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CINEMAバリQ

【いぬやしき】
地味な初老の男が最強マシンになって日本を救う物語

いぬやしき 映画あらすじ

定年を目前に控える犬屋敷壱郎は、年齢よりもかなり老けて見える冴えないサラリーマン。会社では自分よりも若い上司にいつも怒られ、家では家族の誰ひとり彼に関心を寄せない。ローンを組んでやっと手に入れた一戸建てにもケチをつけられる始末。おまけに、末期のがんと診断され、余命宣告まで受けてしまったのだ。やり場のない気持ちを抱え、唯一癒してくれる愛犬と共に公園にいたところ、たまたま同じ場所にいた高校生の獅子神皓とともに、未知の物体による墜落事故に巻き込まれてしまう。しばらくして目覚め、何も変わっていない状況を不思議に思いつつ家に戻る犬屋敷だったが、ひょんなことから自分の身体がすべて機械になっていることに気づく。そんな中、一家惨殺という悲惨な事件が起こり……。

この映画の買い取り価格→→→ 『いぬやしき

 

いぬやしき 映画レビュー

なんとも奇想天外な物語と映像でした。原作は、『GANTZ』をはじめ数々の人気漫画を世に送り出している奥浩哉さんの同名作品『いぬやしき』。虚無感の中で溺れていたオッサンを、突如襲った謎の事故。犬屋敷壱郎という珍しい名を持つ「ジイサンに見えるオッサン」は、知らぬ間に超人へと生まれ変わっていたのです。

マーベルコミックのネタを借りて例えるなら、オッサンの皮膚は限りなくお爺さんテイストに近づけた、万能の鉱物ヴィブラニウム。熱だろうと打撃だろうと、大気圏外のマイナス100℃以下の気温だろうと、まったく損傷しません。ほぼ最強ですが、塩分がダメで味噌汁が飲めないとか、力を使うとやたら喉が渇いて水をゴクゴクするとか、何だか親近感タップリです。クライマックスというべき東京新宿の上空で激しいバトルを繰り広げるシーンでは、白髪頭に上半身裸&ベルト付きスラックス姿。まるで、家の庭で小鳥の声を聴きながら、乾布摩擦をしているお爺ちゃんです。それでいて、あの精巧な、再生力と破壊力に満ちたメカニックボディですからね。そのギャップがたまりません。

監督は、奥浩哉さんの漫画『GANTZ』の実写版でも監督をつとめた佐藤信介さん。最強タッグ再びというわけです。その甲斐あってか、第36回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭では、インターナショナルコンペディション部門作品賞グランプリにあたる「ゴールデン・レイヴン賞」を受賞したそうな。

この作品に惹かれるポイントは、社会と家族から疎外されまくっていた男の「人生再起」に共感する部分と、見事なCG技術と演出によって、音速バーチャルを体感できるところでしょうか。筆者は、そのどちらにも心惹かれました。

内容こそ違えど、力を得た2人は、どちらも同じように不遇な状況に置かれていました。しかし、一方は力を「奪うこと」に使い、一方は力を「救う」ことに使います。奪えば奪うほど大切な人を奪われ、救えば救うほど(世の中に役立ち生きているという実感)を与えられる。寓話の中で示される教訓のような対比も面白いですね。

犬屋敷壱郎は、万能の力を得ても人としての性質を変えません。相変わらず気弱で内向的。でも驕らず、善き人でありたいという思いと、生きている実感を得るために人を救い続けるのです。飲めない味噌汁の湯気の香りを、おいしそうに嗅ぐ、何とも地味な姿に感動を覚えます。

その犬屋敷壱郎を演じたのは、とんねるずの木梨憲武さん。恐ろしいほどハマり役で、そう言われて嬉しいかどうか分かりませんが、老け顔もピッタリでした。そして、悪役を演じるのはクールなイケメン佐藤健さん。この対比に、「俺が悪役で……、じじいがヒーローか……!?」のセリフが生きてきます。

本家漫画のほうの展開や、今作におけるラストの様子からして、続編の期待度はかなり大。一般人を平気で巻き込む特殊部隊のお粗末さだけには、一時、足のつま先まで興醒めしましたが、ヒーローものが好きな方も、メカニック好きな方も、日々何かしら悔しい思いをしている方も、きっと気に入るのではないでしょうか。

 

そんな映画『いぬやしき(2018)』は、売ってはいけない1本といえるでしょう。もちろん、ご判断は皆様次第です。ちなみにバリQは、買い取り価格の高さが自慢です。市場価値に合わせて買い取りをしているので、新しいものはもちろん高額で、古くても市場価値があるものは、しっかりと評価します。それに、とにかく査定スピードが速い!! お荷物到着後、最短で24時間以内に査定をご連絡します。業界最速ですよ! 

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「再生・奮起」のジャンプアップを最大限にするため、犬屋敷壱郎が社会や家族から疎外されている状況を極端に演出したのは分かりますが、あそこまで性格が悪い上司に、辛辣な妻、小憎たらしい娘だと、悪役以上に敵意を感じてしまいますねぇ。まあ……、最後のほうで多少の変化が見えたので、良しとしましょう。

ライター中山陽子でした。

 

いぬやしき(2018)

監督 佐藤信介
出演者 木梨憲武/佐藤健/本郷奏多/二階堂ふみ

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