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不良探偵ジャック・アイリッシュ 2人の父への鎮魂歌(レクイエム)/映画あらすじ・レビュー(ガイ・ピアース主演のキャラクターとサスペンスを楽しむ映画)

不良探偵ジャック・アイリッシュ 2人の父への鎮魂歌(レクイエム) あらすじ

亡き父の友人で、フットボールのチームメイトだったデス・コナーズから遺言書の作成を依頼されたジャック・アイリッシュは、デス・コナーズが置かれている状況に同情し、彼から家の権利と6万ドルを奪い消えた、彼の息子ゲリーの行方を探し始める。しかし、その陰には、巨大な企業や政府が絡む陰謀が隠されていた。

 

不良探偵ジャック・アイリッシュ 2人の父への鎮魂歌(レクイエム) レビュー

この作品は、テレビ映画「不良探偵ジャック・アイリッシュ 死者からの依頼」の第2弾である。前作がものすごく気に入ったので、期待に胸を膨らませて鑑賞。その結果、まったく期待は裏切られなかった。

 

お年寄りとの関わりを大切にするジャック、純然たるポリシーがある微笑ましいお年寄りたち、中身が詰まった大人のいい女たち、頼もしくて健全な(?)競馬オッズ操作仲間、周囲の自然体で善良な友人たち、もはやキャラクター化して愛着まで湧いてきた脂質摂り過ぎお下劣刑事など、お馴染みのメンバーも健在で、今回も心から楽しめた。できることならば、延々とこのシリーズを続づけて欲しい。

 

また、新キャラクターで、どういうわけか臓器をプレゼントする男と、腕は立つけど早口で不器用な情報屋の女性が、また格別にいい味を出していた。彼らも是非レギュラー化して欲しいものだ。

 

しかし、この映画の宣伝に関しては多大な文句がある。

 

いかにも、元弁護士が落ちぶれて酒と女に浸っているかのように表現しているが、まったくそんな様子はない。もちろん、弁護士時代と比べたら、競馬オッズ操作に加担して儲けたり、借金取りなど(シリーズ1でその描写あり)、到底まっとうな仕事ではないこともしているが、誰かのために探偵をしたり、お金よりも情で仕事を選び弁護士業を細々とやっている(ようだ)。それに、なんといっても、彼が入り浸るのは酒場とはいえ、フットボール界のスターだったジャックの父を神とあがめる爺さまたちと、交流を深めているパブ。そして、父親のように慕う、昔気質な家具職人の爺さまのところだ。

 

それに、女好きというわけでもない。どちらかというと、少し“やさぐれた”雰囲気を持ちながら、知的で優しく自然体なジャックに、女の方が羽虫のように飛んでくるのだ。モテるんだから、差し出されたお膳はいただきます、ってなもんだろう。

 

映画の予告は、不良探偵風に見せるためセリフを変えられているので、まったく解釈が違っている。ジャック・アイリッシュシリーズは、決して不良探偵っぷりが売りではなく、説明も、感情の起伏も少ないが、温かさにあふれ、それでいて、社会派サスペンス要素を楽しめる作品なのだ。

 

物語は前回と同様、あるきっかけから何かを調べ始めたジャックがジワジワと核心に近づき、自分や周囲に危険が迫った状況でも、なおかつ戦い巨大な陰謀の真相を世間の目に晒すというもの。戦うといっても、この映画にアクション要素はあまりない。それに、テレビ映画ということもあり、こじんまりしている。そのため、物足りなさを感じる人も少なくはないだろう。しかし、この作品の魅力はスケール感ではなく、その、こじんまり感なのだ。

 

チャーリーはジャックがつくった家具を見ながら「自分がつくり上げたものを見て喜びを感じる。それが真の仕事だ。」と言う。

それが、すべてにおいて言えることだと感じた。

 

ジャックの、亡き妻への愛情は多分失ってはいないだろう。それだけが理由ではないが、リンダとは恋人関係を行ったり来たり。でも、2人がいいコンビであることは間違いなさそうだ。

 

 

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

 

 

 

不良探偵ジャック・アイリッシュ 2人の父への鎮魂歌(レクイエム)(2012)

監督 ジェフリー・ウォーカー

出演者 ガイ・ピアース/マルタ・デュッセルドープ/アーロン・ペダーセン/ロイ・ビリング