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タイガー~伝説のスパイ~

タイガー~伝説のスパイ~ あらすじ

RAW(インド諜報機関)の凄腕スパイ・通称タイガーは、ある博士の身辺調査と監視を命じら れアイルランドに飛ぶ。
そこで出会ったのは、ダンスを学ぶために博士宅で家政婦のアルバイトをしている、インド系イギリス人の美女ゾヤ。
その出会いは、任 務一筋で女性に心を奪われることなどなかったタイガーの心を大きく揺さぶるものだった。

しかし、そのゾヤは信じがたい秘密を抱えていた…。

タイガー~伝説のスパイ~ レビュー

今 作品は132分という上映時間だが、さほど長さを感じない。
考えられる理由は、インド映画の上映時間は長いものだと承知していたこと、また、170分とい う長さを誇る「きっとうまくいく(2009)」を鑑賞済だったため、むしろこの作品は短く感じたこと。
そして、物語の展開が早く飽きさせなかったということだ。

ただ、その“飽きさせない”という感覚は、ひとえにスパイ・アクションだけによるものではない。

実のところ、この映画はスパイ映画というよりも堂々たる恋 愛映画なのだ。
阿部寛さんを太らせたような、ぐっさん(山口智充さん)のようなプロレスラー体系の凄腕エージェントが、本気で恋に落ちる映画なのである。
正直言えば、インド映画ならではのインターバル(幕間・トイレ休憩)が訪れるまで、お茶目なゴツいスパイの恋物語を見せつけられ、これはどうしたものかと 思いながら鑑賞していた。
しかも、強烈な突っ込みポイントが満載なのだ。

そもそも、細心の注意を払いながらターゲットに近づこうとしているエージェントと、その周囲でサポートのため潜伏している仲間が、次の瞬間コーヒー片手に 顔丸出しで街をのんびり歩くシーンにずっこけた。
おまけに、あるシーンでは、思いっきり街で目立ちまくり敵まで逃したのに、路面電車のパンタグラフから上 着をとる際スローモーションで“激しく格好つけている”ってどういうこっちゃ。

電車の上によじ登るときの、明らかにワイヤーに引っ張られている感じは、まあ、良しとしよう。
しかしッ、国家の安全を左右する諜報活動中でありながら恋に悩み、仲間のエージェントが潜伏している場所の門を堂々とたたき、「飲ませろ」って、どういう こっちゃ、手薄過ぎ。
おまけに、門をたたかれた仲間のエージェントも、いかにも“寝ていたか、くつろでいた風の顔つき”って… 思わず微笑んでしまうほど、のんびりしたスパイ映画ではないか。

とまあ、突っ込みどころは満載だが、そのぶん見応えもあるので飽きさせないのは事実。
小刻みなものから~盛大なものまでアクションが要所要所に散りばめら れており、主役のサルマーン・カーンさんのアクションが時おり微妙なことに目をつむればハラハラ・ドキドキの連続だ。

たまに、サルマーン・カーンさんの苦悩の表情がニヤけて見えたり、任務報告時の顔つきが「ニヤけたドヤ顔」であるという難点があるが、とにかく展開が早く て話がどんどん進むので面白い。
また、サルマーン・カーンさん演じるタイガーに、迷いがないのも安心感のひとつ。
意思決定まで時間をかけず、しかも、その 決断を決して覆さないのだ。

数々突っ込ませてはいただいたが、サルマーン・カーン氏は徐々に味が出るタイプなので安心していただきたい。
それゆえに、踊りが微妙な点もご愛嬌だ。
ヘリ に飛び乗りしがみついて顔を覗かせていたとき、思わず飲んでいたものを吐きだしそうになったが、器の大きい彼は、そんな突っ込みではビクともしない。

多く のものを持つ不動の男タイガーは、007というよりは、ちょっと太った恋するゴルゴ13なのだ。(違うか)
また、この映画を観ることで、数々の爽快感が何度も体を突き抜けるという感覚を味わえるはずだ。
イラク、アイルランド、イスタンブール、キューバと舞台が 変わり目を楽しませてくれるほか、海で携帯電話を投げ捨てるシーンや、大金を引き出すシーン、キューバで恋に包まれる2人の姿を目にすることで、観客は夢 のような逃避行を一緒に味わえるのだ。

「狂気なき愛は、愛ですらない」という劇中のセリフほど、映画では過激な愛の姿は描かれていない。
むしろ、それとは全く逆で、切なさは調味料の如く少々、 大半はスカっと爽やかで、清々しくて、スピード感たっぷりで、自由な爽快感が全編に渡り流れている。

そして、先述した通りちょっぴり呑気だ。特に、エージェント仲間のゴーピーさんは、かなりのお人好し。
この人の良さでエージェントがつとまるのか心配だ が、上司も結局人が良さそうなので、その諜報局の風潮なのかもしれない(あくまでも映画の話)。

また、特筆しなければならないのはゾヤを演じるカトリーナ・カイフさん。
インド系イギリス人の彼女は、180cmという長身で、スリムなのにグラマラスと いう奇跡の体型を持つ女性。
セクシーで美しいだけではなく、少し、アンニュイな雰囲気がとても魅力的だ。
ほとんどのインド人男性が恋するモデル出身の女優 さんらしい。

彼女とサルマーン・カーンさんが恋するダンスを躍っているシーンは、どうしても、コントで“ぐっさん”が美女と踊っているように見えてしまうのだが、とに かく彼女は眩しいほどに輝いている。
彼女にウットリするだけでも一見の価値があるかもしれない。
いずれにせよ「タイガー~伝説のスパイ~」も、 いつものように、観客を徹底的に楽しませてくれるボリウッド映画のひとつであることは間違いない。
是非ご賞味あれ。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

タイガー~伝説のスパイ~(2012)

監督 カビール・カーン
出演 サルマーン・カーン/カトリーナ・カイフ/ランヴィール・ショウリー/ロシャン・セス

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