007 スペクター/映画あらすじ・レビュー(実は愛妻家のダニエル・クレイグがボンドを演じる最新作)
007 スペクター あらすじ
メキシコシティである男を追い詰め、大爆発による建物崩壊や、飛行機での上空乱闘を大勢の市民の前で披露してしまったMI6の諜報員ジェームズ・ボンド。
Mに注意を受け謹慎命令まで言い渡されるが、多くを語らず、ある目的を果たすためローマに向かう。
そこで出会った未亡人から謎の組織のことを聞き出し、その秘密会議にもぐりこむと、中心となる男から驚きの言葉が発せられた。
そして、多くの謎を解くカギとなる宿敵との、最後の戦いが幕をあける。
007 スペクター レビュー
大作ゆえに賛否両論ありだが、個人的にはダニエル・クレイグがボンドを演じた007のなかでは一番好きな作品になったかもしれない。
アクションは超絶で、有無をいわせぬ迫力と緊迫感。
そして、そんな最中でも、時折トム・フォードのダンディなスーツにできた“しわ”をビシっと伸ばすボンドを見て、その健在っぷりに安心する。
何故ならば前作からの流れで、ボンドはふさぎ込んでいるのではないかと案じていたからだ。
もちろん、ふさぎ込んだボンドなんて観客は誰も見たくないので、そんな007は天地がひっくり返っても作られないだろう。
それに、前作で落命した大事な人の意思を守るという目的のもとに、行動を加速させていると言っても過言ではないのだ。
おまけに、それが、気付かぬうちに泥と化し、足もとをすくっていたものの正体であるとは、思いもよらなかったのである。
ボンドが任務を行う際、「Q」に最新のツールや武器を渡されるのが、このシリーズのお決まりごとだ。
前作の拍子抜けに近いほどシンプルな道具に引き続き、今回も渡されるのは相当シンプルなもの。
コマーシャルにもなっている…そう、時間がわかるアレだ。
しかしながら、あてがわれるものだけを従順に大人しく使うなんてことは007に有り得ない。
したがって、別の人間の車をかっぱらって、ガンガンぶっ飛ばし任務をこなすボンドだが、実はここで健気に一発笑わせてくれる。
とりあえず、彼は窮地にありながら勝手がわからない改造車「アストン・マーティンDB10」のボタンを片っ端から押してみるのだが、その際まさかのコント状態になるのだ。
ちなみに、前作を観た方はご承知の通り、ボンドの「アストン・マーティンDB5」は、今作の始まりで車として機能していない。
今回観ていて強く感じたのは、過去の007へのオマージュだ。
火を噴く「アストン・マーティンDB10」を見て、なんだかクラシックだと感じたのは私だけではないだろう。
火の届く範囲を見るや否や「それ、どんだけ敵が近づかなきゃ使えないのよ」と突っ込みたくもなるが、やはり車は火を噴かなくっちゃだ。
また、荒野にポツンとある基地や、テーマ曲とともにボートで脱出とか、なんだか連鎖したベタな大爆発などなど。
スパイ映画はこうじゃなくっちゃが満載だ。
ボンドが数発ポンポンと銃で撃っただけなのに「そんなに大爆発するかー!」という突っ込みどころもご愛嬌だ。
しかしながら、思わずタイムパラドックスに陥ってしまいそうな部分もある。
そもそも、マニー・ペニーが登場したあたりの物語なのだから、本来ならば過去のジェームズ・ボンドのはずなのだ。
しかし、物語としてはITが駆使され情報社会にすっかり突入している。
なんといってもQがお爺ちゃんではなくITに長けた若者なのだから、このへんの時間軸は考え出すとキリが無い。
いずれにせよ、今回はMI6メンバーの絆がグンと深まっている。
MもQもマニー・ペニーもビル・タナーも、それぞれの持ち場と役割をこなし、悪の組織が世界を支配しようとする動きを阻止するべく奮闘する。
いつもは本部でハラハラしていることが多いメンバーも、今回はかなりアクティブだ。
そして特筆すべきはボンドガールたちの存在である。
モニカ・ベルッチのファンとしては、あまりにも少ない登場シーンに不満は残るが、今まで世の中の関心に反して興味を抱いていなかったレア・セドゥの魅力に気付かされる作品となった。
ベビーフェイスでグラマラスで、コケティッシュで、小悪魔で、機転が利きそうで、不思議と純潔さが漂う。
男を参らせる要素の福袋ではないかっ。
男のダンディズムと美しい女たち、チームの絆に、ど派手なアクションと、美しい肢体の車に酔いしれ、是非、存分にザ・エンターテイメントを味わってほしい。
クリストフ・ヴァルツを見るとタランティーノの「ジャンゴ 繋がれざる者(2012)」で演じた情の深い男を思い出し、デビッド・バウティスタを見ると単細胞で男気のある宇宙人を演じた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」での姿を思い出し、悪い人に見えず戸惑ってしまった
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
007 スペクター(2015)
監督 サム・メンデス
出演 ダニエル・クレイグ/クリストフ・ヴァルツ/レア・セドゥ/ベン・ウィショー
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