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CINEMAバリQ

今日の1本 人生、ブラボー(2011)gattoのレビュー


 
公開当時、気になっていたが観に行けず仕舞いだった映画をやっと鑑賞した。実話が基になっているという映画『人生ブラボー』は、カナダのハートフル・コメディ。
 
精子提供を693回行った男が主役だ   !!!?
 
 
この映画の主人公は、冒頭から激しい借金の取り立てにあっていた。しかも、借金返済のために副業として大麻を育てようとしてしまう生粋のダメ男。普段は父親の堅気な商売を手伝うも評価はされがたく、ついには自分の子を身ごもった彼女に愛想を尽かされるという、自他ともに認めるダメ男なのである。
 
しかも、こともあろうに過去のアルバイトで693回という驚愕の回数を精子提供していたため、知らぬ間に、生物学上の子どもが533人生まれていたのである。そして、そのうちの142人が、精子提供者、つまり生物学上の父親の身元開示を求め、訴訟を起こしてしまう。
 
始めは、知らぬ存ぜぬを通そうとしていたが、ある“きかっけ”から子供たちに興味を持ち始め、素性を隠して子供たちに会いに行き始める。
 
会いに行く先々で、ダメ男は子供たちの様々な人生を目にする。ボロボロな生活でも仕事は頑張ろうとする娘、ストリートミュージシャン、サッカー選手など。なかには、心を痛める出会いもあった。
 
物語が進むにつれて、ダメ男の基盤に愛すべき気質がまとわりつき、新たな骨格をつくっていく。
 
 
しかし、世間には「オイオイ短期間に693回もマスをかいたのかよ」と笑われ、ついには「マスかき男」と不名誉なあだ名までつけられてしまう。子どもたちとの温かい交流だって素性を隠しているからこそできること。しかも、借金取りは取り立ての手を緩めない。
 
ダメ男は、いったいどう決着をつけるのか…。
 
 
しかし、途中、家族から披露されたダメ男についてのエピソードで、わずかに見え隠れしていた彼の本質がハッキリと姿を現し始め、過去と現在のパズルが合い始める。
 
 
そして、苦労人で努力家で、深い愛を息子たちに注ぐ父親の言葉が、
いつまでも耳に残り離れない。
 
そのセリフを言ったときの、父親の誇らしい顔に
感動を覚える。
 
 
映画の原題は『STARBUCK』
 
このSTARBUCKは、映画のなかで主役が精子提供をするときに使っていた偽名であるが、スターバックスコーヒーのパクリかと思ったら、そうではなく、カナダの、優良な遺伝子を持つ“種牛”の名からとったらしい。
 
確かに533人って、すんごい種牛、いや、種男でございます。
でも、人に愛される種男です。
 
 
そう、“持っている男”なんです。
種も、底抜けの優しさも
 
是非ご賞味あれ。
 
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
 
 
人生、ブラボー
出演: パトリック・ユアール, ジュエリー・ル・ブルトン, アントワーヌ・ベルトラン, ドミンク・フィリー, マーク・ベランジェ
監督: ケン・スコット
 

 
 
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