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CINEMAバリQ

今日の1本 ガンシャイ(2000) gattoのレビュー


 
なんで、なんで、そんなに評価が低いの?と聞こうものなら、「何が面白いんだ」と応酬されそうな映画『ガンシャイ』は、
 
監督と脚本を担当したエリック・ブレイクニーの「もう、屈強なスーパーヒーローに飽き飽きして、神経質なヒーローを描きたくなったんだ」
 
という発想のもとにつくられたクライム・ロマンティック・コメディ。
 
今を輝く最強オヤジのリーアム兄さん(リーアム・ニーソン)が、少し病んでいる潜入捜査官チャーリーを演じている。
 
とにかく、トラウマがひどくて強烈な恐怖の記憶から逃れられない。ことあるごとに、お腹を下し、パンツ丸出しでトイレに駆け込んでばかりだ。(あの、リーアム兄さんが!?)しかし、そんな繊細な下痢ピー男であっても、実際には腕の立つ潜入捜査官なので、随所にそのデキるオトコ具合がちりばめられている。
 

 
恋人役のジュディは、この映画で製作総指揮も兼任しているサンドラ・ブロック。正直、この映画の彼女はどの映画よりも魅力的に感じる。登場も良い。言葉も良い。表情も良い。頭が良くて無邪気で、時に恋人のように姉のように幼馴染のように、時に母のように、弱っている男を 大海原のごとく包み込む。
 
それに、アメリカ映画ではお馴染みの“ヒロインはお医者さんか、看護師さん”という設定も裏切らない。いやー、こんなオンナなら誰だって惚れるよな、ってな感じの描き方だ。
 
そして、忘れてはならないのが、オリバー・プラットが演じるフルヴィオ。ゴッドファーザーの娘と結婚して不幸な結婚生活を送っているマフィアの一員。サイコキラーと言われるほどキレるとすぐ人を殺すような男なのに、鬼嫁にめっぽう弱く、キレイ好きでトマトの栽培に夢中だ。
 
このフルヴィオが、とにかく可愛くって仕方ない。
 
あと、この映画を親しみやすく温かい雰囲気にしてくれるのがグループ・セラピーの仲間たちだ。中年の悲哀たっぷり背負って小っちゃい悩みをぐちぐち言うが、実は頼もしくて、たまらなくイイ奴らなのである。
 
コロンビアマフィアの二人だって、しっかり笑かしてくれる。
 
そんな魅力的な登場人物たちが織り成す物語の舞台はニューヨーク。街並みがとても美しく、マフィア同士のビジネスと潜入捜査の大詰めを目の前にしているのに、心が和む。
 
突っ込みどころ満載な“ゆるい”マフィアと潜入捜査のやりとりも、この物語の軸となって進行するが、どのシーンも暗さがない。(一部かわいそうなシーンもあるが)
 
とにかく、なんだか心地よいのだ。
 
潜入捜査官のチャーリーが初対面のフルヴィオに銃を向けられたシーン。
チャーリーが大詰めを迎えるときの、恋人ジュディの送り出し方。
チャーリーが最後フルヴィオの頬をポンポンとするところ。
最後のフルヴィオの表情が
 
最高だ。
 
タイトルの『ガンシャイ』は、自信喪失や臆病者を意味するらしい。
 
詰めの甘い突っ込みどころは端に置いといて、
世間の酷評を気にしないひと。
 
心地よい爽快感が欲しいひと。
現状を打破したいと願うひと。
自信をなくしてしまったひとは、
是非ご賞味あれ。
 
最初のエンドロールが流れても、
必ず少しお待ちください。
 
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
 
 
ガンシャイ
出演: サンドラ・ブロック, リーアム・ニーソン
監督: エリック・ブレイクニー


 
 
他人の評判なんて気にしないぜ!
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