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月のひつじ/映画あらすじ・レビュー(初の商業衛星!日本のH-IIAロケット29号機の打ち上げ成功おめでとう!)

月のひつじ あらすじ

アポロ計画を発足したアメリカのNASAは、とうとう1969年7月に月へと向けてアポロ11号を発射する運びとなった。
しかし、打ち上げスケジュールの遅れでやむを得ず、月面に着陸する時間帯はオーストラリアの田舎町にある巨大なパラボラアンテナで電波をキャッチすることに。

月面着陸という世紀の瞬間において思いがけない大役を担い、住んでいる人よりも羊の数の方が多いといわれる田舎町のパークスでは誰もが心を浮き立たせたが、いざというときになって次々と難問が押し寄せてくる。

月のひつじ レビュー

H-IIAロケット29号機の打ち上げ時刻が、2015年11月24日(火)に決定したと発表があるやいなや、日本では宇宙ロケットファンが浮足立った。
ちょうどドラマ「下町ロケット」も放送中で、日本のロケットによる初の商業衛星打ち上げということもあり、人々の熱い眼差しは鹿児島県の種子島宇宙センターに多く注がれたはずだ。
結果として打ち上げは無事に成功し、搭載していたカナダ・テレサット社の通信放送衛星は静止軌道近くへしっかりと運ばれたようだ。
関係者の方々、お疲れ様でした!

そんなロケットづいた話題に触発され、今回は「月のひつじ」レビューを。
この映画は、アポロ11号の月面着陸の中継を行うために、オーストラリアの田舎町にあるパークス天文台がその映像を受信したという実話にもとづいている。

この作品の大きな特徴は、悪い人間が誰一人登場しないということである。

多少コンプレックスが露呈したり、人間関係がギクシャクしたり、イライラしたり、とっさの嘘をついたりなど、些細なものはあるにせよ、理解のある町長も大らかでお喋りなその妻も、妻の友人たちも、宇宙が大好きなリトルボーイも、世間知らずがゆえ左側に片寄った娘も、妻を失って間もない天文台所長も、文句をたれても結局憎めない中堅所員も、好きな娘にオクテな若手所員も、すこぶるいい子だけど間が悪い若い娘も、ピリピリしていたが実はイイ奴だったNASAの社員も、異次元級に危機管理が薄いお人好しな警備員も、おちゃめな大使も、その妻も、不敵な首相も、肝っ玉母さん風なイベント担当の女性も、アメリカ国家をまさかのテーマ曲と間違えちゃったバンドメンバーも、少し世知辛いけど害はない町長の補佐も、ほとんど泣き声だけの登場だった羊たちも、誰一人(一匹)として、不快な気分にさせるものは居なかった。

そして不思議なことに、こーんなにのんびりした映画で緩やかな抑揚しかないのに、たった2回だけ八方ふさがりな状況を迎えたとき、測定器の針がググーンと大きく揺れるように思わず手に汗握ってしまうのだ。
もちろん、2回目は命がけの決断だったからでもあるが。

まあ多少、キレイな物語過ぎるとか、問題勃発からの「解決早っ!」と突っ込みたい気持ちもあるが、結果的には大きな夢と希望がつまった優しい映画に心を温められ、個々の役柄に感情移入して応援というよりは“オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の田舎町パークス”という町そのものを、心から応援してしまうのだ。

ちなみに、パークス天文台に月面着陸中継における白羽の矢が立ったのは、“位置関係”も大きな理由だが、田舎町にはそぐわないほど巨大な電波望遠鏡(パラボラアンテナ/ディッシュ)であったからだ。
南半球では、アメリカ航空宇宙局のディープスペースネットワークキャンベラ深宇宙通信施設に次いで大きい64mの口径なのだそうだ。

作品のなかでも伝えらえていた通り、批判に晒されながらも、町長が強い意思で誘致したお蔭で誕生したパークス天文台。
だからこそ、この田舎町に一大イベントがもたらされたのだ。
批判に晒されても貫き通すってなかなかできない。男だな…町長!

そして、ディッシュ(皿)とも呼ばれる巨大な電波望遠鏡に所員たちが座り、自然なままの美しい空と地平の絶妙な景色を眺めているシーンを思い出す度、自分も夢と意思をしっかり守り育てようと、強い気持ちが生まれる気がするのである。
是非ご賞味あれ。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

月のひつじ(2000)

監督 ロブ・シッチ
出演 サム・ニール/ケヴィン・ハリントン/トム・ロング/パトリック・ウォーバートン

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