【手紙は憶えている】
クリストファー・プラマー主演・ホロコーストを題材にした破壊力があり過ぎる映画
手紙は憶えている 映画あらすじ
介護施設で暮らす90歳のゼヴは、過去にナチスから家族を奪われた経験を持つユダヤ人。同じ介護施設には、彼と同様にアウシュヴィッツの収容所で悲惨な目に合ったマックスもいる。最愛の妻ルースを失い、ますます認知症がひどくなるゼヴに、身体が不自由なマックスはお互いの家族を奪った敵(かたき)への復讐を託す。それから密かに介護施設を抜け出したゼヴは、認知症という困難な病気を患いながら復讐の旅に出る。目覚めるたびに妻の死を忘れてしまう記憶力しかないゼヴにとって、頼みの綱はマックスが書いた手紙だけだった。
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手紙は憶えている 映画レビュー
観たあと心身ともにグッタリする映画でした。90歳の老人、介護施設、認知症、最愛の妻の死、アウシュヴィッツというキーワードは、その周辺関係者だけではなく、介護に接した方・高齢者が身近にいる方にとってもつらいキーワードではないでしょうか。
筆者の場合は後者のため、通常であれば観たい気持ちが沸き起こらない作品ですが、サスペンス要素が強いようでしたので鑑賞いたしました。結果、引き込まれて、唖然とし、そして激しくグッタリです。役者さんの演技、ストーリーともに素晴らしい作品であることは間違いありません。しかし、2度と観返したい映画ではないといえるでしょう。
ちなみに、今作の主要なキャラクターを演じたドイツ人の役者さんはお二人のみ。カナダやスイス、アメリカ出身の方が多数です。とくに意味はないかもしれませんが、この内容をドイツ人に演じてもらうのは難しかったのかも? と勘繰ってしまいます。なんせ、ゼヴとマックスが追うのは、アウシュヴィッツで殺戮を繰り返した兵士でありながら、ナチス崩壊後はちゃっかり収容されていたユダヤ人になりすまし、のうのうとアメリカで暮らしている人間ですから。
とはいえ、過去の敵も味方もヨロヨロのおじいちゃんたちなので、観ているほうは複雑な感情に覆われてしまいます。しかし……、当事者の気持ちになって考えてみれば、どんなに時が経とうとも、到底許せるものではありません。人の不幸を踏み台にした非道極まりないその相手が、何食わぬ顔をして幸せに暮らしていれば暮らしているほど、憎しみがこみ上げてくるのは仕方のないことです。
主役を演じるのは、その風格ある佇まいと演技力で、長きにわたって活躍しているクリストファー・プラマーさん。ジュリー・アンドリュースさんと共演したミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック(1965)』ではトラップ大佐を演じ、つい最近では、『ゲティ家の身代金(2018)』でアカデミー賞演技部門での最年長ノミネート記録を更新しました。
ちなみに、同氏は昔ピアニストになるため勉強されていたとのことで、今作ではその腕が存分に披露されています。そのピアノ演奏も、すかさず伏線として活用されていましたよ。
なお、このように作品は上質ですが、キャッチフレーズや予告編はせっかくの“見どころ”を台無しにしているので、せめて予告編だけでも観ないようにして鑑賞することをおすすめします。また、体調が悪いときの鑑賞も避けたほうがいいでしょう。余計に具合が悪くなるかもしれません……!?
そんな映画『手紙は憶えている(2015)』は、売ってはいけない1本といえます。もちろん、ご判断は皆様次第。ちなみにバリQは、買い取り価格の高さが自慢です。市場価値に合わせて買い取りをしているので、新しいものはもちろん高額で、古くても市場価値があるものは、しっかりと評価します。それに、とにかく査定スピードが速い!! お荷物到着後、最短で24時間以内に査定をご連絡します。業界最速ですよ!
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監督は『エキゾチカ(1994)』で第47回カンヌ国際映画祭・国際映画批評家連盟賞を受賞し、『スウィート ヒアアフター(1997)』で第50回カンヌ国際映画祭・グランプリを受賞したアトム・エゴヤンさん。
ゼヴ(クリストファー・プラマー)の息子チャールズを演じたのは『ミッション:インポッシブル(1996)』でIMFの職員ユージーン・キトリッジと「指令の声」を演じたヘンリー・ツェニーさんです。ところで、関係ないけど、そのほかの『ミッション:インポッシブル』の「指令の声」は誰なんだろう?
ライター中山陽子でした。
手紙は憶えている(2015)
監督 アトム・エゴヤン
出演者 クリストファー・プラマー/ブルーノ・ガンツ/ユルゲン・プロホノフ/ハインツ・リーフェン