【モンテ・クリスト伯】
PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニットのジム・カヴィーゼル主演
モンテ・クリスト伯 あらすじ
貧しいけれど実直で野心がない航海士のエドモンは、伯爵の子息として裕福なのに嫉妬深いフェルナンと幼なじみ。
フェルナンには、密かに美しい婚約者を持つエドモンへの嫉妬心があり、エドモンが船長に抜擢されると、さらにそれを膨らませた。
それから間もなくエドモンは何者かの陰謀で牢獄へと入れられる。
すっかり絶望したエドモンだったが、獄中で出会ったフェリア司祭に「生きる活力と教養、そして巨万の富」をもたらされ、故郷に戻り復讐の幕を開ける。
モンテ・クリスト伯 レビュー
ジム・カヴィーゼルといえば、最近はテレビドラマ「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」のリース役に馴染んでいる人が多いかもしれない。
ここ数年の映画では「大脱出 (2013)」の悪役がどうもしっくりこなかった記憶がある。
何故ならば、彼は「オーロラの彼方へ(2000)」のように良き青年で一生懸命な刑事役が似合い、ジェニファー・ロペスと共演した「エンジェル・アイズ (2001)」のように、印象的で優しい目をした雰囲気の役柄が似合う。
キリストを演じた「パッション (2004)」は強烈だったが、やはり慈愛に満ちた目が光を放っていた。
この映画「モンテ・クリスト伯」は、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説(日本では「巌窟王・がんくつおう」として知られる有名な物語)がもとになっているが、ストーリーや人物設定などはだいぶ脚色されている。
しかしながら、無実の罪で投獄された男が巨万の富を手にして、自分を貶めた人物に復讐していくという大筋は同じだ。
復讐の鬼となった主人公エドモン(モンテ・クリスト伯)だが、先述した通り演じているのが優しい目をしたジム・カヴィーゼルであるため、なんだかソフトな「鬼」である。
しかし、逆に、優しいハンサムさんによる悪者成敗に見えるので、復讐というエンドレスなドロドロ感がなく、爽やかに応援できる。
ただ、お人好しな青年が数々の苦難を受け人相が変わり、おまけに伯爵に変身したために昔の知り合いの前に現れても気付かれない、という設定は理解できるが、映画のなかで髭と髪型と服と所作が違うだけの“そのまんまジム・カヴィーゼル”が現れたとき「何で気付かないのだ」という気持ちが心のなかで爆発する。
まあ、いいけど、映画だから。
モンテ・クリスト伯として現れたエドモンは、驚くほど堂々としていて洗練され、教養のある魅力的な紳士になっていた。
しかし、その心のなかでは復讐の炎が燃えたぎり、一人一人確実に復讐を遂げていくのであった。
「そう簡単には死なせない」と、相手をジワジワ絶望させていくのだ。
しかし、彼は復讐を遂げる度に幸せをつかんでいるようには見えなかった…。
エドモンが絶望することをやめ、監獄から脱出し、巨万の富を得ることができたのは、同じく無実の罪で投獄されていたフェリア司祭と出会ったお蔭だ。
陽気で不屈の精神を持ち、教養に溢れ、慈愛に満ちたフェリア司祭の言葉がとても印象に残る。
エドモン「俺は神を信じない」
フェリア司祭「神は君を信じているよ~」
素敵なおじいちゃんフェリア司祭は、「ハリー・ポッター」シリーズではアルバス・ダンブルドア校長だったリチャード・ハリスが演じている。
薄汚れた衣服で獄中にいても、ユーモアを交えながら希望に満ちた光を与えてくれる姿が勇気をくれる。
性格悪すぎる幼馴染みのフェルナンを演じるのは、ガイ・ピアース。
いやな役がうまいけれど、もっといい役を演じて欲しい役者さんでもある。
ただ、「プリシラ (1994)」のように強烈なドラッグ・クイーンから、いっちゃってる「メメント(2000)」の役まで幅広く演じられる役者さんだけに、主役から脇役、悪役オファーまで後を絶たないのだろう。
婚約者のメルセデスを演じるダグマーラ・ドミンスクは、もの凄く整った顔立ちの美しい女優さんだ。
エドモンが投獄されてから一年程度でフェルナンと結婚したことで、いったん多くの観客に嫌われるかもしれないが、意思を持つ強い女性だったということが後に明らかになる。
ワンコのように可愛いいメルセデスの息子役は、今ではすっかり「スーパーマン」となったヘンリー・カヴィル。
もうすぐ公開のガイ・リッチー監督「コードネーム U.N.C.L.E.(2015)」ではナポレオン・ソロ役として出演している。
活躍が目覚ましい俳優さんだ。
そして、命の恩人であるエドモン(モンテ・クリスト伯)に忠誠を誓い、ときにナイフの使い手、ときに忠実な執事になるヤコボ役のルイス・ガスマンが素晴らしかった。
「俺は誓った通りアンタを守る。だが、(間違った選択をする)アンタからもアンタを守る」というセリフにしびれる。
もともとは海上のチンピラだったのに、最後には賢者のような雰囲気さえある。
「復讐は何も生み出さず、空しさだけを残す」と教えてくれる映画「モンテ・クリスト伯」。
何度も映画化され、ドラマにもマンガにもミュージカルにもなった、あまりにも有名な物語なので内容を知る人は多い。
したがって、ある意味安心して観ることができるかもしれない。
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
モンテ・クリスト伯(2002)
監督 ケヴィン・レイノルズ
出演 ジム・カヴィーゼル/ガイ・ピアース/ダグマーラ・ドミンスク/リチャード・ハリス
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