【ブレードランナー 2049】
荒廃した近未来に起こった「奇跡」と、アンドロイドとAIの切ない「恋」の物語

ブレードランナー 2049　映画あらすじ

2049年――近未来のロサンゼルス。異常気象や2022年に起こった大停電で、世の中はますます混沌としていた。かつてレプリカントと呼ばれる労働用アンドロイドを製造していたタイレル社はすでに倒産。謎の科学者ウォレスが率いる巨大企業によって買収され、より従順な「ネクサス9型」が製造されていた。LAPD（ロサンゼルス市警察）で旧型レプリカントを解任（抹殺）する役割を担うネクサス9型のアンドロイドKは、人間の同僚からも、同類のレプリカントからも疎まれ、孤独な日々を送っていた。愛らしい女性のホログラムが浮かび上がる、ウォレス社製のAI搭載ホームオートメーションシステム「ジョイ」だけが彼をいやす存在。そしてKはある旧型レプリカントを解任した際、庭の木の根深いところに、何かが埋まっているのを発見する。

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ブレードランナー 2049　映画レビュー

1982年に公開された、フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作とした映画『ブレードランナー』の続編です。35年の時を経て公開されたわけですが、実際に物語でも30年ほど時が経った世界を描いています。そして、面白いことに1982年の映画で描かれていた時代は2019年。まさに、ほぼ現在の時代背景を描いているわけです。まあ、現時点では映画のように、人間と見分けがつかないほど精巧なアンドロイドが完成されているわけではありませんが……。（もちろん倫理的な壁も厚いだろうし）

ペッパー君と人々の、全く要を得ない会話を見聞きして笑っている間はいいですが、テクノロジーが進化すればするほど、ゾッとするような世界が待っている気がしてなりません。

肝心な映画のほうは、1作目同様かなりダークで退廃的な雰囲気。あまりにも暗すぎる映像だと、何がなんだかよく見えず疲れてしまうため、あまり好きではないというのが個人的な意見です。が、この映画には暗さがあるものの、映像に繊細なコントラストがあり観やすく、安心して集中できました。

 

物語の中で描かれている2049年のロサンゼルスは、とてつもなくテクノロジーが発展していますが、物質も精神も貧困です。“豊かな自然”は空想の世界でしか存在せず、食べるのは合成農場でつくられた合成食料。そんな世界では生きる意欲も失せそうですねぇ……。主人公が住む家ではAIが配慮し、“ところてん”みたいなもんに、本来の“ごちそう”といえるようなホログラムを重ね合わせていました。

その気づかいバッチリなAIちゃんは、もはや主人公Kのかわいい恋人なのです。

SF映画に感化され人工知能の進化を恐れている筆者でも、この映画のアンドロイドと、家庭用AIとの恋にキュンとしてしまいました。それを演じるのがライアン・ゴズリングさんと、アナ・デ・アルマスさんです。ゴズリングさん演じるアンドロイドKの苦悩や些細な感情の変化、アルマスさん演じるAIジョイの苦悩や成熟した知能、そんな2人の想いが、この映画をより魅力的にしています。

『スクランブル（2017）』では勝気でキュートな女性を演じていたアルマスさんですが、今作の健気なAI役のほうが、ベビーフェイスの可愛らしさが際立ち好印象でした。彼女はAIなので、知能は進化しても存在はなく、バーチャルなホログラムだけ……。より切なさが増してきます。

前作では、監督のリドリー・スコットさんが新宿歌舞伎町や香港をモデルに独特なアジアの世界観をつくり上げていました。今回も、その雰囲気は同じですが、多少はでたらめな日本語が正されていたと思います。途中、日本で配給や販売を担う「SONY」のロゴがドデカく出てきましたが、アメリカ版には「ワーナー・ブラザーズ」と出るのかしら？

まあ、そんなことはいいとして、前作は監督だったリドリー・スコットさんが製作総指揮をつとめ、『灼熱の魂（2010）』『ボーダーライン（2015）』『メッセージ（2016）』で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴさんが監督をつとめた今作は、数多くの賞を受賞し、ノミネートされました。前作で主役をつとめたハリソン・フォードさんや、エドワード・ジェームズ・オルモスさんも同役で出演しています。

 

そんな映画『ブレードランナー 2049（2017）』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は皆様次第。ちなみにバリQは、買い取り価格の高さとスピード査定が自慢です。もしも「売っちゃおうかなー」とお考えなら、ぜひバリQにお申し込みくださいませ!!　

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ウォレスの代理人としてラヴを演じたシルヴィア・フークスさんの、いかにもアンドロイド的な所作や戦いっぷりは見応えあります。相当鍛えたのでしょうね。『鑑定士と顔のない依頼人（2013）』では、ミステリアスで弱々しい雰囲気だったので、そのギャップに驚きました。

また、旧型レプリカントの農夫サッパー・モートンを演じたデイヴ・バウティスタさんもよかったですねぇ。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでは力勝負のドラックスを演じているし、もともとプロレスラーということもあり豪快なキン肉マンという印象が強いのですが、今回はとても寡黙で思慮深く、強い信念を持った繊細な男を演じています。それが不思議と、彼の雰囲気に調和しているんですよ。

ライター中山陽子でした。

 

ブレードランナー 2049（2017）

監督　ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演者　ライアン・ゴズリング／ハリソン・フォード／アナ・デ・アルマス／シルヴィア・フークス

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