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フローズン・グラウンド/映画あらすじ・レビュー(ニコラス・ケイジとジョン・キューザック共演の実話を基にした作品)

フローズン・グラウンド あらすじ

アラスカ州アンカレッジにあるモーテルの一室で、パニック状態の若い娼婦が保護された。その女性はある男にレイプされ殺されそうになったと訴えるが、その供述で浮上した人物が善良な市民であったため、警察は彼女の言葉を信じず、まともな捜査を行おうともしない。しかし、心ある警官の行動と、州警察の確信により、本格的な捜査が開始されることとなる。

 

フローズン・グラウンド レビュー

転職を控えた、良き夫・良き父、そして良き警察官であるジャック・ハルコムをニコラス・ケイジが演じ、容疑者として浮上したロバート・ハンセンをジョン・キューザック、命からがら殺人鬼から逃れた娼婦をヴァネッサ・アン・ハジェンズが演じている。ほか、ディーン・ノリス、ラダ・ミッチェルと50セントも出演している。

 

この物語は1980年代にアラスカ州で起きた実際の事件が基になっているので、予測不可能な大どんでん返しや、派手なカーチェイスもドンパチもない。

 

早い段階から犯人の正体が示されているし、決定打となる証拠や、ストーリー展開も奇をてらったものではない。また、被害者の方々、未だに行方不明の方々に配慮したのか、実際に行われたという残忍な手口はリアルに表現しておらず、かなりオブラートに包んで描いている。しかしながら、エンドロールにおいては逆に配慮を著しく欠いていると感じた。関係者に承諾を得ているとしても、少し悪趣味ではないのだろうか。

 

ただ、そのなかでニコラス・ケイジと、ジョン・キューザックは安定感のある演技を見せている。この共演は「コン・エアー(1997)」ファンにとっても嬉しいことだ。「コン・エアー(1997)」では良きチームだった2人が、この映画では犯人逮捕に執念を燃やす刑事と、善良に見えてサイコな男となって、対峙する。

 

監督が実際の関係者や被害者に、徹底したリサーチを行ったという今作品は、リアルに描いたためか飾り気なくシンプルだ。それゆえに、間延びしないよう無理にメリハリをねじ込んだ感が、多少否めない。しかし、サスペンスドラマとして、普通にハラハラドキドキしながら観ることができる作品である。そして、2大俳優による迫真の演技がそれを助けている。

 

ただ、ヴァネッサ・アン・ハジェンズが演じたシンディ・ポールソンが、危険へ危険へと身を投じ、好意的な警察官たちの手間を増やしていくことに、イラつく可能性は高い。思わず画面に「お前アホかッ」と怒鳴ってしまったわ。ただ、実在の人物がこの映画で描かれているように、本当に幼いころから過酷な人生を歩まざるを得なかったのであれば、人を信じ、的確な判断をすることや、思慮深さをもつことは難しいかもしれない。

 

そして、ニコラス・ケイジについて…。

以前は数多くの有名作品に出演し、演技にも重き評価を得ていたが、ある時期からラズベリー賞の常連となってしまった。また、財政難のためか一見似通った作品に片っ端から出演し、比較的どれも不発に終わっている。それゆえに酷評も多いが、演じている姿を目にすると、やはり相変わらず主役としての華があるし、演技も安心して観ることができる。是非、また輝いた姿を見せて欲しいものだ。

 

 

 

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

 

 

 

フローズン・グラウンド(2013)

監督 スコット・ウォーカー

出演者 ニコラス・ケイジ/ジョン・キューザック/ヴァネッサ・アン・ハジェンズ/ディーン・ノリス