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CINEMAバリQ

今日の1本 トイ・ストーリー2(1999) 岸豊のレビュー


 
本作では、明確に「誘拐」という犯罪が描かれる。そしておもちゃたちの奮闘によるウッディの奪還が描かれるのは、アメリカが誘拐大国であるという世相に基づくものだろう。そして、ウッディを誘拐したアルは誘拐犯だけではなく、「拝金主義者」でもある。彼のウッディに対するこだわりは、彼自身がウッディの大ファンであるからではなく、ウッディが持つ市場価値によるものであり、「これで私も大金持ちだ」というセリフが象徴的だ。こうして本作は、「純粋なおもちゃに対する愛」を失ってしまった大人を、今日のアメリカを象徴する悪役に据えることで、おもちゃたちの善良な心とのコントラストを形成している。
 
前作では「おもちゃとしてのアイデンティティ」に目覚めるバズの姿が描かれたが、本作ではウッディが2つのアイデンティティの間で激しく葛藤する。ウッディはアルの部屋で、出演していた番組の映像やグッズなどを見て、自分が大人気のおもちゃだったことを知る。そして彼は、アンディにとっての特別なおもちゃとしての自分と、世界中のコレクターが喉から手が出るほど欲しいプレミア付きの自分という2つのアイデンティティの間で激しく葛藤する。さらにジェシーやブルズアイ、プロスペクターといった仲間たちの存在が明らかになり、ウッディがアンディの元へ帰れば、彼らはウッディと一緒に博物館へ行けず、倉庫に仕舞われてしまうという板挟みに陥る。ここで描かれる「かつての自分への憧憬」が何とも切ない。
 
おもちゃとしての役割とは何か?それは、綺麗なガラスケースに飾られたり、高値で取引されることではない。子供と一緒に遊んで、彼らを喜ばせることだ。近年ではプレミアがついた商品が、オンラインで驚くような高値で取引されていることをよく目にする。しかし、購入者たちはおもちゃで遊びはしない。彼らは飾って眺めるだけだ。ウッディはようやく自分の気持ちに気づく。「いつかアンディも遊んでくれなくなるかもしれない、それでも自分はアンディと一緒にいたい!」
そしてウッディは、ジェシーやブルズアイを連れて決死の脱出に挑む。
 
手に汗握る脱出劇の中では、絶妙なジョークも織り交ぜられ、ピクサーらしい「緊張と緩和」の乱れ打ちで観る者を楽しませる。特に「2人目のバズ」とザーグが見せるまさかの展開には爆笑してしまった。誘拐と拝金主義を象徴していたアルや、エゴイズムでウッディたちを困らせたプロスペクターには
相応しい罰が与えられ、ウッディたちは見事、アンディの家へ帰還する。
 
本作は、前作と同様に善悪の基準を子供たちに教えるだけでなく、大人たちが思わずハッとするようなストーリーを見せており、ストーリーテリングに磨きがかかったことを証明している。
あなたの家にも、「飾られたおもちゃ」はないだろうか?時々でいい、彼らと一緒に遊んであげて欲しい。おもちゃはいつでもあなたと一緒に遊びたいと願っているのだから。
 
トイ・ストーリー2
監督: ジョン・ラセター
 

 
 
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