コントロール/映画あらすじ・レビュー(レイ・リオッタとウィレム・デフォー2大濃いキャラコンビが放つ異色のサスペンス)
コントロール あらすじ
救いようがないほど極悪非道な死刑囚リー・レイ・オリバーは、死刑執行のあと何故か目覚め、ある研究チームに2つの選択肢をいいわたされる。それは、「死刑執行」か、「実験台になるか」だ。リー・レイは被験者となることを選ぶが、それは彼自身にとって想像もつかない世界への入り口だった。
コントロール レビュー
現実社会で起きる短絡的で残忍な殺人事件を耳にすると、わずらわしい法のしばりを解いて、それ相当の刑罰を加害者にサッサと与えて欲しいと切に願う。しかし、この映画における極悪非道な男の人生には、思わず胸が締め付けられる思いがした。
怪物といわれた極悪人リー・レイ・オリバーが レイ・リオッタ、
脳科学の権威マイケル・コープランド博士を ウィレム・デフォーが演じている。
余計なお世話だが、どちらも果てしなく顔が濃い。そして、ほんとうに余計なお世話だが、どこから見ても悪人顔だ。
リー・レイが死刑執行を一時的に免れ、選びようのない二者択一を迫られ決意した人体実験とは、「アナグレス」という新薬を使ったものだった。しかし、人間らしさの微塵もないこの怪物が、大人しく実験されているわけはない。時には痛手を負いながら、コープランド博士は執念ともいえる実験を続ける。最終目標は脳の性質が薬によって変化し、被験者の凶暴性や暴力性が失われることだ。
この映画の根底に流れているのは、「罪を犯した人間は更生できるのか」「更生した人間は幸せになれるのか」というものかもしれない。しかし、幸せなんぞ人それぞれだし、そこに明確な答えはなさそうだ。そして、もしも誰かの幸せを永遠に奪ったのであれば、「更生した人間が幸せになれるのか」と聞かれれば、感情が入り込み多くの人がNOと答えるだろう。いや、「それは許さない」というべきか。
この映画のなかで、極悪非道な男は徐々にその様子を変えていく。彼に、新薬の効果が見えるのは真実なのか、それとも、また騙そうとしているのか、観客は否応なく疑いの目を凝らすだろう。結局、「時計じかけのオレンジ(1971)」のように、最後は胸くそ悪いクライマックスを迎えるのでは?と。
また、一癖ある(顔の)ウィレム・デフォーが何かをし出すんじゃないかと(あくまでも勝手に)ドキドキハラハラするかもしれない。
——「『更生した人間が幸せになれるのか』と聞かれれば感情が入り込みNOと答える。いや、『許さない』というべきか。」——
そんな気持ちをよそに、
多くの人がラストシーンで思わぬ感情に戸惑うかもしれない。
数えきれない人の血で染まった怪物リー・レイの人生とは、なんて悲しいものだったのだろうか。
しかしながら、どうだろう。
死刑囚だった時の彼と、被験者だった時の彼との大きな違いは、その記憶にある。
あの場面も、あの場面も、あの場面も、すべて、不可抗力からはじまり、その後は自分で選び、自分で得たもの。
彼の視界から光が途絶えても、
間違いなく、 その光は穏やかな余韻を残しただろう。
いつもと違うキュートなミシェル・ロドリゲスも必見!
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
コントロール(2004)
監督 ティム・ハンター
出演者 レイ・リオッタ/ウィレム・デフォー/ミシェル・ロドリゲス/スティーヴン・レイ