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CINEMAバリQ

【LION/ライオン 〜25年目のただいま〜】
迷って生きて25年Google Earthで旅した青年の物語

LIONライオン 〜25年目のただいま〜映画あらすじ

貧しいながらも逞しく育つ5歳のサルーは、母や兄の愛に包まれインドのスラム街で暮らしていた。忙しい母に小さな妹の世話を頼まれたにもかかわらず、夜中の仕事へとでかける兄に無理をいってついていくサルー。別行動になった兄を探しに乗った停車中の列車でサルーは眠りこけてしまうが、気がつくと列車は動きだしていた……。

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LIONライオン 25年目のただいま〜映画レビュー

インドのスラム街で暮らす小さな少年が、つぶらな瞳で登場した時点で思わず涙があふれてきました。小さなからだで精一杯生きる無垢な姿が胸を打ちます。この映画は、サルー・ブライアリー氏のノンフィクション本『25年目の「ただいま」 5歳で迷子になった僕と家族の物語』が原作。真実の物語です。

幼少期のサルーを演じた子役のサニー・パワール君は、インド在住の何千人もの子どものなかから選ばれたそうです。もう、その可愛らしさといったらありません。

高く評価された作品なので、第89回アカデミー賞ではデヴ・パテル氏が助演男優賞、ニコール・キッドマンさんが助演女優賞、ほか作品賞など計6部門にノミネートされました。個人的には、サニー・パワール君もノミネートされて欲しかったですね。

ちなみにデヴ・パテルさんは、『スラムドッグ$ミリオネア(2008)』の頃から比べると、ずいぶんガタイがよくなってセクシーな雰囲気も加わりました。すっかり大人の男性です。ただ、イングランド生まれのデヴ・パテルさんは、同作品に出演する前すでにダブリンで開催されたテコンドー世界大会(2004)で銅メダルを獲得し、2006年には黒帯(初段)を取得したのだそうです。まだ10代だったということもあり、当時はヒョロッとした印象でしたが、からだの基礎はできていたようです。

マリーゴールド・ホテル』シリーズや、『チャッピー ( 2015 )』のような作品よりも、この作品のように生まれた環境や運命に翻弄され、なおかつ導かれ必死に生きる姿を演じるほうが、魅力を発揮できる役者さんではないかと感じました。

そして、そんなデヴ・パテルさんが青年期の主人公を演じたこの物語は、インドで迷子になった5歳の少年が、流れ流れてオーストラリア人夫婦に引き取られたあと、なんと20年以上経ってからGoogle Earthを使って家と家族を探し出すというもの。恐るべしGoogle Earthですね。しかし、それを実際に行ったサルー・ブライアリーさんは、相当苦労したことでしょう。なぜならば、鮮明に記憶していたのは景色のみ。家の住所や兄を見失った駅も全てうろ覚えだったからです。そのため、探し始めた最初の頃「名前」で検索しても、似た地名や駅名さえも見つからなかったといいます。

彼は、来る日も来る日も時間をかけて、記憶のなかの風景をGoogle Earthで探し続けたそうですが、インドの人口は、当時約12億人。ちなみに2016年時点では約13億人です。もちろん、ある方法で場所は絞り込みましたが、そのなかから住所もハッキリしない場所にいる家族を探すのは至難の業。インドは、日本の8.7倍もの面積があるとのこと。

それに、映画のなかのセリフによれば、彼の実母は文盲だったといいます。それでは、新聞などの迷子欄に掲載しても目に触れる可能性は低くなるでしょう。おまけに、小さなサルーは、大人が思う以上に離れた場所から無人列車で運ばれていたのですから……。

このように、愛にあふれた家族と、小さな少年との間に立ちはだかる壁は、異次元を隔てた分厚くて硬い壁のように、到底崩せるものではなかったのです。しかし、「愛は力なり」とはよくいったもので、サルー・ブライアリーさんは、その力をまとったわけです。

とはいえ、そもそもサルー・ブライアリーさんは大きな力に守られていたといっていいでしょう。彼が成り行きで引き取られたオーストラリアの夫婦は、本当に愛にあふれた2人だったから。自身も実生活で養子をもらっているニコール・キッドマンさんがオーストラリアの優しい義母を演じていましたが、静かで抑えた演技やセリフにはその心情が表れていたのか、とても演技とは思えませんでした。

 

そんな映画『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(2016)』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は一切皆様次第でございます。ちなみに、バリQの査定は買い取り価格が高く、査定が速いことが自慢です。

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ルーニー・マーラは青年になったサルーの恋人を演じていましたが、いまひとつ彼女の個性が生きる役柄ではなかったような気もします。ルーニー・マーラ版の、『ドラゴン・タトゥーの女』2作目を観てみたいものですねえ。

 

ライター中山陽子でした。

 

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(2016)

監督 ガース・デイヴィス
出演者 デヴ・パテル/サニー・パワール/ルーニー・マーラ/ニコール・キッドマン

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