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今日の1本 モンスターズ・インク(2011) 岸豊のレビュー


 
ピクサーの長編4作目である『モンスターズ・インク』は、誰もが子供の頃に思い描いた「ドアの向こうの世界」を、洗練されたアニメーションで描き、モンスターと子供の触れ合いを通じて感動のドラマを紡ぎ出した、ピクサー作品でも最高傑作の1つと言えるアニメーションだ。
本作の監督であるピート・ドクターは、『トイ・ストーリー』シリーズでヘッド・アニメーターとして携わってきた経験を持ち、本作のコンセプトである「クローゼットの向こうの世界」は、『トイ・ストーリー』の「子供が寝たあとにオモチャが動き出す」というコンセプトからの影響だ。しかしピート・ドクターは、進化したアニメーションと、見る者の予想を裏切り続ける計算されたプロットで、超ハイレベルなストーリーを紡ぎ出している。
 
主人公で「怖がらせ屋」のサリーやマイク、そしてモンスターの世界に迷い込んだ人間の子供であるブーの冒険を通じて描かれるドタバタ劇では、サリーのダイナミックなアクションや、マイクが活躍する終盤でのチェイスといった「マクロ(大き)な表現」だけでなく、細かな背景や風を受けて揺れ動くサリーの体毛といった「ミクロ(小さ)な表現」に至るまで徹底してこだわり抜かれており、ピクサー社の社長であるジョン・ラセターの「タンスの裏まで磨け」という哲学を象徴するように妥協がない。
キャラクター・デザインについては、『トイ・ストーリー』における「リアルな色と質感」から「ケミカルカラーのキモかわ」に大胆に方向転換しており、各キャラクターのビジュアルと体の動きを見ているだけでも面白い。
 
音楽は「アメリカン・ポップス」の神様で、『トイ・ストーリー』シリーズも担当したランディ・ニューマンの、ジャズを基調とした親しみやすいナンバーで構成されており、テーマ曲の「君がいないと」は多くの人の記憶に残る名曲となった。
 
本作を通じて描かれる「エネルギー問題」は、90年代に議論が加熱したトピックでもあり、時代を象徴する作品を作ってきたピクサーらしくストーリーにうまく組み込んでいるのも素晴らしい。本作で描かれる「エネルギー問題」は、後に『ウォーリー』(2011)での「環境汚染問題」に繋がる重要な要素となったことも覚えておきたい。
 
誰もが共感できる物語でありながら、モンスターたちと人間の子供の交流を描いた本作のラストは、ハンカチを持たずには見られない。
……え?まだ見ていない?なら見なきゃ!今すぐに!
 
 
モンスターズ・インク
監督: ピート・ドクター

 
 
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