【ぼくのバラ色の人生】
偏見の目に晒されたMtFの子供と家族が懸命に生きる物語
ぼくのバラ色の人生 映画あらすじ
リュドヴィックは男の子のからだで生まれたが、心は女の子と自認している6歳の子供。自分がMtF(Male to Female)などとは知る由もない。両親のアンナとピエールは、リュドヴィックが女の子の服や化粧に興味を示しても、「子供の好奇心だから、そのうち飽きるだろう」と、思い込もうとしていた。一方リュドヴィックは、もう少し大きくなったら女の子になれるだろうと信じている。だが、その純粋で無邪気な思いが起こす行動を目にした近隣の住民は、偏見の目で一家を見るようになり、やがてトラブルへと発展する。
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ぼくのバラ色の人生 映画レビュー
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)という言葉がまだ浸透していないころ、この映画はつくられました。いまとなっては、だいぶ世間の感じ方も変わりましたが、まだまだフラットな世の中ではありません。宗教上、生涯理解しようとしない人々も存在するので、偏見のない世の中は実現しないかもしれません。しかし、それでも、いまはこの映画が公開された当時より、ずっといい状況のはず。しかも、偏見に満ちた狭い世界のなかで、苦しみもがいたのは、まだ小さな子供です。物語の主人公の名はリュドヴィック。MtFに生まれました。
リュドヴィックは自分の中の矛盾を、うまく説明できません。なんとか状況を説明しようと素朴な疑問をいくら投げかけても、周囲は「一時的なこと」「精神的な病気」としか考えません。小さな子供には、あまりにも過酷なことです。しかも、リュドヴィックを「頭のおかしい子」とか、「性的に倒錯した子」と勝手に決めつけ、ファーブル一家(リュドヴィックの家)に、冷たい視線を投げつける周囲の人々とのトラブルも勃発します。
「ぼくのせい?」
リュドヴィックは両親に問いかけます。
かわいそうなリュドヴィックをかばう人は、とうとう祖母エリザベス(エレーヌ・ヴァンサン)だけに。自由奔放に見えて、人一倍温かく情にあふれているエリザベスは、ありのままのリュドヴィックを理解しようと優しく接します。でも、6歳の子供が心から欲しいのは、パパとママの愛にあふれたキスなのでしょう。うなだれたリュドヴィックが弱々しく、少しだけ反抗的になったリュドヴィックが痛々しく映ります。
MtFのリュドヴィックを演じたのは、ジョルジュ・デュ・フレネ君。中世的な美少年のジョルジュ君は、大人を圧倒するような演技力で、この難しい役柄に挑んでいます。映画初出演ながら、その演技は各方面から絶賛されたそう。これからの活躍が期待できますね。
なお、この映画はLGBTというテーマ以外にも、生活する地域の人間関係や、親子関係についても問題提起しているように感じます。少しレトロで可愛らしいバラに彩られたオープニングとかけ離れた、いかにも面倒そうなご近所付き合いの始まりが描かれた冒頭で、すでに筆者はゾッとしてしまいました。
人間のからだも、異物が入ってくると排除しようとしますが、顔見知りばかりの一帯でも、同じようなことが起こるのでしょう。人々の目に異質に映る少年とその家族に対し、普通ならば許容する無邪気なイタズラを、ご近所さんは許しません。
ただし演劇の一件は、MtFであるとかないとかは関係なく、ただ単に“やってはいけないこと”。リュドヴィックに対し、イライラし始めた両親に不快感がこみあげていましたが、この一件だけは「何やっとんじゃ、このガキ」とリュドヴィックに怒りが込み上げてしまいました。しかし、子供はまだ前頭葉が発達していないので、理性で欲求を抑えることが上手にできません。なおさら、リュドヴィックは小さなからだに疑問符と困惑が充満しているのですものねえ……。
切ない物語には、ときおりファンタジーな世界観が舞い降りてきます。アメリカならバービー人形とケン、日本ならリカちゃん人形と、はると君、そして、この映画の中のではパム人形とベン。可愛いのかエロいのか分かりにくい実写版パムが、リュドヴィックの憧れです。いつか自分も大きくなったらパムのような女の子になって、ベンのような王子様と結ばれることを願っています。大人でさえ、現実逃避したくなるような孤独感と絶望感にさいなまれるリュドヴィックは、ときおりパムの世界に入り込みます。
しかし、そのパムが何気にいい仕事してくれるんですよ。「グッジョブ! パム」ですわ。フランス語でなんて言うんだっけ?
ちなみに、全然関係ありませんが、日本が誇るリカちゃん人形の彼氏、はると君は、6代目のボーイフレンドなのだそう。筆者が知っているのは初代ボーイフレンドのわたる君です。知らない間に、6人も男を変えていたのか……、リカちゃん。
まあ、それはいいとして、複雑な状況にある小さな子供の行く先には、数々の困難が待ち構えているでしょう。でも、愛する人のキスがあれば、勇気100倍なのです。あれよあれよという間に、かなり都合よくラストの展開に流れていきますが、きっと少しだけ、ホッと安堵のため息をつけるはずですよ。
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リュドヴィックのママは、終盤だいぶ人間不信になってしまったため、感じのいいご近所さんにも無愛想に接します。それは仕方ないとして、あんたタバコふかしながら洗濯物干したら、洗い立ての服や肌着がヤニ臭くなるやないかい。あれはいかん。
ライター中山陽子でした。
ぼくのバラ色の人生(1997)
監督 アラン・ベルリネール
出演者 ミシェール・ラロック/ジャン=フィリップ・エコフェ/エレーヌ・ヴァンサン/ジョルジュ・デュ・フレネ
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