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CINEMAバリQ

今日の1本 Mr.インクレディブル (2004) 岸豊のレビュー


 
ピクサーの長編アニメーションで6作目に当たる『Mr.インクレディブル』は、スーパー・パワーを持つ家族の活躍を通じて、現実社会における「ヒーローの在り方」を問いかける作品だ。
 
ピクサー初のヒーローものである本作は、社会に溶け込みきれないヒーローたちが抱く、ヒーローとしての姿と、社会における一市民としての姿の間での葛藤が描かれる。
 
ロバートとヘレンはスーパー・ヒーローとして活動する中で出会って結婚し、子供が出来たことで家庭を築いてきたが、ここで重大な現実にぶち当たった。ヒーローでは食べていけないのだ。「ええ……そんな夢のない話イヤだよ」と思う方もいるだろうが、ここが本作の面白いところである。保険会社の会社員として働くロバートは、子供2人を育てるのに必死でヒーロー活動ができるのは夜中だけ。非現実的(インクレディブル)な能力を持つヒーローが、金という極めて現実的(クレディブル)な問題には勝てなかった、という、ピクサーらしい皮肉が効いた構図が面白い。
 
そんな本作の見所は、3DCGで展開される迫力のバトルシーンだ。ピクサー作品では本格的なアクション・シーンは描かれてこなかったが、ロバートの怪力、ヘレンの「ゴムゴムの実」のような軟体、ヴァイオレットのテレキネシス、ダッシュの超スピードが織り成すバトルシーンは、実写のスーパーヒーロー映画に負けない臨場感を与えてくれる。彼らの能力が融合して生み出される大技の数々はアニメーションでしか表現できないものだ。また、一家の友人であるフロズンが放つ氷も、鮮やかで連動性が有り、アクションの展開に幅を生んでいる。コンビネーションによって展開される戦闘シーンは、後にディズニーによって製作される『ベイマックス』(2014)でのバトルシーンの原型になっているので、比較してみると面白い。
 
ピクサーらしい遊び心も多く見られる。強烈なキャラクターが面白いコスチュームデザイナーのエドナは、ハリウッドの伝説的な衣装デザイナー、イデス・ヘッドをモチーフにしている。彼女の家には、日本からの影響を強く受けているピクサーらしく、日本文化をモチーフとした小道具が数多く登場する。
 
意外かもしれないが、本作はピクサー作品で初の「人間を主人公とした作品」でもある。3DCGで描かれたキャラクターたちは、デフォルメされていながらも、何気ない仕草が人間臭さを醸し出している。また人間を主人公としたことで、それぞれのキャラクターが持つ悩みや葛藤に感情移入しやすいのも本作の魅力だ。
 
気分が晴れない?面白いアニメでスカッとしたい?そんなとき、本作を観て欲しい。人間臭い物語とクールなバトルで、観る者の五感を刺激し続ける最高のヒーロー・アニメだ!
 
Mr.インクレディブル
出演: マーク・アンドリュース, トニー・フュシル, コリ・レイ, リック・セイヤー, キャサリン・サラフィアン
 

 
 
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