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アイアン・スカイ/映画あらすじ・レビュー(アイアン・スカイ2が公開される前にぶっ飛び映画を予習しておこう!)

アイアン・スカイ あらすじ

時は2018年、アメリカの大統領選挙キャンペーンの一環で、モデルのジェームスはダークサイド・ムーン(月面の裏側)に送り出された。

しかし、彼はそこでまさかの光景を目にする。
それは、月の裏側に存在する秘密基地と、その主が1945年に地球から脱出したナチスであるということ。

ジェームスは彼らに捕らえられ、地球侵略のために利用されるが、彼らもまた、アメリカ大統領の選挙キャンペーンに利用されるという不思議な状況に陥っていく。
しかし、その陰で、ナチスの地球侵略計画は、時折ズッコケながらも着々と進んでいた…。

アイアン・スカイ レビュー

馬鹿なギャグと知的な皮肉、強烈な政治風刺が入り混じった映画、それがこの「アイアン・スカイ」だ。

公開は2012年。
この映画を製作するにあたっては、なんと世界中の映画ファンにカンパを募り、約100万ユーロ(約1億円)が集まったというからあっぱれだ。

キャラクターの名前、ストーリーのアイデアなども募集したらしい。
ナイスバディのカワイ子ちゃんが中心になってポーズを決めた、この映画のポスターに書かれたキャッチコピーは「ナチスが月から攻めてきた!!」。
月ってどういうこっちゃ。

ギャグ全開のポスターからも想像できるように、全編にみっちり散りばめられた笑いは、これでもかというぐらいギリギリきわきわのブラックジョーク。
製作国はフィンランド、ドイツ、オーストラリア。
なるほど、アメリカへの風刺には強い意思とパワーを感じる。
もちろん政治風刺だけではない。この映画のなかでは、人種差別も国連もへったくれもないのだ。

途中、国連に参加している各国首脳が、“あの国”の発言途中で大爆笑するシーンがある。
「こんなんギャグにして大丈夫か」と思いながらも笑ってしまったが、なんと続編の制作費を募る動画では追い打ちをかけるように、この映画の監督が”あの国”に拉致されたというネタで攻めまくっているらしい。
いや~挑み方が半端ない。ギャグ映画ながら本気で風刺しているようだ。

また、武器を搭載したアメリカ未来探査機の名前が、戦争好きで知られる人物の名前になっているあたりも、お約束のブラックジョーク。
そして、各国がナチスとの戦いに宇宙船を向かわせるなか、「ちょっと何よ、平和条約誰も守っていないの?武装していない宇宙船は?」というアメリカ大統領による各国首脳への問いかけに、穏やかな気質で知られる1国だけが、恐る恐る手を上げるシーンも笑える。

また、アメリカ大統領を演じる女性がアメリカの保守派政治家サラ・ペイリンそっくり。
もちろん確信犯でありながら、作品のなかでは大統領の名前は明らかにされていないようだ。
このアメリカ女性大統領が強烈で、何か起ころうと一切動じず、自分の支持率にしか興味がない。
そして、彼女のスタンスといえば、部下の手柄は自分の手柄、自分の失敗は部下の失敗。
ここまで人格が破たんしていると、もはや潔さを感じてしまう。

そして、この映画のなかで唯一の可憐な存在はナチスとして生きるレナーテ。

地球上におけるナチスの真実をまったく知らず、純粋なまま宇宙でナチスが愛と平和であると信じ続けていた彼女が、なんとも健気なのである。
彼女は真実を知ることで、その純粋さゆえ恐れるものが無くなる。
本当の愛と平和のためにゼロからの出発もいとわない強さがあるのだ。
ちょっと色っぽくて、健気な娘レナーテは、もしかしたら創始者の気質を誰よりも備え持っているかもしれない。

各国首脳が低レベルな大ゲンカをする際に靴を手に持っていることも、アメリカ前国務長官が靴を投げられちゃった風刺だろうし、地球上ではジャズを退廃芸術として規制していたナチスと、宇宙で最初にコンタクトするのが、超おしゃべりなアフリカ系の男性モデルであるということも皮肉だし、マッドサイエンティストの存在なども、全てがブラックジョーク。
また、携帯のバッテリー切れで壮大な計画が中断という文明のギャップをも笑いにしている。

しかしながら、映像技術や宇宙船のデザインなどは非常に見ごたえがあるので、是非そのあたりも注目して欲しい。
いずれにせよ、この映画でお気に入りのギャグ(皮肉)は?と聞かれても多過ぎて選びきれないが、責務をまっとうするためと言いつつ、実はカワイ子ちゃんにムラムラきているだけのクラウス・アドラー准将によって発せられたこのセリフに、座布団10枚あげとこう。

「我々は遺伝子がピッタリなので、法的に結合しようではないかっ」
是非ご賞味あれ!

映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。

アイアン・スカイ(2012)

監督 ティモ・ヴオレンソラ
出演 ユリア・ディーツェ/ゲッツ・オットー/クリストファー・カービイ/ステファニー・ポール

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