【エル ELLE】
「円熟の色香」と「変態」と並はずれた「したたかさ」が交差する問題作
エル ELLE 映画あらすじ
ゲーム会社の社長として成功を収めたミシェルは、自宅で覆面の男に激しく暴行されてしまう。彼女は出産を控えた恋人がいる息子の母親で、すでに夫とは離婚。とてもセキュリティが万全とはいい難い家に、たった一人で住んでいる。そんな中、その後も嫌がらせのメールが届き、再び自宅にも侵入され不快な“形跡”を残される。だが、衝撃的な過去の体験から、警察との関わりを避けているミシェルは通報を拒むのだった。そして、何事もなかったかのように過ごしながら、密かに周囲を観察し、犯人を捜し始める……。
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エル ELLE 映画レビュー
あービックリした。もう、そんな言葉しか出てこない映画でした。
映画の冒頭でいきなり、主人公のミシェルが襲われている音と映像が流れるのですが、結局、一番強烈なインパクトを放っていたのは変態君ではなく、ミシェルという人物そのものでした。共感も尊敬もしないけれど、「強さ」という部分ではミシェルに感服いたします。
そして、男性が寄って集ってくるミシェルを演じた、イザベル・ユペールさんの円熟した色香にも参りました。普通なら気まずい場で、悪びれず「ただ、寝たかっただけ」と言える、60代半ばのセクシーな女性はそうそういません。
この映画は、“究極の愛のかたち”ともいわれた『ベティ・ブルー(1986)』の原作「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」を著した、フィリップ・ディジャン氏の小説「oh…」を実写映画化したエロティックサスペンス。最初はアメリカで製作する予定だったそうですが、ここまで道徳にとらわれないキャラクターを演じてくれる女優さんは、アメリカにいなかったそうです。しかし、フランス人女優のイザベル・ユペールさんは、自らこの役を演じたいという意思を持っていたのだとか。その役者魂に「あっぱれ」です。
ところで……、ミシェルは物語の中の登場人物ですが、あまりに特異なキャラクターだけに、ついつい掘り下げたくなってしまいます。この映画では、ミシェルの子供のころの強烈な経験が、彼女を鋼のように強く、したたかに、そして竹のようにしなやかな女性に、そして、ある意味「変態」にしたように匂わせています。しかし、同じような経験をした人が皆、彼女のように強くなるかといえば、そうではありません。
そこで、例えば「アドラー心理学」をもとに考えると、「過去の経験はその人の行動の原因にはならない」という考え方になるので、ミシェルは、過去の経験に自分なりの意味付けをして、強靭な心を持つ人物になったといえます。つまり、彼女は何か物事について考えるとき、行動を起こすとき、ひどい経験を基準に考えるようになり、「あるがままを受け入れ、誰にも頼らず恐れず怯まず、淡々と生きる」ようになったわけです。なぜならば、それが理不尽な世の中を、平穏に生き抜くための術だから。勝手な解釈ですが、尋常じゃない「強さ」と、それを養う「変態要素」は、自分を守るためほかなりません。
だからこそ、倫理観や道徳観をもってこの映画を観ることは、意味を持たないでしょう。
良い悪いを抜きにして、主人公のミシェルは究極の女です。レイプされてもほぼ動じないし、どうしても助けが要るときは気にせず法の範囲を超えた変態に助けを求めるし(ちなみにミシェルも変態だが、彼女は法の範囲を超えない)、杖をついて歩くほど大けがを負ったすぐあとでも、面倒な愛人の要望に(とりあえず)応えてあげます。さまざまな「死」を目の前にしても、いたって冷静かつドライです。
ただし、最強ミシェルにも弱点があります。それは、息子ヴァンサンの存在。自身が生まれ育った家庭が破たんしていたせいか、息子との関係だけには気をつかっているように見えました。ミシェルは「自分と息子とのつながりは希薄かもしれない」という思いを抱えていますが、ヴァンサンは甘ちゃんながら、人間としての「善」の部分をしっかりと持っている青年です。それだけ、ミシェルは戸惑いながらも、彼を(自分とは違う)普通の人間に育て上げたのではないでしょうか。
内容が濃いためか、逆にラストシーンは「おっと、それで終わりかよ」という感じ。そして心に浮かんだのは「ミシェル強し」、いや、「女は強し」でした。
そんな映画『エル ELLE(2016)』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は皆様次第。ちなみに、バリQの査定は、買い取り価格の高さが自慢です!! 新しいものはもちろん高額で、古くても市場価値があるものは、しっかりと評価します。そして、とにかく査定スピードが速い!! 「こんなにも早く連絡が来るとは思っていなかった」と驚かれることも多いんですよ。そのスピードは業界最速。お荷物到着後、最短で24時間以内に査定をご連絡します!
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今作は、第74回ゴールデングローブ賞で最優秀主演女優賞と最優秀外国語映画賞を受賞、第89回アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされました。監督のポール・バーホーベンさんは、『ロボコップ(1987)』『トータルリコール(1990)』『氷の微笑(1992)』『スターシップ・トゥルーパーズ(1997)』『インビジブル(2000)』など、革新的かつ刺激的な作品を世に送り出し、人々を驚かせてきた人。数々の作品で多大な評価を受けているイザベル・ユペールさん主演で、ポール・バーホーベンさんが監督、しかも、フィリップ・ディジャン氏による小説の映画化となれば、前置きだけでも凄味を感じる映画です。実際に観ると、それ以上に度肝を抜かれますよ。
度肝を抜かれるといえば……、ミシェルは新鋭ゲーム会社の社長ということになっています。しかし、ゲーム関係に疎い筆者でも、映画の中に映し出されていた最新ゲームは、かなり昔のレベルなんじゃないかと感じてしまうのですが……、いかがでしょう?
ライター中山陽子でした。
エル ELLE(2016)
監督 ポール・ヴァーホーヴェン
出演者 イザベル・ユペール/ロラン・ラフィット/アンヌ・コンシニ/シャルル・ベルリング
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