」とさえ思えるが、どうやら最後の表情は女優さんのアドリブらしい。それをそのまま残したのだとか。

 

ブランチを演じたのは、童顔なかわいらしさが魅力のバーバラ・ハリス。タクシーの運転手をしながら、インチキ霊媒のため情報収集している相棒のジョージは、『 ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013) 』で“いじらしい”おじいちゃんを演じたブルース・ダーン。

登場した途端、「あんた絶対悪役だろう」と指差したくなるアクの強い顔をしたウィリアム・ディヴェインは、この物語のキーパーソン。同年公開のダスティン・ホフマン主演映画『マラソンマン(1976年)』にもアクたんまりで出演している。

そして、『イージー・ライダー(1969)』では売春婦の役を演じたカレン・ブラックは、ミステリアスな女性フランを演じている。

 

ヒッチコック監督といえば、あのグレース・ケリーさまが大のお気に入り。正統派の金髪美女フェチで有名だ。そう考えると、確かにバーバラ・ハリスは金髪だし、カレン・ブラックはセクシーだが、どうも毛色が違う。それについては監督自身が言及していたようで「もう美男美女の時代ではない」と伝えたらしい。

でも、それが本心かどうかはわからない。晩年の作品がパッとしなかったため、周囲にそう言われたのかも。自分にとって映画は夢や非現実を売るものなので、美男美女のままでいいと思うが……。

まあ、とにかく、マーティン・スコセッシ、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、三谷幸喜氏らもリスペクトする、サスペンスの巨匠ヒッチコック監督最後の作品は、なかなか楽しめるコミカルなサスペンスである。ジョージのつくるハンバーガーも美味しそうなので、ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

ファミリー・プロット(1976)

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演者 バーバラ・ハリス/ブルース・ダーン/カレン・ブラック/ウィリアム・ディヴェイン

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