【アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ】
70年代の映画『発情アニマル』をリメイクした問題作
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ あらすじ
若く美しい小説家のジェニファーは、新作を書くため静かな森の別荘を訪れる。その都会的で洗練された“しなやか”な姿は、地元の男たちから劣情に満ちた視線を集める。それに気づかないジェニファーは、自然を満喫しながら順調に執筆を進めていた。そして、とうとう欲望に駆られた男たちが、彼女のいる別荘に侵入。次々と容赦なくレイプを繰り返され、ボロボロになったジェニファーは川に身を投じるが……。
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アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ レビュー
この作品は、『発情アニマル』というタイトルで1978年に公開された映画のリメイクです。卑劣で野蛮なレイプ野郎どもが、最も苦しむ方法でジワジワ復讐されていく過程が見どころなのですが、あまりにも過激な描写があることから、当時の日本ではポルノ映画扱いされたそうで……。さぞかし、何も知らずに劇場へと足を運んだスケベさんたちをガッカリさせたことでしょう。そのトラウマで、「もうポルノ映画はこりごりだ!」と思ったに違いありません。(思わないか)
今作品の場合は、そのストーリーが現代版のテイストでリメイクされており、日本も過激な描写に免疫がついたので、ポルノ映画ではなくサスペンス・ホラーとして上映されました。そのため、十分な情報がないまま「リベンジ映画」「タフな女」「ケダモノを叩きのめす」といったキーワードに惹かれ鑑賞した筆者は、先述したスケベさんたちとは逆の意味で、強烈なインパクトを与えられてしまいました。
ちなみに、インパクトを与えたのは報復シーンではなく、輪姦シーンのほうです。肉体はもちろん、精神もズタズタされる集団レイプほど、おぞましいものはありません。ヒロインがこのうえなく残忍な方法で、じっくりとリベンジしていくことに関しては自業自得なので、正直なところ「やっちまえ」と思いながら観ていました。しかし、あまりにも輪姦が“おぞましい”ため、リベンジの爽快感よりも、レイプの胸くそ悪さのほうが勝ってしまったのです。恐らく、リベンジ行為に観客の気持ちを傾けるために、より男たちの行為を残酷に描いたのでしょうけどね。
映画の舞台は、法を守る立場にある人間の性質によっては、いとも簡単に無法地帯になってしまう閉鎖的な地域。はたして人間は、無法地帯でどこまで理性を保っていけるのだろうかと考えると、なおさらゾッとします。
アメリカでは、ちょっとしたオイタのせいで家族もろとも恐怖のドン底に落とされてしまった映画『危険な情事(1987)』公開後、男性の浮気率が低くなるという社会現象が起きたそう。今作品が、レイプ事件の抑止力になるのかどうか分かりませんが、何かしら意味を持てば気分の悪さも軽減できそうです。
想像を絶する経験をしたジェニファーが、抜かりない復讐の鬼に変貌していくさまは、一切描かれていません。この映画にあるのは、「卑劣な行為」とそれに対する「復讐」のみ。そして、
目には目以上
歯には歯以上
なのです。
そんな映画『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)』は、売ってはいけないのか、よく分からない微妙な1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は一切皆様次第。リベンジでスッキリしたから売っちゃおうとお考えであれば、ぜひ買い取り価格が高いバリQへ!
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報復といえば、ロイター通信によれば、2017年の夏ごろパキスタンの南部ムルタンで愚かな報復が行われたようです。
ある家の少年が、ある家の少女をレイプしたため、地元の民間評議会が開かれたのですが、その際に決定したのがなんと「報復レイプ」。レイプを犯した少年の妹を、レイプされた少女のきょうだいに引き渡して、報復レイプさせたといいます。いったい何を考えているのでしょう。ただレイプ被害の少女を1人増やしただけではないですか。
双方の家が警察に告発したことからこの事件が発覚し、村の民間評議会メンバー25人は逮捕されたそうです。なんとも……、開いた口がふさがりません。
ライター中山陽子でした。
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)
監督 スティーヴン・R・モンロー
出演者 セーラ・バトラー/ジェフ・ブランソン/ダニエル・フランゼーゼ/ロドニー・イーストマン
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