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ミッドナイト・ガイズ/映画あらすじ・レビュー(いぶし銀の爺たちが魅せるラストにしびれる映画)

ミッドナイト・ガイズ あらすじ

獄中ですっかり老け込んでしまった老齢のギャング、ヴァルが長い刑期を終えて出所すると、長年の友人でギャング仲間だったドクが、やはりすっかり老け込んだ姿で迎えに来ていた。
時に悪態をつきながらも、ドクとの再会を心から喜ぶヴァルだったが、ドクには辛すぎる密命が下されていたのだ。

しかし、それぞれの思惑をしまい込み、やがて旧友のハーシュも誘いだし、3人で昔のようにハメを外すのだが…。

ミッドナイト・ガイズ レビュー

この映画の前情報が一切なくても、アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキンが出演と知れば、いぶし銀な魅力をゴリゴリに見せつける映画だとすぐに察することができる。
もちろん、その期待は一切裏切らない。
しかし、確かに粋な爺さまたちは強烈にぶっ飛んでいるが、この映画は少し悲しくて、そして、あったかいのだ。

時に犯罪映画では、不敵で知的で許容範囲が広く、全てお見通しというような”デキ過ぎる”やつが登場することがある。
実は、この映画の渋い爺さまたちにも、それが当てはまる部分がある。

でも、それは、すんごいスパイとか、すご腕のヒットマンとか、そういったものとは違う。
彼らが過ごした年月と、その生きざまがそうさせるのだ。

正直、観ていて「おじいちゃん、体に悪いからやめなよ~」といい、手を引いて歩きたくなるようなシーンもたくさんある。
しかし、観進めていくと、そんな愚かな心配は必要ないとすぐに気付く。
ギャングとして生きた爺さまたちは、もうすでに度を越えた恐怖を知り、度を越えて傷つき、度を越えて何度も死に直面し、度を越えて絆の大切さを知り、度を越えて誰かを守りたいと思い、そして、安全と安心よりも、強烈なパッションを求めている。

老ギャングの哀愁という叙情的な雰囲気を全体にまといながらも、3人のカッコいい爺たちがやることはハチャメチャだ。
クスリを盗み、高血圧などのクスリを粉々にしてドラッグ代わりにしたり、クラブで若い女を口説いたり、精力剤を飲んで売春宿に行ったり、車を盗んでカーチェイスをしたり、無法者に制裁を加えたり。

この3人のなかで”絶倫”担当だったのが、実年齢では一番高齢なアラン・アーキンが演じたハーシュだったことも笑える。
玄人さんを虜にしてしまうほどなのだから、そりゃあすごいんだろうと想像していたら、もうこの世に存在しない妻に懺悔する姿に胸をキュンとさせられる。
アラン・アーキンが演じたおじいちゃんには、最後まで心を締め付けられっぱなしだった。

アル・パチーノが演じるヴァルは、自由奔放なようでいて心の内側に思慮深さと仁義を備えている。
アル・パチーノは昔から、骨太な部分と繊細さを併せ持った、哀愁ある男を演じさせたら右に出るものはいない。

クリストファー・ウォーケン演じるドクは、穏やかさと安心感を与えてくれる牙を隠した優しい老ギャングだ。
しかし、ひとたび牙をむけばその強さが半端ない。

ビシッと着こなして敵をブッ飛ばすシーンもちゃんと存在していたことが嬉しかった。
しかし、時々どうしても「おばあちゃん」に見えてしまうという不安にさいなまれる。
悪役商会顔のはずなのに、何故なのだ。

そして、アラン・アーキンが演じるハーシュの知的な娘役は「ER緊急救命室」に看護婦長役で出演し、ジョージ・クルーニー演じるダグラス・ロスとのロマンスでファンをやきもきさせたというジュリアナ・マルグリーズ。
やはり医療機関が似合うせいか、看護師として登場している。

そして、そして、もう一人、最高に可愛い娘を紹介するのを忘れてはいけない!
それは、アレックス役で出演していたアディソン・ティムリン。

私がこの若い女優さんを初めて認識したのは「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013)」だが、世の多くの男性もこの映画で彼女にズキュンとやられたのではないだろうか。
女性の私から見ても、本当に魅力的で、こんな娘や姪っ子がいたら最高だなと思わせてくれた。
やわらかくて素直そうで、優しい雰囲気のセクシーさがあり、少しだけあどけない女優さんなので、是非チェックして欲しい。

自分が、老齢の人に接するとき、すぐに「守らなければ」と考えてしまう。
しかし、自分がその立場だったらどうだろう。
できることは全て自分の意思でやりたい。
最低限の敬意を持ってほしいし、自由に生きたい。

それに、穏やかな日々だけではなく、魂を熱く燃やしたい。
翼をもって水面近くを渡るような気分を味わいたいし、森を抜け、見たことがないような景色を見て、感動したい。
きっと、これは、そんな映画なのだ。

ラストはスカッとというより、いぶし銀が炸裂する。
錫(すず)の器で熱燗をつくっていたら、あたため過ぎて、沸騰した鍋のなかで、もう誰も手を付けられないほど錫が熱くなってしまった感じだ。
(って余計わかりにくいか)

映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。

ミッドナイト・ガイズ(2012)

監督 フィッシャー・スティーヴンス
出演 アル・パチーノ/クリストファー・ウォーケン/アラン・アーキン/ジュリアナ・マルグリーズ
主題歌 ジョン・ボン・ジョヴィ

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