【アメリカン・ヒーロー】
特殊能力を持つダメ男の再生ドラマ

アメリカン・ヒーロー　映画あらすじ

メルヴィンは、特殊能力を持つ最低のダメ男。実家暮らしで働きもせず、パーティー三昧で酒と女とドラッグに溺れてばかりいる。天から授かった特殊な力は、仲間との小遣い稼ぎに使うだけ。そんな彼の願いはただひとつ、別れた妻との間にもうけた「息子に会いたい」ということだけだった。だが、あるきっかけでメルヴィンに転機が訪れる。彼は息子のためにも堕落した生活を見なおし、街にはびこるギャングに立ち向かおうとするが……。

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アメリカン・ヒーロー　映画レビュー

あー面白かった。クスッと笑って少しだけハラハラして、ジンワリくる。浮いたようなセリフが一切なく、ヒーローらしい強さも迫力も皆無。特殊能力を持ちながらも、限りなく等身大の男が息子のために立ち上がります。すこぶる評判が悪いようですが、筆者はこの映画が大好きです。

主人公のメルヴィンは、その素行からおバカさんにしか見えませんが、意外にも教養があり、しかも超人的な能力を持つ男です。ピアノを弾いて本をよく読み、クラシック音楽をたしなみます。しかし、自分を律することだけは全くできません。おまけに職がないので実家暮らしです。だから結局、どの角度から見ても最低な男にしか見えないわけです。

子供の親権をはく奪されただけでなく、最愛の息子に会うことさえできないというのに、自分の生活習慣を改めることができないダメっぷり。ハッパを吸って酒を飲み、ラリッた状態で文学や音楽に触れ、自己憐憫に陥ります。

努力をせずに嘆いてばかりいる、典型的な“甘ったれさん”なのです。

ただ……、確かに彼は最低ではあるけれど、母親をさげすんだり、詰ったりするようなことは一切しません。軽くマザコンに見えなくもありませんが、母親を大切に想っていることが分かるので、好感が持てます。

それに、とても友人思いでもあります。歩けない親友ルシールと憎まれ口をたたき合いながらも、常にお互いが、お互いを守ろうとしている印象です。メルヴィンが、自分の乗る自転車とルシールの車いすをヒモでつなげて引っ張る姿が微笑ましく、思わず笑ってしまいました。また、ルシールがメルヴィンを心配し、手作りのヘルシーなジュースを渡すシーンもホンワカします。「Yo、Yo」といまにもヒップホップ・ミュージックを歌いだしそうなルシールが、「ルバーブはな――」とかヘルシーな野菜について説明しているのが笑えます。

 

この物語の主人公は、タイトルどおりスーパーヒーロー並みの特殊能力を持っています。スーパーヒーロー映画といえば、最初の登場シーンや、その能力を初めて観客に見せるシーンはカッコいいのが定番ですが、この映画は違います。

ものすごい能力を、しょうもない目的のために活用しているシーンで、「へ？」というぐらいサラッと披露してしまうのです。本当に、最初はどれも「うわッ！　しょうもなッ！」と叫んでしまいたくなるほど。驚くべき超人能力のムダづかいです。

しかし、そんな彼も心を入れ替えるときがやってきます。その姿は、カッコいいというよりは、「頑張れ」と応援したくなるような姿。

「自分がダメなことはよく分かっている。よく分かっているけれど、できないんだ」

そう言い続けた男が、初めて立ち上がったのです。ものすごいパワーでモノや人を投げ飛ばしたり、曲げたり崩したり再生したりできるメルヴィン。でも、彼が初めて本当にやってのけた“ものすごいこと”は、もっと身近で、かけがえのないことなのです。

 

そんな映画『アメリカン・ヒーロー（2015）』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は一切皆様次第でございます。ちなみにバリQの査定は、速くて買い取り価格が高いことが自慢です。お申し込みはこちらのフォームから簡単に行えるので、ぜひお気軽にお申し込みください。入力がご面倒でしたら電話やメール、LINE、あるいは手書きでも大丈夫ですよ！

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時おり登場人物がカメラ目線で、なおかつドキュメンタリー風の手ブレ感があり、それでいてメルヴィンが特殊能力を使う際の映像が妙にリアルなので、内容も評価も全く違いますが、なんとなく『第9地区（2010）』を思い出しました。

 

ライター中山陽子でした。

 

アメリカン・ヒーロー（2015）

監督　ニック・ラヴ
出演者　スティーブン・ドーフ／エディ・グリフィン／ルイス・ダ・シルバ・Jr.／ヨハンス・マイルス

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