クロスゲージ(最終絶叫計画のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ製作総指揮・脚本・出演の作品)
クロスゲージ 映画あらすじ
狙撃手として勲章まで授与したジェームズ・ダン軍曹は、子供の狙撃を拒否したことで任務を命じた上官ともみあいになり、意図せず射殺してしまう。
その後、死刑を宣告された彼に極秘部隊が接触を強行し、ある人間の暗殺をいいわたす。
しかし、その指令には陰謀が隠されていた。
クロスゲージ映画 レビュー
ウェイアンズ兄弟といえば、まず一番に思い出すのは「最終絶叫計画」シリーズだ。
有名なホラー映画のパロディを、コメディと下ネタ満載で繰り広げる作品で、俳優でもあるウェイアンズ兄弟たちが、監督や脚本を担っている。
そして、この映画「クロスゲージ(1997)」は、ウェイアンズ10人兄弟の長男が製作総指揮・脚本・出演した作品だ。
「グリマーマン(1996)」ではスティーブン・セガールと共演していたが、個人的には断然こちらの作品がいい。
そして、「最終絶叫計画」シリーズで下ネタを駆使していた人物とは思えないほど非常に魅力的だったのだ。
また、やはりこの俳優さんが非常にカッコ良かった映画「ダーティ・シェイム(1994)」では、まだお茶目で初々しい頃のウィル・スミスの妻、ジェイダ・ピンケットと共演していたことが深く印象に残っている。
この映画においても、監督・脚本・主演と何役もこなしたようだ。ただ、こちらの作品は退屈さが勝り、今ひとつだった記憶がある。
アクションも似合うし、非常にハンサムな俳優さんだし、多彩な人物なので、もっと映画で活躍して欲しいところだが、最近はすっかり見かけなくなってしまった。
俳優のジャイモン・フンスーが少し似ているので、彼を見る度にキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズを思い出してしまう。
まあ、とにかく、映画「クロスゲージ(1997)」はアクションが満載で、ハラハラさせるストーリー展開なので飽きさせない。
今となっては、どこかで観たようなストーリーかもしれないが、当時はとても新鮮で、その息もつかせぬ展開と、頭脳的でなおかつ肉体的な強さを持つ主人公の魅力に心を奪われたものだ。
また、キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズがコメディアンでもあるため、セリフに何気ないユーモアが散りばめられていることも、この作品を魅力的にしている。
悪しき心を持たない主人公のジェームズ・ダンは、不運にも死刑囚となり、濡れ衣を着せられて、極秘エリート部隊からの執拗な追跡を受け、懸賞金までかけられてゾンビ街並みに群衆にも追われ、おまけに肝心なものまで失ってしまう。
これでもかというぐらい絶望的な状況に追い込まれるが、なんだかんだ切り抜けていくのが実に爽快だ。
アクションシーンや小気味いいテンポが夢中にさせてくれるが、物語にメリハリが効いているというよりは、ハラハラドキドキ感が万遍なく行き渡っているという感じ。
もしかして、その”そつなく・テンポ良く・万遍なく”に、物足りなさを感じる人もいるかもしれない。
しかし、だからこそ、「また観たい」と思わせるスルメ的な美味しさがあるのだ。
アンジェリーナ・ジョリーの父であり、当時は不敵な役柄を演じさせたらピカ一だったジョン・ヴォイトや、セクシーなヴィクトリア・コンスタンティーニ医師を演じるジル・ヘネシーなどが脇をかためる。
「こうじゃなくっちゃ」なキャラクターがしっかりと適材適所に置かれた、ノンストップ・サスペンス・アクション映画を、是非ご賞味あれ。
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
クロスゲージ(1997)
監督 デヴィッド・グレン・ホーガン
出演 キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ/ジョン・ヴォイト/ジル・ヘネシー/ポール・ソルヴィノ