きっと、うまくいく/映画あらすじ・レビュー(スピルバーグもブラピも脱帽の3バカに乾杯!)
きっと、うまくいく あらすじ
家族の期待を背負ってエリートの道へと進むべく、インドの工科大学ICEに入学したファルハーンとラージューは、一風変わったランチョーと出会う。
そのランチョーと過ごした大学生活は、彼らが持つ固定概念をすべて拭い去り、人生を大きく変えてしまう内容の濃いものだった。
しかし、ランチョーは卒業の日を最後に、彼らや恋人の前から姿を消してしまう。
それから10年後、ランチョーの所在を知らされ会いに行った2人は、思いもよらない真実に直面する。
きっと、うまくいく レビュー
インド映画を1本観ると、「ギブ ミー ボリウッド!」という気持ちが高まり抑えられなくなって、立て続けに観てしまう。
そんな魅力に溢れたインド映画の中でも、この「きっと、うまくいく」は、私が今まで観たインド映画のなかでは一番に涙を流したかもしれない。
すでに周知のことかもしれないが、インド映画はとにかく長い。
この映画もご多分に漏れず堂々の170分。
心のどこかで「なげーなー」と思いつつも、すっかり引き込まれてしまうのがこの作品だ。
評価が非常に高いことからハードルを上げまくって観たにもかかわらず、鑑賞後、本当に観て良かったと感じることができた。
「きっと、うまくいく」の魅力は、一人の青年の魅力を語りつくしながらも、その周囲の人間の内なる強さや大らかさも余すことなく映し出され、万遍なく魅了されてしまうところかもしれない。
ラストシーンの、心が空を突き抜けるような爽快感と、一人の青年の目を通し学生時代の様々なことや、ある風変わりな親友について語り物語が進む雰囲気は、インド青春版「ショーシャンクの空に」といった感じだろうか。
そして、この映画は風変わりな天才ランチャーという青年を通して、競争社会においての圧力と、試験結果だけで人を判断することの視野の狭さ、カースト制度を、密かに?批判している。
インドの激化したエリート教育や社会について行けない人は決して少なくない。
そのため、作品のなかのセリフにも出てくるが、インドでは自殺者の数が急増しているのだとか。
もちろん、それだけが原因ではないが、大きな要因の一つであることは間違いない。
それを踏まえてか、この映画では一つの過程でうまくいかなくても、違うフィールドでは大した問題ではなくなるのだと伝えている。
いわゆる学生が社会に出たときには、試験の成績なんぞ大した意味を成さないということ。
そして、もっと視野を広く持ち、自分が歩みたい世界に飛び込むことをすすめている。
「好きこそ物の上手なれ」なのだ。
自分が背負っていかなければいけない家族からのプレッシャーを感じて、ただただ無事にエリート大学を卒業して、お給料の高い会社に就職するため大学にやってきたファルハーンとラージューは、常識や学校の枠組みに全くとらわれないランチョーに最初は振り回され気味だったが、のちに、自分の内なる意思とパワーに目覚め、自らの足で歩み始める。
ランチョーは教えたのではなく、ただそれに気付かせてくれたのだ。
自由奔放な天才ランチョーを演じたのは、実年齢が当時40代半ばでありながら、この大学生役を熱望したアーミル・カーン。
物語を通してナレーションを担当したファルハーン役のR・マドハヴァン。
終盤の悟ったような表情はもはや神がかっていたラージュー役はシャルマン・ジョシ。
個人的な感想としては、ラージュー役のシャルマン・ジョシが、なんとも素晴らしかった。
ちなみに、R・マドハヴァンもシャルマン・ジョシも当時は30代だったとのこと。
そして、徹底的に競争社会主義者である学長の魅力的な娘ピアが、私の好きなインド映画の一つ「ラ・ワン」で妻役を演じていたカリーナ・カプールだったことが、なんとも嬉しかった。
今そこに見えている大きな壁には、もしかしたら、小さなドアがついているかもしれない。
もしくは、その壁を通らなくてもいい快適な道が他にあるかもしれない。
もしくは、少し離れて壁を眺めてみたら、思うほど大きな壁じゃないかもしれない。
この作品には、多くのことを、そんな風に思わせてくれる魔法がある。
行き詰ったとき、友人と疎遠になったときに観るとますます心にずっしりくるのではないだろうか。
胸に手を当てて信じれば、きっと、うまくいく。
すっかり地に足がついた自由人3バカトリオと一緒に唱えてみよう、魔法の言葉を。
「うまーくいーくAal Izz Well」(アール・イーズ・ウェル)
「うまーくいーくAal Izz Well」(アール・イーズ・ウェル)
「うまーくいーくAal Izz Well」(アール・イーズ・ウェル)
是非ご賞味あれ
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
きっと、うまくいく(2009)
監督 ラージクマール・ヒラニ
出演 アーミル・カーン/カリーナ・カプール/R・マドハヴァン/シャルマン・ジョシ
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