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CINEMAバリQ

【スパイダーマン:ホームカミング】
酸いも甘いも噛み分けた熟練がルーキーを見守る映画

スパイダーマン:ホームカミング 映画あらすじ

ニューヨーク決戦(アベンジャーズとチタウリの戦い)後、瓦礫撤去を任されたエイドリアン・トゥームスは、またとない大仕事に張り切っていた。しかし、突然政府の人間が現れ、全ての撤去はトニー・スタークと政府が設立した組織、ダメージコントロールが引き継ぐという。家族と社員を抱え、すでに準備も整えていたトゥームスは怒りをあらわにするが、政府の人間は彼の訴えをあっさり却下。行き詰ったトゥームスは、手元にあった残骸を政府に渡さず、再利用しようと考える。

それから8年後。高校生のピーター・パーカーはスパイダーマンであることを周囲に隠し、自身が住む街の自警活動に励んでいた。しかし、彼を見出し、アベンジャーズへの勧誘を匂わす「トニー・スタークに認められたい」という気持ちが先走り、その行動はしばしば暴走しがちに……。

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スパイダーマン:ホームカミング 映画レビュー

今度のスパイダーマンは、史上もっとも若いというトム・ホランド君。もともと少年がヒーローになるシリーズですが、なおさら子供っぽいのではないかと不安になりましたが、周囲を固めていたのが存在感のある大人ばかりだったので、ひと味もふた味も加わっていました。

なかでも、エイドリアン・トゥームスを演じたマイケル・キートンさんの、ギラギラした悪役の演技はとても吸引力があります。言ってしまえば、不遇な目に遭い怒りが爆発しちゃったコソ泥社長なのですが、まるで、人を食おうとする前にじっくり吟味するような、ゾッとする表情に圧倒されます。

また、ピーターの育ての親メイ・パーカーを、セクシーなマリサ・トメイさんが演じているのも、なかなか面白い。正直なところ、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』で初お目見えしたときは、「セクシーなメイ・パーカーおばさん」という不自然さに突っ込みたくなりましたが、今作を観て「どこに行っても、いちいちモテモテなピーターのおばさん」というキャラクターも悪くないなと思いました。

 

そんなセクシーおばさんが、常に愛情を注いでいるピーター少年は、待ちに待った終業のベルとともに学校を飛び出し、サンドイッチ片手に自警活動へと繰り出します。その様子は、まるでスパイダーマン青春白書という感じ。邪険にされてもへこたれず(というか気づかず)、健気にお目付け役のハッピー(トニー・スタークの運転手兼助手/ジョン・ファヴロー)に自警内容を報告します。ティーンズとはいえ間違いなくスーパーヒーローなのですが、ついつい応援したくなってしまいます。

ちなみに、一見大人しそうな主人公の周囲には、必ず1人や2人いじめっ子がいますが、もちろんこのシリーズにも存在します。その名はフラッシュ・トンプソン。もともと、このキャラクターはスポーツマンの白人で、学校の人気者――いわゆる「ジョック」と呼ばれるタイプでした。しかし、今作の場合は少し雰囲気が違います。よくいるような学校で目立つ、子分をたくさん引き連れたいじめっ子タイプではなく、単にピーター少年をライバル視するタイプです。そんでもって名前が「フラッシュ」。

DCコミックスの超高速なヒーロー「フラッシュ」も同じティーンズ系で、『ジャスティス・リーグ(2017)』では、独自に自警活動を行っている大学生という設定でした。「速いだけじゃダメなのよ、フラッシュ……」というセリフは、ほぼ確信犯ですね。

 

いずれにせよ、今回からスパイダーマンは『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズ作品として制作されました。同シリーズの第16作品目となります。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)』に備えるためにも必見の映画でしょう。そして「売ってはいけない1本」であることは間違いありません。もちろん、ご判断は皆様次第!

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なお、今作のキャスティングには粋な計らいがありますね。『アイアンマン』『アベンジャーズ』シリーズで人工知能J.A.R.V.I.S.や、人造人間ヴィジョンを演じているポール・ベタニーさんの、実生活でのパートナーがナイスな役で登場しています。ぜひご賞味あれ。

 

ライター中山陽子でした。

 

スパイダーマン:ホームカミング(2017)

監督 ジョン・ワッツ
出演者 トム・ホランド/マイケル・キートン/ジョン・ファヴロー/ゼンデイヤ

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