【スナッチ】
初期のガイ・リッチー監督らしい小気味いい群像劇
スナッチ 映画あらすじ
ベルギーで86カラットのダイヤモンドを盗み出すことに成功したフランキー(フォー・フィンガー)は、それをボスのもとへ届ける前にロンドンに立ち寄る。だが、そこには危険なワナが待ち構えていた。一方、裏ボクシングのプロモーター、ターキッシュとトミーは、裏ボクシングの八百長に利用するため、超人的なボクシングの腕を持つミッキーを誘い込む。だがミッキーが言われた通りにせず失敗し、窮地に陥ってしまう。また一方、ボリスは86カラットのダイヤモンドを密かに狙い、フランキーのボス・アビーはフランキー捜索のため賞金稼ぎのトニーを雇う。そんな悪い奴らの思惑が複雑に絡み合い、事態は思わぬ展開を見せる。
スナッチ 映画レビュー
イングランド王エドワード1世の末裔にあたる!? ガイ・リッチー監督の作品。いまこそハリウッドで大作を扱うようになったが、こういったこじんまりした群像劇はいかにも本来のガイ・リッチ―監督らしい。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(2000)』で大注目を浴びたため、当時ノリにノッていたブラッド・ピットが出演を熱望し、それを実現している。
ちなみに、ブラッド・ピットはこの映画で何を言っているのかわからないミッキーを演じているが、これはかつてベニチオ・デル・トロが『ユージュアル・サスペクツ(1995)』で演じ、インデペンデント・スピリット賞などを受賞したフレッド・フェンスター君の癖を参考にしたようだ。ベニチオ・デル・トロは冗談でブラッド・ピットに「マージンもらうか」的なことを言ったらしいが、実は本心だったりして。
なお、筆者の場合はベニチオ・デル・トロが見たくてこの映画を鑑賞したが、あまりにもあっけない去り際だったので本当に拍子抜けしてしまった。そのため、当時はあまりのショックに彼の出番だけを何度も鑑賞し、物語はそっちのけだったが、実は物語自体も非常に面白い。ただし、この役柄に関してベニチオ・デル・トロは「バカげている」と言っていたように思う。あまり好みではなかったようだ。
しかし逆に、ガイ・リッチー監督はベニチオ・デル・トロの容姿・しゃべり方・演技すべてに惚れこんでいたらしい。確かに、ものすごく短い登場シーンだが、彼の強い色気とアクの濃い個性は、ファンの期待どおり存分に映し出されていた。だが、どちらかというとベニチオ・デル・トロの場合はジワジワ演技するタイプなので、勝手な想像だが感覚的にコマを進めていくガイ・リッチー監督とは少し相容れない部分があるのかもしれない。
とはいえ、ガイ・リッチー監督がつくる作品は何だかんだ言ってとてもロジカルだ。悪くてスタイリッシュで、少し間の抜けた連中がつくる物語は、まるで人間ピタゴラスイッチのようなのである。
なお、この作品にはジェイソン・ステイサムも主役として出演している。当時はまだ今のようにカラダが「筋肉の山」になっておらず、粗野で武骨な印象も強くなく、いい感じのお兄さんなので、主役なのにあまり目立っていないけど(笑)。
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(2000)』同様、最後には意外な人が得をする、といった感じだろうか。小気味よさが後を引くのでぜひご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
スナッチ(2000)
監督 ガイ・リッチー
出演者 ジェイソン・ステイサム/スティーヴン・グレアム/ブラッド・ピット/ベニチオ・デル・トロ
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