スパイ・レジェンド/映画あらすじ・レビュー(5代目007の華麗なる王道スパイアクション)
スパイ・レジェンド あらすじ
CIAの敏腕エージェント、ピーター・デヴェローは、自分が指導する若いエージェントとの任務で罪のない命が失われてしまったために、CIAを引退してしまう。
それから5年後、スイスで穏やかな引退生活を送っていた彼のもとに以前の上司が訪れ、ピーターの同僚3人が殺されたことを告げる。
また、過去に愛した女性の身に危険が迫っていると知り、再び任務に就くことを決意するが…。
ノベンバー・マンと呼ばれ恐れられていた元エージェントが、欲と陰謀にかくされた意外な真実を暴いていくスパイアクション。
スパイ・レジェンド レビュー
ピアース・ブロスナンがこの映画で演じるのは、元CIAの凄腕諜報員。
確かにかつては5代目ジェームス・ボンドだったので、思わず「そうそう、昔は凄腕のスパイだったんだよね」と、よくわからない混同が起きる(起きないか)。
私がこの俳優さんを認識したのは、80年代に人気だったアメリカのドラマ「探偵レミントン・スティール」。
日本のドラマにはない、やけに洒落たセリフとテンポの良さに魅了された記憶がある。
このドラマのお蔭でピアース・ブロスナンは一躍有名になったのだという。
もちろん当時もハンサムだったが、細身で背が高く甘いマスクゆえ”軟弱なハンサム君”という印象が強かった気がする。
そのためか、「探偵レミントン・スティール」で有名になったあと映画などで見かける彼は、決まって軟弱なハンサム君で脇役だったような…。
それがジェームス・ボンド役を仕留めて一転。
ピアース・ブロスナンという役者さんの印象は、ものすごく骨太なものに変わったのだ。
しかも、今度は甘いマスクが功を奏し”プレイボーイなスパイ”という役柄がピッタリに。
この俳優さんから、現在のダニエル・クレイグにボンド役がバトンタッチされたとき、身近にいた007ファンの女性が「立ち直れない…」と言っていたことを今でもよく思い出す。
あの少しキザで甘いマスクに骨太な雰囲気が加わり、おまけに胸毛だってモジャッモジャ、うっじゃうじゃのギャランドゥだ。
女を泣かせないはずはない。(モジャ胸毛は好みが分かれるが)
そんな役者さんが主演をつとめたこの作品「スパイ・レジェンド」は、良い意味でも、皮肉った意味でも王道スパイ・アクションだという声が高い。
しかし、鑑賞してみると、王道という印象だけには留まらなかった。
そりゃまあ元凄腕CIAで、美女がいて、ロシアの大統領選候補が絡んでいるといったら王道以外の何者でもない。
また、以前5代目ボンドだったため、「MI6とCIAの違いだけで、結局007シリーズにそっくりな映画なんじゃないのお~?」なんて色眼鏡をかけられてしまうのも仕方ない。
しかし、今回ピアース・ブロスナンが演じるピーター・デヴェローは、怒ったら容赦ないし、必要ならば弱いものにも刃物で切りつけるし、それほど女性を紳士に扱わない。
生意気な若手には辛辣なときもあるし嫌味っぽい。
もちろん、愛する者を守り通すという意思があり、できるなら正しいことをしようとするが、なんだか人間臭さが際立っているキャラクターなのだ。
この映画は「ノヴェンバー・マン」という小説が原作。キャラクターはそこで出来上がっているのかもしれない。
また、実際1999年に、モスクワなどロシア国内の3都市で起きた爆破テロ事件で囁かれている陰謀説と、この映画のストーリーは重なりあっている部分がある。
陰謀説を唱えた人物が、亡命先で謎の死を遂げたというニュースが人々の記憶にも残っているだけに、”本当に有り得る恐ろしさ”を秘めているのだ。
私が持つ「王道スパイ映画」のイメージは、もっと現実から離れた世界観を飛躍した表現で描く、エンターテイメント性の高い娯楽映画だ。
しかし、この映画は、人間臭いスパイが真相を暴く戦いだけではなく、実際にあった事件や紛争をベースに、歴史の陰で涙を流した少女の悲痛な人生を描く社会派ドラマ的な要素も含んでいる。
だからこそラストは”お日様の下でハッピーエンド”ではなく、あのような終え方にしたのだと思う。
そして、もう一つ特筆すべきは、007でボンドガールをつとめた経歴を持つオルガ・キュリレンコが出演していること。
難民センターのスタッフ役なので一見地味な雰囲気だが、その、尋常じゃなく長い足とキュートな顔が、否応なくオーラを放ってしまう。
だからきっと、(以下仮説)ボンド時代には共演できなかったピアース・ブロスナンが、「オレも、ちょーかわいいキュリレンコと共演したい!したーい!」と駄々をこねたに違いない。
何故って、途中いきなりキュリレンコちゃんが、パンツが見えそうなミニドレスの娼婦姿にさせられたシーンが唐突だったから。
監督とブロスナンが、「おねがい!1回だけ、このちょーミニな娼婦ドレスを着てくれる?」といって頼み込み、むりやり脚本に「キュリネンコ、セクシードレスで腰をふり歩く」というシーンをねじ込んで、驚異の脚の長さを階段の下から拝んだに違いないッ。(以上完全に仮説です)
それから、誰もが恐怖におののく凄腕のオンナ殺し屋に関して。
最初はすごくこわかったが、あの人は本当に強かったのだろうか。
まあ、とにかく!ピアース・ブロスナンは年齢を感じさせずアクションもキレキレだしカッコいいし、清楚なナチュラルメイクを施した、ボーイッシュなキュリネンコも魅力的だったので、是非、色々とお見逃しなく。
CIA上司役の ビル・スミトロヴィッチさんが、単にハゲ頭のカタチが似ているというだけでマイケル・チクリスさんに見え、そして、彼が「ファンタスティック・フォー」で演じた怪力岩男のザ・シングを思い出してしまい…映画の途中で雑念が入り困った
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
スパイ・レジェンド レビュー(2014)
監督 ロジャー・ドナルドソン
出演 ピアース・ブロスナン/ルーク・ブレイシー/オルガ・キュリレンコ/イライザ・テイラー
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