セブン・サイコパス/映画あらすじ・レビュー(クリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツほか強烈な面々が勢ぞろい)
セブン・サイコパス あらすじ
新作映画「セブン・サイコパス」の執筆がなかなか進まない、スランプ気味な脚本家マーティを助けるため、売れない俳優で親友のビリーは勝手に「サイコパス募集」の広告を載せてしまう。
やがてマーティは、とんでもなくサイコな殺し屋たちが自分の周囲に集まっていることを認識し、もはや執筆どころではなくなるが、さらに新たな事実を知り驚愕する…。
セブン・サイコパス レビュー
出演者とタイトルが醸し出す雰囲気に惹かれてこの映画を観たという人は多いのではないだろうか。
コリン・ファレル、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、クリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツという個性派揃いで、おまけにR15+だ。
綺麗どころもアビー・コーニッシュ、オルガ・キュリレンコと抜かりない。
ちなみにサム・ロックウェルという俳優さんにおいては、意外にも「チャーリーズ・エンジェル(2000)」でエリック・ノックス役を観てファンになった経緯がある。
本性を現したエリック・ノックスが、悪そ~なサングラスをかけて、悪そ~にタバコをふかし、ラッパーpharoahe monch(ファロア・モンチ)の「simon says」という曲をかけて悪そ~に踊るシーンがある。
とにかく、そのチンピラっぷりにシビれたのである。
一見したかわいらしい雰囲気とは裏腹に、不気味な不敵さを持つといった役柄がとても上手い。
そのサム・ロックウェルが、スランプ気味の脚本家を必死に助けようとする親友の売れない俳優ビリーを演じる。
そして、スランプ気味の脚本家マーティは、コリン・ファレルだ。
今回はいつものタフな役柄からはかけ離れているので拍子抜けする人も多いかもしれないが、最後の最後でいい具合に凄みが効いている。
ビリーが勝手に新聞広告を出したことで、強烈にイカれた連中が集まるという触れ込みでこの映画を鑑賞しようとすると、つい「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい(2006)」のようなガチャガチャ感を想像してしまう。
しかし、確かにイカれてはいるが、思いのほか哲学があり、不思議と穏やかな感情のなかで物語が進んでいくのが不思議だ。
だって、そもそも登場人物はみな、無駄に叫んだり威嚇したり怒号しなくても、充分に怖いのだ。
クリストファー・ウォーケンが真顔でジーッと見つめていたらそれだけで怖いし、トム・ウェイツが真顔でウサギを抱いて登場したら、それだけで怖い。
ウディ・ハレルソンが犬をこよなく愛するマフィアのボスならやっぱり怖いし、サム・ロックウェルが登場するだけで何か含んでいそうで怖い。
だからこそ、ドンパチはごく一部。そして、あっさり殺られたり、アッサリ助かる。
「ヒットマンズ・レクイエム(2008)」で注目を浴びた監督のマーティン・マクドナーは、監督・北野武の大ファンなのだそうだ。
そう聞くと、この作品の少し“詩的”というか、“哲学的”というか、“男のナルシシズム”を感じる部分に理解が深まる。
特に、実在した人物であり、衝撃的な抗議方法でベトナムの政権を交代させるきっかけをつくったといわれる、ひとりの僧侶を思わせるエピソードにおいては、「変わるかも」という、まるでそよ風のように爽やかな僧侶のひとことと、その後の目を覆うような光景が、北野武ファンであるマーティン・マクドナーのこだわりでもある気がするのだ。
タランティーノ、ロドリゲス、ジョー・カーナハン、マシュー・ヴォーン同様に、この映画をみて眉をしかめる人は多いだろう。
しかし、連続殺人鬼を始末しながら旅する2人の夫婦、殺人犯をストーカーして自殺に追い込む男に対し、語る正義とはなんだろう。
最後の方で、乾いた広大な景色を背景に、クリストファー・ウォーケンが穏やかな口調でメッセージを残すシーンがある。
「優しさ」と「礼」に、彼独特の“無”と“冷”、そして「ユーモア」が入り混じる雰囲気に、複雑に心をほんのり温められてしまったら、もはや、この物語を単にノワール・コメディとはくくれなくなるだろう。
(諸説あるらしいが)この映画のなかのセリフにより、ヌンチャクが沖縄古武術の武器であり、日本発祥だったと初めて知った
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
セブン・サイコパス(2012)
監督 マーティン・マクドナー
出演 コリン・ファレル/サム・ロックウェル/ウディ・ハレルソン/クリストファー・ウォーケン
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