【ワイルド・スピード SKY MISSION 】車大好き不死身メンバーが空を飛ぶ映画
第一作目は、ロサンゼルスの若者たちが、夜な夜な自慢のチューンナップカーを引っ提げてストリート・カーレース(ドラッグレース)に興じる姿を背景に、若き潜入捜査官と、カリスマ性を持つ親分、そしてその仲間や妹と繰り広げられる、友情や恋、そしてアクションを描いた映画であった。
実際にアメリカの若者たちが、日本車をカスタマイズしてレースに参戦していたので、映画には数多くの日本車が登場する。エキストラも根っからの車好きが自分のドラッグカーを持ちより集まったという、車好きの、車好きのための、車の映画といっても過言ではなかった。
いまでこそ、ワイルド・スピードはドル箱映画になり、出演者たちも有名になったが、第一作目では、ほぼ無名の俳優たちだったために、公開は早々に終わってしまったのだという。
しかし、のちに発売されたDVDで話題になり、爆発的に人気が出たのだ。
これが、このシリーズの始まり。 そして、シリーズ7作目となる先日の『ワイルド・スピード SKY MISSION (2015)』では、もはや『ミッションインポッシブル』のイーサン・ハントや、『007』のジェームス・ボンドも真っ青の、スパイものかと思うような超ど級のアクション映画へと変貌した。
人によっては、ストリート・カーレースが全面に出ていた第一作目の雰囲気を愛し、今のワイルド・スピードは、もうワイルド・スピードなんかではない!と拒否感をもつ人もいるだろう。 しかし、第一作目のようなストリート系も、スパイ映画も大好きな私にとって、「ワイルド・スピード SKY MISSION (2015)」は、【特典と味噌汁つきでサービス満点な豪華絢爛『幕の内弁当』】のようなもの。
呼吸が高まり、血流が大暴走し、瞳孔が開き、アドレナリン全開のまま、あっという間に走り抜ける138分だったのである。
しかし、途中、ヴィン・ディーゼルとミシェル・ロドリゲスのラブラブ・モードが少しだけ小っ恥ずかしくて、急にアドレナリンが低下する。やはり、ミシェル姐さんは『マチェーテ』シリーズの時のように、アイパッチして黒ビキニで、でかい銃をぶっ放している方が似合っている。
ご存知の通りブライアン役のポール・ウォーカーがクランクアップを待たずに天へと旅立ってしまったので、未撮影部分は体型も顔も似ている弟が演技し、CGで補ったという。 そのために、映画を観るまでは不安な人も多いと思うが、そんな事も気にならなくなるほどのノンストップアクションなので、心配するほどでもないと思う。
多少、顔がわかりにくいアクションシーンなどは「この部分はボディダブル(替え玉)だな…」と感じることがあっても、すぐにシーンごとの迫力に圧倒されてしまうのである。物語は、前作でやっつけた男の強すぎる兄ちゃん、しかも元特殊部隊の男が復讐の鬼となってやってくるのに合わせて、国家機密のカギを握るハッカーや、政府の秘密組織、テロリストたちが複雑に…、いや、違った、意外に単純に絡み合うなか、いつもの愛すべきワイルド・スピードファミリーの面々が、「ぜったいお前らアベンジャーズか不死身のスパイだろう」といいたくなるほどのアクションを繰り広げ戦うという感じ。
途中、ワイルド・スピードの原点であるドラッグレースのシーンもあるが、今回はタイトル通り車がビュンビュン空を飛びまくる。約3億4000万円といわれる、お金持ち過ぎて感覚がおかしいアラブの富豪のための車も空を飛ぶ。そんなに高額なら翼ぐらい搭載しとかんかい。
いずれにせよ、今作はヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、タイリース・ギブソン、ジェイソン・ステイサム、ジャイモン・フンスーと、いくらなんでもハゲ頭が多すぎる。「どんだけ頭部をピカピカさせた映画にしたいんだ、照明をケチりたいのかっ」と思いつつ映画鑑賞した人も多いだろう(多くないか)。トークショーでその件を問われたとき、ヴィン・ディーゼルは「(ハゲ頭は)契約事項なんだ」と答え、その場の笑いをかっさらったとかなんとか。とりあえず、座布団三枚。
ポール・ウォーカーの最後の表情は、何ともいい難い。人工的なのに、つくりものじゃない。多分、そこに、本当に映し出されたのだろう。観終わってからも脳裏を離れない。
是非ご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
ワイルド・スピード(2015)
出演者 ヴィン・ディーゼル,ポール・ウォーカー,ジョーダナ・ブリュースター
監督 ジェームズ・ワン
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