【ザ・マミー／呪われた砂漠の王女】
トム・クルーズ＆ラッセル・クロウの「ダーク・ユニバース」第一弾

ザ・マミー／呪われた砂漠の王女　映画あらすじ

米軍偵察兵のニック・モートンとクリス・ヴェイルは、イラクで偶然にも生き埋めの刑に処されたアマネット王女の墓を発見。アマネットは、自分の権力のために一族を殺した邪悪な王女である。その価値の高さを知る考古学者のジェニー・ハルジーは、グリーンウェイ大佐を説得してアマネットの棺をイギリスへ持ち帰ることに。しかし、彼女と一緒にその準備をしたニックには不思議な現象が起こり、ヴェイルは墓の中にいた邪悪なクモにかまれてしまう。

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ザ・マミー／呪われた砂漠の王女　映画レビュー

「マーベル・シネマティック・ユニバース」「DCエクステンデッド・ユニバース」に対抗しユニバーサルが立ち上げた、「ダーク・ユニバース」の第一弾となった今作は、その存続に大きな影を落とすほど不評だったそうです。でも、なかには他ユニバースと同様に、これからどうなるか楽しみにしている人もいるはず。筆者はその1人です。

この映画は、1933年のホラー映画『ミイラ再生』を、トム・クルーズさんとラッセル・クロウさんという二大スターでリブートした作品。先述したように「ダーク・ユニバース」の第一弾でもあるため、よりダークな世界観で観客の心を鷲づかみにしなければならなかったわけです。しかし、終盤トム・クルーズさんに備わった力がいまひとつパッとせず、“プロディジウム”という秘密組織の大きさや機関力も、あまり伝わってきませんでした。

ちなみに“プロディジウム”とは、いわばマーベル・コミックに登場する“S.H.I.E.L.D.”のようなものです。“S.H.I.E.L.D.”は国家組織でスーパーヒーローを管理していますが、“プロディジウム”はどの政府機関にも属していない組織。モンスターを研究し、脅威となるものは力を封じ込めたり、破壊したりします。どんな政府機関にも属さないとか、まるで“キングスマン”みたいですが、こちらは至って真面目。（いや、キングスマンも任務は真面目なんだが）

また、とにかく画面が暗くて観にくい。物語がダークなのはいいですが、画面がダークなのはストレスがたまってしまいます。そして、ニック（トム・クルーズ）と、ジェニー・ハルジー（アナベル・ウォーリス）の絆が結ばれていく段階も、盛り上がりがいまひとつだったような気がします。このように、いろいろと中途半端でスッキリしない印象が、低評価の原因かもしれません。

 

しかし、ヴェイル（ジェイク・ジョンソン）が妙な行動を起こし始めた軍機のなかでのシーンは、実際に無重力の状態で撮影したというだけあって見応えがありましたし、邪悪な心と善の心を持ち、常にそれを封じ込めようと葛藤する（ほぼ人間自体そうなんだが）ダーティーなヒーローは好みなので、個人的には「ダーク・ユニバース」の2作目も、今作の続編も非常に楽しみです。ただ、次回はもっと豪快にパワーを披露してほしいものですね。

なお、トム・クルーズさんと、謎が多いヘンリー・ジキル博士を演じたラッセル・クロウさんは、意外にも “仲良しさん”なのだそうです。トム・クルーズさんは万年好青年的なザ・スターですし、ラッセル・クロウさんは粗野でワイルドな雰囲気なので、どちらかというとかみ合わない2人に見えましたが、長年の付き合いがあるそう。ただし、共演は初めてなのだとか。殴り合うシーンを撮影する際、「初共演なのに殴り合うとはね」と言い合ったとか、言わなかったとか。

 

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現代に蘇るアマネット王女を演じたのは、『キングスマン（2014）』では邪悪でキュートなヴァレンタインの部下、ガゼルを演じたソフィア・ブテラさん。オーディションで彼女を見た際、関係者は「彼女こそアマネットだ」と即決したそう。アマネットは悪しき人物ですが、見方によっては“目的に向かって直進する純粋な女” “父の愛と信頼を熱望した娘”。観客がつい同情したり、引き込まれてしまったりするような俳優にしたかったのだとか。

たしかに、野望のために何でもしちゃう、とんでもねー女ではありますが、苦しい体勢でつながれ水銀によって力を封じ込められているときや、“セテパイ”（選ばれし者）とニックを見つめるその瞳に、ついつい同情心がわきあがってしまいました。ちなみに、後ろ手につながれているときは、本当に苦しくて大変だったそうです。ソフィアさん、お疲れ様でした。

 

ライター中山陽子でした。

 

ザ・マミー／呪われた砂漠の王女（2017）

監督　アレックス・カーツマン
出演者　トム・クルーズ／アナベル・ウォーリス／ソフィア・ブテラ／ジェイク・ジョンソン

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