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ラン・オールナイト/映画あらすじ・レビュー(アンノウン、フライト・ゲーム監督と再タッグ映画)

ラン・オールナイト あらすじ

過去の罪悪感にさいなまれ、酒浸りの日々を送る殺し屋のジミーは、実の息子からさえも激しく嫌悪されていた。
しかし、昔から仕えてきたマフィアのボスで親友のショーンだけは、ジミーを大切に扱い続けた。
ところが、ショーンのやんちゃな息子が暴走し、偶然にもジミーの息子マイクがトラブルに巻き込まれてしまう。

そんななか、ジミーは自分の息子を守り抜くことを決意するが、それはあまりにも危険な決断だった。

ラン・オールナイト レビュー

「ラン・オールナイト」は、我らが最強リーアム兄さん(リーアム・ニーソン)の最新アクション映画。

すぐに女の子とモフモフしたがるクマさんの映画「Ted2(2015)」にチョイ出演すれば「96時間」パロディを披露させられるほど、最近は娘を救って救って救いまくる父親像として君臨しているため、「今度は息子を救うのかよ!」という声が方々で聞こえたのは致し方ない。

また、個人的には、飲んだくれでボロボロになったリーアム兄さんは味があって良いのだが、ある意味ずーっとボロボロという設定がいただけないのだ。
過去に凄腕の捜査官だったとか、凄腕CIAだったけれど、なんらかのキッカケで落ちぶれたという、ベタでもいいからそんな設定にして欲しい。

何故ならば、薄汚れた革ジャンを着て酒浸りで、暖房機器が壊れた部屋で一人過ごすリーアム兄さんの姿は、なんだか可哀相過ぎて見ていられないのだ。
しかも親友に雇われていた殺し屋で、今は仕方なく面倒を見られているという悲哀っぷりに耐えられない。

誠に勝手な話だが、スーツを着たお金持ちでいやな奴かと思いきや、実はこのうえなく人情家だったという「シンドラーのリスト (1993)」的な役柄とか、心身がボロボロな潜入捜査官だけど、それはトラウマのせいで、実は知的だし人望も厚い「ガンシャイ(2000)」で演じたような男を演じているリーアム兄さんの方が好みだ。

とまあ、鑑賞前から迷いを生じさせる映画ではあったが、大好きなドラマ「LAW & ORDER: クリミナル・インテント」のゴーレン刑事役ヴィンセント・ドノフリオが出演しているので、観る意欲がグンと湧いたのである。
そして、鑑賞した結果、やっぱりリーアム兄さんはボロボロでも凄腕に違いないのであった

酒浸りでいい歳で、あまり食べていないし、寝ていない設定なのだから、私が人差し指で突いても倒れそうな感じだが、リーアム兄さんは倒れないッ!
それどころか、たった一人の存在でマフィアにも警察にも脅威になってしまうのだ。やっぱり超最強オヤジだ

この映画の見どころは、ギクシャクした親子関係の再生や、長き友情、熟練俳優たちの共演、そして、”殺し屋”というキーワードにおいての新・旧対比ではないだろうか。

息子を演じるのは新生「ロボコップ」を演じたスゥエーデンの俳優さんジョエル・キナマン。
細い顔からは想像できないほど強そうな太い腕を持つハンサムガイだ。

この映画の役柄では、父親のいない子供にボクシングを教えながら妻子を養うためリムジンの運転手をするという生活を送っている。
ただ、リーアム兄さん演じるジミーが非道な仕事を待ち家族まで捨てたことを、とても恨んでいる。
しかし、徐々に父が子を想う気持ちの強さに気付いていく。

ちなみに、リムジン運転手の仕事に出る際、白シャツとダークスーツに身を包んだジョエル・キナマンは、ちょっぴりトランスポーターな感じだったかも。

そして、マフィアのボスに「アポロ13(1995)」「トゥルーマン・ショー(1998)」「ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005)」のエド・ハリス。
ジミーの兄役に「48時間(1982)」「サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方(1991)」「ケープ・フィアー(1991)」のニック・ノルティ、という熟練の名優たちが名を連ねている。
両者とも、ジミーとの関係において感情が揺れ動くさまを、円熟した余裕の演技で表現している。

また、刑事役に「フルメタル・ジャケット (1987)」「ザ・セル(2000)」などで高い演技力が評価されているヴィンセント・ドノフリオ。
テレビドラマのゴーレン刑事役でもお馴染みだが、「メン・イン・ブラック (1997)」で演じたエイリアンも強烈だった。
同族が殺されると激怒するゴキブリに似たエイリアンという設定に涙が出そうである。

そして、ショーンに雇われた殺し屋を演じているコモン。
彼は、ラッパーでもあるが俳優としても大いに活躍している。

そのなかで、今回の無表情でサイコな殺し屋は、彼にしては珍しい役柄の感じがした。
いつもはたとえ悪役でも、もう少し血の通った人物を演じている気がするからだ。

DVDには未公開映像が入っているが、そのなかにはショーンから仕事を受ける直前、異様なオーラを放ちながらストリップバーにいる様子が映し出されている。
あのシーンがあれば、もっと殺し屋が持つ異様な人格を演出できたのにと思う。
最後はちょっぴりターミネーター化していたような…。

ちなみに、コモンは「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい(2006)」にも出演しているが、エンドクレジットで流れる「Play Your Cards Right」を、R&Bシンガーのビラルを招いたかたちで歌っている。
最高にファンキーなので、是非一度聴いてみて欲しい。
現代的な武器やツールを用いる現役バリバリの殺し屋と、長年培われた勘と技が武器となる熟練の殺し屋の対比も見どころだ。

映画のなかで、父は息子にどんなことがあっても引き金を引くなという。
一線を越えたら最後、越えた先の泥で汚れた足は二度と綺麗にすることができないのだ。

父は、強くも優しい息子の命と、陽の光のなかで息子家族が生きる未来を守り抜くために命をかける。
ひどい父親だったかもしれないが、世の中すべての父親が、ここまでがむしゃらに子を守るとも限らない。
それゆえに、息子は父の全てを許そうと考える。

穏やかな表情で2人が、まだ幸せの光のなかにいたころの写真が親子の絆の証拠となり、いつまでも色あせないことだろう。

映画と現実の狭間でROCKする中山陽子(gatto)でした。

ラン・オールナイト(2015)

監督 ジャウマ・コレット=セラ
出演 リーアム・ニーソン/ジョエル・キナマン/エド・ハリス/ヴィンセント・ドノフリオ/ニック・ノルティ

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